何か心配事がある時、起こる可能性が非常に低い「最悪の事態」をあれこれと想像し、さらに不安を強めてしまうという人もいるはず。そんな「最悪の事態」を考えてしまうのを避ける「4つの方法」について、イギリス・レディング大学で応用神経科学教授を務めるパトリシア・リデル氏が解説しています。

Four ways to stop thinking the worst will happen when you're stressed

https://theconversation.com/four-ways-to-stop-thinking-the-worst-will-happen-when-youre-stressed-185802

将来の物事について最悪の事態をあらかじめ想定しておくことは、心構えを作って自分自身の身を守ることにつながります。しかし、これがうまくいくのは特定の状況で何が起きるのか、それによって自分がどう感じるのかを正確に予測できた場合に限ります。想定した事態の実現可能性があまりにも低かったり、それに心がとらわれて大きなストレスを感じてしまったりする場合、最悪の事態を考えることは単に自らの精神を疲弊させるだけかもしれません。

リデル氏はそもそも人々の未来予測が間違っている場合が多く、将来について楽観的な人は新しいことに挑戦する意欲が高いという(PDFファイル)研究結果があることや、「新しく始めたことがうまくいった」といったポジティブな感情を経験しやすいことを指摘。「最悪の事態を想定しやすい傾向は過度の不安やストレスにつながり、あなたが楽しんだり学んだりするかもしれない物事から遠ざけるかもしれません」と述べ、最悪の事態を考えないようにする「4つのヒント」を挙げています。

◆1:午前中に決断する

「夜になると将来が不安になってあれこれ考えてしまう」という人は多いかもしれませんが、眠っている時は脳の感情に関する部位が活発化するため、夜中に物事を考えると感情に流されやすくなるとリデル氏は指摘。また、睡眠不足は脅威に対する敏感さを強める可能性があることから、夜は「最悪の事態」を考えやすくなってしまうとのこと。

夜に悪いことを考えてしまって寝付けない場合には、「夜は感情的になりやすい」ということを思いだして早く寝るように心がけ、朝起きて脳がリフレッシュされた状態で物事を考えた方がいいとのことです。



◆2:「内なる批評家」にもっと思いやりを持たせる

物事を考える際、自分の心のどこかに「どうせ失敗する」「うまくいかないだろう」とネガティブで厳しいことを言ってくる「内なる批評家」がいて、その言葉に流されてしまうことがあるかもしれません。

自分の中に厳しい内なる批評家がいる場合、その批評家について「誰か別の人に話しかけている場合」を想像してみるといいとのこと。すると、言葉遣いがより丁寧で優しくなり、そのアドバイスが本当に有益かどうか見極めやすくなるそうです。「あなたが心配したりストレスを感じたりしている時、内なる批評家が使っている言葉を意識してください。それが過度に厳しいなら、自分自身にもより親切な方法で話すよう切り替えてください」とリデル氏は述べています。

◆3:よりポジティブなストーリーを作る

過去に何かがうまくいかなかったとしても、将来も同じように失敗するとは限りません。将来について「最悪の事態」を考えてしまった場合、代わりに「物事がうまくいくストーリー」について考えるのがいいとのこと。また、1つだけでなくたくさんの起こりうるストーリーを作ることは、あくまで自分の考えは事実ではなく空想に過ぎないと理解することにつながります。

◆4:自分に優しくする

人間は他人とうまく交流するために思いやりと共感を発達させましたが、これを自分自身について考える際に応用するべきだとリデル氏は主張。たとえば、「もし友人が自分と同じ状況だったらどうアドバイスするだろう」と考えると、自分に対して優しく接することができます。また、こうして他人に向けるようなまなざしを自分に向けることで、これまで気づけなかった解決策が思いつくといった副次的効果も期待できるとのことです。