by Anthony Quintano

MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が、2018年に発覚したFacebookのスキャンダルにまつわる集団訴訟のため、最長6時間にわたり証言をしなければならなくなったと報じられています。

Mark Zuckerberg to face deposition over Cambridge Analytica scandal | Meta | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2022/jul/20/mark-zuckerberg-deposition-cambridge-analytica-facebook

ハーバード大学在学中にFacebookを立ち上げ、若くして「ビッグ・テック」と呼ばれるアメリカ有数の大企業のCEOとなったザッカーバーグ氏ですが、近年はFacebookや親会社・Metaの不祥事などでアメリカ社会から厳しく追及されており、インターネット上には「ボコボコに叩かれて目に光が無くなったザッカーバーグの写真を集めている」という人もいるほど。



ザッカーバーグ氏が矢面に立たされている問題の中でも特に大きいのが、5000万人分のFacebookユーザーの個人情報が許可なく分析会社・Cambridge Analyticaに悪用されていた実態が内部告発によって明らかになった2018年のスキャンダルです。2016年アメリカ大統領選におけるドナルド・トランプ氏の当選やイギリスのEU離脱にも影響を及ぼしていたとされているこの問題は、「世界最大級のプライバシー事件」とも呼ばれています。

ニュースメディアのThe Guardianは2022年7月20日に、Cambridge Analyticaのスキャンダルをめぐる集団訴訟で、ザッカーバーグ氏が6時間にわたって尋問を受けることになった報じました。伝えられるところによると、サンフランシスコ連邦裁判所に提出された文書には、ザッカーバーグ氏が最長6時間の証言録取(デポジション)を受けることに同意したと記されているとのこと。

デポジションとは、アメリカの民事訴訟の中で行われる裁判前の証拠開示手続きの一環として、公証人の立ち会いにより原告側が被告側を尋問し、証言を得ることができるというもの。証言は宣誓の下で行われて文書にも残るため、もし虚偽の供述をした場合は偽証として罰則の対象になります。

ザッカーバーグ氏の他には、長年にわたりFacebookの最高執行責任者を務め、2022年秋に退任することが決まっているシェリル・サンドバーグ氏が最長5時間、同氏の後任であるハビエル・オリバン氏が最長3時間の長丁場に直面しています。



ニューヨークにある法律事務所・Mukasey Frenchmanの弁護士であるロバート・フレンチマン氏は、民事訴訟で行われるデポジションに時間制限が設けられるのは異例ながら、原告側には有利な場になると指摘。「原告側は、Metaの幹部を厳しく追及する機会を得ており、今回のデポジションで幅広い議題について自由に発言できます。反対に、Metaにとっては得る物より失う物の方が多いでしょう」とコメントしました。

Cambridge Analyticaのスキャンダルで影響を受けたFacebookユーザーの代表として集団訴訟に踏み切った原告らは、一連の証拠開示手続きを通じて、Metaから13年分もの証拠書類を入手しています。一方Metaは反発しており、文書の中で原告による証拠の収集を「恒常的かつ継続的で行き過ぎた行為」と非難しました。

デポジションの具体的な日時や場所は不明ですが、9月20日までに行われる予定です。また、デポジションはデポジションを求める当事者の法律事務所で行われるのが通例とされています。