「妊娠を継続するか否かに関する女性の決定は、プライバシー権に含まれる」として女性の堕胎の権利を保障した1973年のロー対ウェイド事件判決を覆す決定が、アメリカ最高裁判所で下されました。判決に伴い「中絶を禁止する州法」が制定された場合、「警察および検察官は、捜査の一環としてインターネットユーザーの検索履歴、地理的位置、および中絶を行う計画を示すその他の情報を取得する可能性がある」とテクノロジー企業が不安視しています。

U.S. tech industry frets about handing data to states prosecuting abortion | Reuters

https://www.reuters.com/world/us/us-tech-industry-frets-about-handing-data-states-prosecuting-abortion-2022-06-24/

U.S. Supreme Court overturns Roe v. Wade, ends constitutional right to abortion | Reuters

https://www.reuters.com/world/us/us-supreme-court-overturns-abortion-rights-landmark-2022-06-24/

アメリカの最高裁判所は2022年6月24日、妊娠15週間後の妊娠中絶を禁止するミシシッピ州法を支持したことが報じられました。保守的な裁判長も、中絶に関する女性の権利を守るロー判決を完全に消去する措置を講じることはしないものの、ミシシッピ州法を支持したとのこと。

世界屈指の慈善団体・フォード財団の研究者であるシンシア・コンティクック氏は、「州法が中絶禁止を制定することにより、検索履歴に関連する情報や、アクセスしたウェブサイトについて、GoogleやAmazonといったテクノロジー企業にリクエストが寄せられる可能性が非常に高い」とロイターに語りました。バイデン大統領もこの判決に対し、「法廷と国にとって悲しい日であり、アメリカ人にとって基本的な憲法上の権利を明確に奪う判決です」と非難しています。

政府からテクノロジー的な自由の権利を保護することを掲げる電子フロンティア財団のサイバーセキュリティディレクターを務めるエヴァ・ガルペリン氏は、「アメリカでかつて中絶が違法だった時代と、現代に違法になることの違いは、私たちが前例のないデジタル監視の時代に生きていることです。テクノロジー企業は取得したデータがユーザーを訴追するために使われたくない場合、データの収集を停止して保護するべきです」と述べています。





AmazonやMicrosoft、Google、Meta、Twitterなどのテクノロジー企業は、各報道機関が求めた「収集したデータが中絶を求める女性に対する訴訟に使用されうることにどう対応しますか?」という質問に対し、記事作成時点では応答していないとのこと。テクノロジー企業は最終的に、データを渡すだけか、データの収集と処理の方法を大幅に見直すか、選択に悩まされる可能性があると注目が集まっています。