ルルレモン(Lululemon)は、2000年代初頭に、シーセル(SeaCell)という企業が作った海藻由来の繊維を最初に使い始めた企業のひとつである。ルルレモンは、この素材にストレスを軽減する抗炎症作用や抗菌作用があるとネットで宣伝していた。しかし、2007年のニューヨーク・タイムズ(New York Times)の調査でシーセルの繊維をテストしたところ、そのような医薬的主張を裏付ける証拠は見つからなかった。それどころか、ニューヨーク・タイムズのテストでは、海藻が繊維に含まれていることを示す要素すらまったく見つからなかったのである。ルルレモンは、ビタシー(VitaSea)と呼ばれる衣料品シリーズに使用しているこの繊維の取り扱いを継続しているが、マーケティングやウェブサイトからは医薬的な主張をすべて消している。その代わり、ルルレモンではこの素材の通気性と快適さを重視している。だが、レティシア・クレディディオ(Leticia Credidio)、パンガイア(Pangaia)、ブオリ(Vuori)、シーセル(SeaCell)といった他の企業は、裏付けとなる証拠がないにもかかわらず、この繊維の医薬的メリットを明白に示唆し、大々的に宣伝し続けている。
過去5年間で、ブランドが自社の衣類の健康効果を強調することがますます一般的になってきている。たとえば、バイブラントボディ(Vibrant Body Co.)は、同社の衣類には他の下着製品に含まれる100以上の一般的な毒素が含まれていないことを保証している。スイスのブランド、グラフェンベルク(Graffenberg)は、同社の衣類に含まれる抗酸化物質が、シワの原因となる微量元素あるいは「フリーラジカル」の数を減らすことができると主張しており、これにはある程度の科学的裏付けがある。衣服やその生産工程におけるサステナビリティや健康へのメリットに関するさまざまな主張の標準化と規制が、ファッション業界における重要な課題であり、あまりに大きな問題であるため、EUは今年これに対する法律を導入したほどだ。ファッション業界では、ブランドが自社広告で主張できる内容に関してほとんど規制が存在しなかったが、ファッション法についての経験があるセダムローグループ(Sedhom Law Group)のマネージングパートナー、ラニア・セダム氏は、それは徐々に変わりつつあると指摘した。「あらゆる種類のものに、用語体系に関するルールが存在する」とセダム氏は言う。「たとえば、ワインは特定の産地のものでなければ、その種類を名乗ることはできない。だがファッションにはこれまでそういうものがなかったのだ」。[原文:Fashion touts the benefits of seaweed fabric, but science doesn’t back it up]DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)