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昨年11月10日(水)に幕張イベントホールで開催された、約11年ぶりとなる『マクロスF』単独ライブ『マクロスF ギャラクシーライブ 2021[リベンジ]〜まだまだふたりはこれから!私たちの歌を聴け!!〜』の模様を収録したライブBlu-rayが6月22日に発売された。「限定盤」「ゴ〜〜ジャス盤」には、11月9日の公演初日と11月23日の神戸ワールド記念ホールでの追加公演の日替わり曲などが収録されている。

ステージで、最高のパフォーマンスを見せつけたシェリル・ノーム Starring May’nとランカ・リー=中島 愛。ライブタイトル通りまだまだ二人はこれからだと感じたし、この先も何かが待っているのではないかという期待が膨らむライブだった。

今回はリリースを記念して、May’nと中島愛に改めて今回の公演をたっぷり振り返ってもらった。

今後の人生でも、あのツラさと楽しさは絶対に訪れないと思う!(中島)



――まず、マクロス40周年記念超時空コラボアルバム『デカルチャー!! ミクスチャー!!!!!』の反響が素晴らしかったですね!

中島愛 数字がすべてではないとは言え、オリコン週間アルバムランキングで1位をいただいたり、意外だったんですけど、それが『マクロス』シリーズのアルバムで初めての1位だったり、日本レコード協会の22年4月度のゴールドディスク認定もいただいたそうなので、すごいですよね。私たちもきっと反響があるとは思ったんですけど、お祭りかつ冒険のアルバムだったので、どんな声があるか、まったく想像ができなかったんです。でも、結果的に今しかできないことができたので良かったなと思いました。レコーディングでは、これはどこの世界線だろう?って考えることも多かったですけど、アルバムをリリースできて良かったなというのは、今思っていることです。

――リスアニ! WEBでは、中島さんにこのアルバムについての取材をしていなかったので改めてお聞きしたいのですが、個人的に印象的だった曲はありますか?

中島 May’nちゃんとはすべて別々のレコーディングだったんですけど、メドレーは結構近い日にちに録れたんです。なのでお互い頑張ったよねって称え合うメッセージのやり取りをしながら録ったので、特に印象に残っていますね。ワルキューレの曲は多彩で、メドレーは色んな曲があって面白かったし、『マクロスF』とのカラーの違いも感じられたんです。コーラスのラインはこうなっているんだとか、聴いているだけではわからなかったソロとグループとの違いがわかって、興味深いことがたくさんありました。

May’n でも、愛ちゃんと「めっちゃ大変だったよね」とか、頑張ったねって称え合ったりすることって、放送当時のレコーディングでは全然なかったんですよ。お互い自分のことで必死だったし、2人の声が合わさる感動はあったけど、一緒に大変なことを乗り越えようね!みたいな感覚でレコーディングをしたのは初めてだったから、コラボアルバムではあったけど、10年以上経った集大成でもあるのかもしれないなって気持ちになりました。

――当時は必死さがあったけど、今、一番お互いをわかりあえている感じがします。

May’n 同じように大変な思いをしている人がいてくれている安心感ですよね(笑)。

中島 それはワルキューレの5人もきっと同じだと思うし、ツラいとかではなく初めてのことを7人で一斉にやったから、7人しかわからないことはあったよね(笑)。

May’n 私、JUNNAちゃんとは連絡取っていて「頑張ったよね、褒めてほしいよね」って言ってた(笑)。

――そのワルキューレの歌唱で印象的だった曲は?

中島 「放課後オーバーフロウ」のサビを美雲が歌ってくれたのが、一番意外性がありました。あと、メドレーでも、シェリルパートをマキマキ(マキナ・中島/CV.西田望見)が歌っていたのも印象的でしたね。

May’n メドレーの「ライオン」かな。こういうアプローチがあるのか!って思ったよね。



――「娘々スペシャルサービスメドレー(特盛り)」の歌割りは特に注目して聴いてほしい感じでした。さて、今回のインタビューは『マクロスF ギャラクシーライブ 2021[リベンジ]』のリリースインタビューでもあるのですが、せっかく2人揃っているのでタイムスリップして、2008年から2010年に行われていた『マクロスF』のライブの思い出を語ってもらいたいと思ったのですが。

May’n 大変だったことをすごく覚えています。大きなステージで多くのお客さんの前に立たせていただいたのも初めてでしたし、今振り返っても豪華な演出、豪華な編成でライブをさせてもらえていたから、とても幸せなことだと思っていました。ただ、リハーサルがすごく長くて、それこそ合宿のような状態で、いま自分はどこにいるんだろう?って感じだったんです(笑)。ちょっとした空き時間で、カクンと寝てしまいそうになったり。菅野よう子さんは、レコーディングもそうなんですけど、すごく細かく突き詰めていく方なので、リハーサルから一切妥協がないんですよ。私たちに経験がないからこそ、リハーサルでより作り上げていくことをしてくださっていたと思うんですけど、そこに食らいついていってたことを覚えています。その分、本番はそれが報われる瞬間で、頑張って良かったなって思いました。でも当時10代で、あれだけの世界観を作り上げられたのは、スペシャルな方々に支えられていたからこそなので、本当に感謝しています。

中島 私はこれがツラいことなんだということにすら気づいていなかったんですよ(笑)。それに、May’nちゃんがツラそうにしていると思ったこともなかったんです。だから今聞いて、そうだったんだ!って。

May’n 別に不穏な空気とかではないけど、同じ部屋で休憩しているとき、シーンとしてなかった?

中島 うん。でもずっと一緒にいたからね。しかもリハのときは、お互いのソロパートのときも集中して見ているんですよ。そしてそれが突然演出に生かされたりするんです。「『妖精』のときの花道で演技してみて」とか。だから見ていること自体がリハなんです。

May’n 確かに!それもあったから大変だったのか!相手のソロのときも入り込んで見ていたから。

中島 だから2人で同じ部屋に入ったときに、初めて休憩という時間が訪れて、そこでやっと黙ることができる(笑)。

May’n 何か食べながらね。確かにそうだったかも(笑)。

中島 ずっと歌っているか指導を受けているかだったから、2人でいる空間だけがしゃべらなくてもいい空間だったんです。私はデビューがこの現場だったから、それに疑問も持たずに、レコーディングやリハーサルをやっていたんです。だからそれが基準になっちゃってますね(笑)。当時、周りの大人の皆さんから「これが当たり前だと思わないでほしい」と言われていて、私はこれだけ豪華なのが当たり前だと思わないで頑張れということだと思っていたけど、今思うと、ここまで大変なこともないよっていう意味もあったのかもしれない(笑)。でも、そこまでできるのはやっぱり贅沢ですよ。

May’n すごい贅沢だったよね。だってリハーサルだけどフルメンバーで、ストリングスや管楽器の人も全日入ってくれていたんです。それで1ヶ月くらいリハをやってたよね?

中島 やってた。今日のリハはまずランニングから!みたいな日もあったり。あと思い出に残ってるのは、大戸屋のお弁当!私はお弁当の時間を心の支えにして頑張っていたんです(笑)。それを当たり前のようにやっていたけど、今後の人生でも、あのツラさと楽しさは絶対に訪れないと思う!

May’n 初めてのライブがZepp Tokyo(08年7月)で、坂本真綾さんがゲストでいらしていたんですけど、リハーサルで豆大福を食べていたんですよ。ライブ前にアーティストは豆大福を食べるんだ!と思って、私、結構今でもライブ前に豆大福を食べるのを継承しているんです(笑)。

中島 えーー!すごい!

May’n お腹いっぱいにしたくないときに食べていらしたのかな?って思うんですけど、カッコいい!先輩!と思ったことは、すごく覚えてる。

中島 私は、スターはおしゃれなフルーツを差し入れしてくださるんだなと思いました。もちろん、あの日感じた緊張感もすごく覚えています。

May’n 大先輩だから緊張はしたよね。それに、これもいろんなところで話していますけど、当時は、話すとシェリルじゃなくなるのがコンプレックスだったので、MCは愛ちゃんがランカとしてやってくれていたんです。それは羨ましいなと思っていましたね。自分はどんなに頑張ってもシェリルにはなれないと思っていたし、それが拭えたのも本当につい最近だったので。

中島 当時は本当にいっぱいいっぱいだったから、その気持ちにも全然気がつけていなかったんですよね。だからカバーしなきゃとかではなく、私がしゃべっていいのかな?くらいに思っていたんです。ただ、当時のライブの本編では基本的にセリフをいただいてMCをしていました。そこはお伝えしておきたいなって。

May’n でも、それはみんなもわかってたと思うよ。ランカだからMCをしているんだなって。

――キャラクターでのMCは、ワルキューレのライブでも引き継がていますしね。今の話を聞いて、当時まだ新人でしたけど、その中で本物のエンターテイメントを届けようとしてくれていたんだなと思いました。



クロスオーバーライブは「サヨナラノツバサ」を100%見せられるライブにしたかった(May’n)



――今回の単独公演に直接結びついたのは『MACROSS CROSSOVER LIVE 2019 at 幕張メッセ』だったと思います。

中島 中島の暴走ですね。(※ライブのMCで「『マクロスF』の単独ライブが、いつかできたらいいなと思います!それが今の夢です」と発言したこと)

May’n 自分で言いましたね(笑)。クロスオーバーで『マクロスF』のステージを一緒に作らせていただけることになったとき、久々に一緒に作るからこそ、『マクロスF』のステージをちゃんと作りたいと思ったことはすごく覚えています。2人で相談をしてひとつのステージを作り上げることができたんですけど、実はやる前から、これはもう絶対にいける!という感覚があったんです。そしたら、中島さんが暴走したという(笑)。あれは、テンションが上がっちゃったの?

中島 絶対にこの話になると思って、今日お風呂に入りながら真剣に考えてきたんですよ(笑)。このエピソードはよく聞かれるけど、ちゃんと話す機会って、もうあまりないかもしれないと思ったから、本当はどうだったんだろう?と。そこで思ったのが、大きなきっかけは、2014年に見た『FIRE BOMBER 2014 BASARA EXPLOSION』なんです。『マクロス7』の20周年記念ライブで、これは私の個人的な話ですけど歌手活動を休止した直後でした。それまでは、どこに行くにも事務所の大人の方が付いて来てくれていたけど、このときは1人で神奈川県民ホールに行って、ファンの方と一緒にライブを見ていたんですね。ライブが素晴らしかったのはもちろん、ホールに入る前と、ライブ後のファンの皆さんをずっと見ていて、その表情が忘れられなくて。20周年でこんなライブをやってもらえたら、どれだけ嬉しいだろうなと。94年にリアルタイムで放送を見ていた人も、あとから見た人も混ぜこぜになっている感じがすごく印象に残っていて、「これができるのがマクロスなんだ!」って思ったんです。2019年は『マクロスF』10周年の次の年で、あの日のMCは本気で、15周年とか20周年に2人を引き合わせてほしいという願いを込めて言ったというのが正直なところです。ただ、マクロス40周年にかかったんだ〜!っていう(笑)。道理で早いなと思ったんですよ。

May’n まさかこんなに早くできるとは思っていなかったからね(笑)。

中島 14年のライブを見ていたからこそ、まず15周年とかで何かをやってほしい!という思いがあったし、当日のお客さんの反応を見ていたら言っちゃった、というのはありましたね。皆さんに触発されて正直に出た言葉でもあったと思います。

――やはり劇場版のあとに単独ライブがなかったことは、ファンとしても心残りだったと思うんです。同年2月の『フライングドッグ10周年記念LIVE-犬フェス!-』での「ライオン」という伏線はあったとはいえ、クロスオーバーでここまでやるとは予想もしていなかったです(笑)。

中島 確かに「サヨナラノツバサ」を歌ったのはイベントでだけだったから。

May’n ちゃんと映像と一緒に見せるというのが、それまでのライブでやってきたことだから、クロスオーバーが初めてだよね。

中島 だから、確かに誰も予想していなかったんじゃないかな……。

May’n すごい反響をもらったからね。

中島 でも何であのとき「サヨツバ」をやろうと思ったの?どこからその発想が出てきたの?

May’n あのときのオファーは、シェリル3曲、ランカ3曲、「ライオン」とあと1曲どうしますか?みたいな感じだったんです。それを聞いて「いやいやいやいや!ちょっと待ってください!」ってなったんですよ。それは違うと思います!って。

中島 でも、2013年にやった『マクロス クロスオーバーライブ 30』もそんな感じだったよね?

May’n そのときは、放送からそんなに経っていないし、シェリルもランカもソロで、私たちもソロだから、それに対してあまり違和感がなかったんだけど、久々に2人が『マクロスF』としてステージに立つのに、ソロアーティストとして立っていいのかな?っていう違和感があったの。「サヨナラノツバサ」は人気曲で、みんなも聴きたいと思ってくれているだろうなと思ったから、「サヨナラノツバサ」を100%見せられるライブがしたい!っていうのが、こだわりとしてあったんですよね。



――流れとしてはそこから単独公演へとつながるのですが、先程のFire Bomberの話でもありましたが、『マクロスF』こそ、当時若くてライブに行けなかった人がたくさんいたのではないかなと思うので、やってくれて良かったと思います。やることになったときはどう思いました?

May’n 愛ちゃんのMCを聞いたときの最初の感覚としては「無理!」だったんですよ。クロスオーバーライブにかけていたところがあるから、これを超えられるはずがないと思ったんです。人間の感情的に、どんどん更新していかないと良くないと思ったからこそ、超えられないと思っているならやらないほうがいいという気持ちだったし、不安だったんです。でも、実際に待ってくれている人がいるのは知っていたし、できることになったときは、どうしたらあれを超えられるのかをずっと考えていました。

中島 やると決まってからは、May’nちゃんとスタッフさんと、すごく緻密にセットリストを考えていきました。私は、フェスと単独はどちらが良いとかではなく、心構えが違う気がしていて。「サヨナラノツバサ」の流れも、クロスオーバーで一度やったものをもう一度やるのはどうなのかっていう話も出たけど、私は同じことにチャレンジし続けることで何かを超えてみたかったんです。同じ曲を歌って、あのときのほうが良かったという意見はあるかもしれないけど、今回がめっちゃ良いと言ってくれる人が多くいたら、自分に勝利できる気がして。でもMay’nちゃんが、違いを大事にしていた気持ちもすごくわかるから、バランス的にも私は(変えないという)守りに入ったほうが良い気もしたんです。

May’n それは言ってくれてたよね。私は前にやっちゃったからなぁって言っても、「あのときを見てない人は絶対にいるよ!」とか「見ていても、もう一度見たいんだよ!」って言われて、確かに!ってなって(笑)。その意見を受けて、「サヨナラノツバサ」や「ライオン」を歌うことに決めたんです。でも同じ曲をやったとしても、私たちのパフォーマンスとか、ちょっとした熱量、気合いとかで超えられるものなんだなぁってことには気付かされたので、2人だからできたこと、1人だと気づかないことってあるんだなと思いました。

――同じことをやりたくないって、河森監督かと思いました(笑)。

May’n あははは(笑)。

中島 でも、そのイズムはあると思います!

――でも、「サヨナラノツバサ」の流れっていうのはマストで見たかったと思います!

May’n しかもクロスオーバーのときは最後までできなかったしね。「ホシキラ」まで。

中島 そうだね。そこからの「dシュディスタb」までやっていない、という心残りも正直あったし、映像を付けられるのはマクロスの単独公演ならではだから良かったです。



14年前にリハで背中を見ていたときからかっこよさが全然変わっていない!(中島)



――パッケージを発売するにあたり、映像で振り返ったと思いますが、ライブはいかがでしたか?

中島 「OPENING / Prologue F」はあったけど、歌としては「トライアングラー」が実質1曲目で、ここまでの感慨を持って2人でステージに出ていったことってあったかなと思ったんです。レコーディングのときに、今まで称え合うことがなかったというのは、どこか背中合わせになっている感じだったからでもある気がして。

May’n シェリルとランカだから、背中合わせは多かったよね。

中島 ある意味それぞれの方向を見ていたのが、『犬フェス!』で交わって。ただここでの交わりって、私たち2人のことで、シェリルとランカが、という演出ではなかったんです。『クロスオーバー』でも、フェスだったから2人で正面を向いて、『マクロスF』は負けない!って戦いに行く感じだったと思います。でもこの単独公演の「トライアングラー」は、2人で階段を登って前を向いて歌って、一度も目線は交わさないけど、心で目線を交わしている感じがするんです。だからシェリルとランカが向かい合っているライブのような感じがしたし、そう思えたのが「トライアングラー」だったというのも面白くて。初めてこういう感覚で歌っていると思ったんですよね。誰とも戦わなくていい!みたいな感覚。

May’n 「トライアングラー」ってシェリルとランカが歌うバージョンもあって、それを1曲目に置いたのは、フロンティアのOPテーマで始めたかったというこだわりが私たちの中であったからなんですよね。『マクロスF』の世界に来たね!ってお客さんにも感じてほしいし、私たち自身もそれを感じながら歌っていたし。

中島 「トライアングラー」が1曲目というのは満場一致で、一度も動かさなかったよね。

May’n そうだね。これまで頭に置いたことはなかったけど、一度も変わらなかった。しかも、あのOP映像が使えることも嬉しくて!

中島 映像は泣けた!08年をすごく思い出したし、TVシリーズのOP曲から始めることが大事だったんです。



――それで言うと、神戸公演でのCMランカメドレーは、それこそTVシリーズのランカの下積み時代の曲だし、単独公演だからこその選曲ですよね。

中島 それはMay’nちゃんの強い希望でしたね(笑)。

May’n 私の強い希望です(笑)。それぞれの活動の中で、「星間飛行」や「アナタノオト」という代表曲は、ランカとしてのステージとは違うかもしれないけど聴ける機会はあると思ったんです。CMランカこそ、単独公演でしか聴けないんじゃないかなと思って、「見たい!」と(笑)。今回の限定盤では、日替わり曲を全部収録することができたので、本当に良かったなって思いました。

中島 日替わり曲は良かったよね!

――これも単独ならではですが、本編の曲ではなく『マクロスF cosmic cuune』に収録されている「タブレット」や「Songbird」も日替わり曲でやっていたのが印象的でした。

中島 アニメ本編に使われている曲ではないですけど、歌うことにこだわりがありました。幕張2日目に私が「Songbird」を歌っているけど、そのあとにシェリルが「妖精」を歌っていて。幕張1日目のシェリルの「リーベ〜幻の光」も本当に良かったし。

May’n 1日目は、ランカは「蒼のエーテル」を歌っているから、2人のバランスは取っていましたね。2人ともTVシリーズで使われていない曲を入れるっていう。

中島 神戸公演のシェリルの「天使になっちゃった」も良かったなぁ。

May’n このライブはコロナ禍で一度延期しているんですけど、前は神戸の追加公演はなかったんです。でも2日間あるから日替わり曲を作ろう!となって。その後、神戸公演が決まったときに、東京のどちらかのセットリストだねって話があったけど、さらに日替わりを増やしませんか?と言ったら、佐々木(史朗)さん(フライングドッグ代表取締役社長)が「え?」って顔をするという(笑)。

――神戸で日替わりが、さらに増えていますからね(笑)。予算が膨らむ。

中島 でも私は「天使になっちゃった」推しだから、聴けて良かったです。すごくシェリルだな〜って思う曲なので。

May’n シェリルらしいよね。こういう角度からシェリルを表現できる曲はなかなかないし。

――中島さんがリクエストをしたわけではない?

中島 私は内心でずっと歌ってほしいと思っていたけど、「天使になっちゃった」は、歌うことになったのを聞いて、「聴けるんだ!」って嬉しい驚きでした。

――それぞれ、この曲は!っていうシーンはありましたか?

May’n これも愛ちゃんが言ってくれたことだけど、コロナ禍で、この時間内で終わらせないといけないというのがあったんです。持ち曲も多いし「ライオン」は、メドレーの中に入っているから、泣く泣く削るのもありじゃないかと言ったら、「いやいや、あのイントロが大事でしょ!」みたいな話を愛ちゃんもスタッフさんも言ってくれたのを覚えてる。

中島 そうそう。リスナー目線みたいなものがあるからね。

May’n あのイントロでものすごくアガったから、やって良かったなと思うし、名曲は何度聴いても良いんですよね。その「ライオン」も、以前と同じパフォーマンスをしつつ、確実に進化していたと映像を見て思ったんです。もっとすごい動きをしてやろうとかいう気持ちがお互いあるわけではないけど、確実に芯や熱は増してて、それが素敵だなって思いました。

――映像で見ているとよくわかりますけど、May’nさんは本当に命削りながら歌っていますよね(笑)。

May’n 寿命が減って、だけどみんなのパワーでそれを取り戻して、プラマイゼロみたいな感じです。

中島 ステージ裏の待機スペースにあるモニターで「ノーザンクロス」を見ていたんですけど、今回BDには、当日の熱量をそのまま閉じ込めているなって思ったんです。本当に命を燃やしている感じがして感動したんですね。ライブでは次の「ダイアモンド クレバス」でセンターステージに移動しないといけないから、全部は見れていないんだけど……。

May’n 裏にファンがいた(笑)。

中島 あはは(笑)。でも、願わくば私たちも正面から見てみたいライブでした。当日も、見られるときは裏で見ていて、映像だと表情も見られるし、細かい振り付けもよくわかるんですよね。今回のパッケージをチェックしているときも、あのとき見た熱量のままだったから、それがすごく嬉しかったです。シェリルの曲で推し曲はかなりあるけど、特に「ノーザンクロス」の表情とか、首筋は見てほしい!

May’n 私、血管がやばいんだよね……(笑)。

中島 腕とかも見てほしい!あのかっこよさは、14年前にリハで背中を見ていたときから変わっていないんですよね。

May’n それは私もですね。当時からまったく変わらないかわいさとあどけなさ!!

中島 あはっ(笑)

May’n キャリアも重ねて年齢も重ねているのに無垢な歌声をキープできるのは天才だと思う。しかもそれが演技ではないので、本当にすごいなって思いました。そこからさらに素敵になっているところもあるし、思い出すな〜って思いながら見ていました。

――最初のステージから比べると、中島さんの表現力はものすごく上がっているんですけど、May’nさんが言っている無垢さみたいなのはずっとあるんですよね。いつ聴いてもグッとくる凄さがあるんです。

中島 無垢か〜(笑)。

May’n 「まだ少女はこの先に待ち受けることを何も知らない。」というナレーションが入ってもおかしくない声をしている(笑)。

中島 そうなんだ(笑)。でもそれはたぶん菅野さんの曲のパワーな気がするなぁ。菅野さんの曲って、いつ歌っても、あのときの気持ちに自然となれちゃうんですよね。何て言えばいいんだろう、今回は私たち2人で考えるライブだったので、河森さんイズムとか、菅野さんイズムをすべて出すのとは違うかもしれないけど、どこかでDNAはあって、それに支えられているんですよね。当時から変わらないパフォーマンスができたのは、お二人の教えとかを、あの頃たくさんもらったおかげだと思うんです。だからこの先何年経っても、変わらないでいられる気が、今回のライブでしました。

May’n そうだね。

――菅野よう子さんの楽曲は、何年経ってもまったく色褪せないところがすごいんですよね。

May’n 未だに最先端感がありますからね!

中島 河森さんも菅野さんも50年先くらいを見据えて生きているんでしょうね。

May’n 常に未来!

中島 ソロのシンガーとアイドルって2008年っぽかったのかな?でも曲は一切古く感じない。だからもう、すごすぎるんです(笑)。



TVアニメ第1話の、シェリルがアルトくんに抱きかかえられて歌うシーンを再現したい!(May’n)



――これだけは聞きたかったんですけど、「ホシキラ」はいかがでしたか?

中島 この曲を語るのはすごく難しいんですよ……。言葉を尽くせば尽くすほどダメな気もして。

May’n どんな気持ちで歌っているの?ある意味、何も考えていない感じ?

中島 何を言ってるの?って思われるかもしれないけど、紙飛行機が見えているだけなんですよ。

May’n へ〜〜!素敵!

中島 それで5分くらいが過ぎていくんです。

May’n もう、無なんだね。

中島 ある意味、無なんです。特に今回のこのステージに関しては、そうだったなぁ。このライブのパンフレットの取材の時に初めて聞いたんですけど、2010年の『マクロスF 超時空スーパーライブ cosmic nyaan(コズミック娘)』の最後の「Merry Christmas without You」で、私が1人残って終わったのは、「サヨナラノツバサ」のラストを暗示していた、と。そんなことは当時は知らされていなくて!だからランカが最後にステージに残っていたんだよって言われて衝撃だったんですね。で、今回のライブでも、「dシュディスタb」の前に私がソロで締めてしまうのは、どうかなって一瞬思ったんです。「サヨナラノツバサ」でせっかく2人が揃ったのに、「ホシキラ」で1人になってしまう。でも、May’nちゃんにステージにいてもらうのも違うし、捌けるのを見られるのも違う。でもそんな難しいところを、演出できれいに「dシュディスタb」に繋げてくれて、私が言葉にできない、したくないようなところも演出で上手に運んでくれたライブだったなって思いました。歌えて良かったです。

May’n 愛ちゃんってそういうところをすごく気にしてくれるんですよ。ソロの曲数とか、ランカがここで出ちゃうとランカのほうが目立っちゃわない?とか。いやいや!『マクロスF』のライブだから、そんなのどっちでもいいよ!って思うし、「ホシキラ」でランカが締めることが大事でしょう!って私は思っていたんです。しかも今回は「dシュディスタb」までやりたいというのがあったし、そこはシェリルからのスタートになるから、「ホシキラ」は絶対にみんなが見れて良かったと思うシーンだったんじゃないかなって思いました。

――生きてて良かったと思いました。

May’n ですよね!あれがあるから「サヨナラノツバサ」も泣けるわけだし。

――アンコールでは、まさかの「時の迷宮」も歌うという。個人的には、最新曲まで歌ったら心残りがなくなっちゃうじゃんと思ったのですが。

中島 ライブ延期前は『劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜』公開前だったから、セットリストには入っていなかったんですけど、延期したことで歌えることになって。

May’n これも歌うか歌わないかがあったけど、次いつ歌えるかわからないんだったら、今歌いたいよねって話をして。

中島 歌割りもライブオリジナルだったから、やって良かったです。



――今回のBlu-rayの特典インタビューで、この先のことも語ってくれていたのですが、それとは別に、今後『マクロスF』でやりたいこととかはありますか?

May’n シェリルがアルトくんに抱きかかえられて、一瞬歌えなくなるけど歌い出す、みたいなシーンがすごく好きなんですよ!確か「射手座☆午後九時 Don’t be late」でしたよね。あれを再現したいなと思うんです(『マクロスF』第1話「クロース・エンカウンター」)。私が高所恐怖症だから、これまでいろいろと皆さんが気を使ってくれていたんですけど、ちゃんとワイヤーが付いていれば……それとリハを1週間くらいいただければ、やりたいなって(笑)。

中島 ドリームだわ!(笑)。

May’n あと、ホログラムの衣装替えとかはもうそろそろ行けるんじゃないかなって思っていますけどね。時代が河森さんに追いついてきていると思うから、ホログラムのスーツを着て、ライブではどんどん衣装替えするのも夢で、実現できそうだと思っています。時代が進むにつれて『マクロスF』の世界を表現できる可能性があると思うと、またライブをやりたいなって思います。

中島 これ、書いておいてくださいね!初めて聞きましたよ!ワイヤーを使う演出のことも。

May’n 私、物は信頼してるのよ。リフターに手すりとか柵はあるけど、手汗ですべらないかとか踏み外したらどうしようと思うからダメで。でもワイヤーは付いているものだから信用しているの。自分は信用していないけど(笑)。

中島 なるほど!それは見たいなぁ。私はアンコールでもともとやれたかもしれない曲や、今回厳選していたから歌えなかった曲があるので、それはぜひいつかやりたいなぁと思いますね。

May’n 「恋はドッグファイト」が聴けなかったことが唯一の心残り。本当の推し曲だから!

中島 すごい推してくれているよね。それも今まで知らなかったし、「放課後オーバーフロウ」をカラオケで歌っているとかも最近知ったことだから(笑)。

May’n 私、先日のこのライブBDの上映会に、ライブビューイングでお客さんとして参加していたんですよ(笑)。そこでライブを大画面で見たときに、もうカラオケで歌えないかも?って思っちゃって。

中島 何それっ!

May’n 自分で好きだから歌うけど、やっぱり愛ちゃんと違うんですよ。あの曲は愛ちゃんが歌ってこそ。「星間飛行」とか「アナタノオト」とか「Songbird」とか、うわ〜良い曲だなぁ、でも私じゃないんだよなってすごく思っちゃう(笑)。それは菅野さんが私たちのことを考えて作ってくださっていたからだけど、改めてランカの曲が素晴らしいのは、ランカのキャラクターと菅野さんの楽曲、プラス愛ちゃんの声が合いすぎているんだなってことで、10年以上経ってさらに気づきました。だから「放課後オーバーフロウ」をカラオケで歌えないかも!

中島 えーー!!(笑)。でも実は歌ってくれるのがカラオケではなく、ライブでやるのはどうかって『デカルチャー!! ミクスチャー!!!!!』を経て思ったんですよ。すごく深い意味はなく、お祭り的に歌うのもいいなって。

May’n 最初、そういうお祭りコーナーをやる案もあったんだよね!

中島 さっきの話、お祭りコーナーに心残りがあると言ったほうが正しいのかもしれない。コロナ禍で人数制限もある中でできた意味はすごくあったけど、それが解けたあとに『マクロスF』という作品をもって、みんなでもう一度お祭りをしたい!今回は、私たちが思う『マクロスF』を届けるライブになったし、それをみんなが受け止めてくれたと思うんですけど、今度は何も気にせず盛り上がることができるお祭りをしたい。それはキャストの皆さん含めて、みんなで「フロンティアって最高だよね!」っていうのをもう一度やれたらいいし、そこで歌ってみたいなって思います。

May’n そうだね。あんなに静かな「キラッ!」も初めてだったしね。

中島 「持ってけー!」もね。でもお客さんが本当に素晴らしくて。

May’n 熱量という意味ではまったく足りないと思わなかった。

中島 うんうん。でもそこからさらに一緒に体感したいなって思いました。それはいつかでいいので!中島がまた暴走しているとか思われたくないので、いつか、やりたいです。

INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一

●リリース情報

Live Blu-ray

「マクロスF ギャラクシーライブ 2021[リベンジ]〜まだまだふたりはこれから!私たちの歌を聴け!!〜 シェリル・ノーム starring May’n / ランカ・リー=中島 愛」

6月22日発売

【Blu-ray通常盤】



価格:¥7,700(税込)

品番:VTXL-44

【Blu-ray限定盤(Blu-ray+特典DISC)】



価格:¥11,000(税込)

品番:VTZL-206

・ライブフォト収録ゴ〜〜ジャスブック(ライブフォト・イラストほか)

・箔押し三方背スリーブケース&デジパック仕様

【完全生産限定ゴ〜〜ジャス盤(Blu-ray+特典DISC+特典CD)】



価格:¥16,500(税込)

品番:VTZL-207

・ライブフォト収録ゴ〜〜ジャスブック(ライブフォト・イラストほか)

・「娘ドラ◎2022+LIVE SELECTION」CD

・ゴ〜〜ジャスパッケージ仕様

・「ギャラクシーライブ 2021」バックステージパス風ネックストラップ

※すべて、ジャケットは「マクロスF」キャラクターデザイン・江端里沙 描き下ろしイラスト

<本編Blu-ray>

[セットリスト]

01.OPENING / Prologue F

02.トライアングラー(fight on stage)

03.Welcome To My FanClub’s Night!

04.ユニバーサル・バニー

05.射手座☆午後九時Don’t be late

06.星間飛行

07.アナタノオト

08.虹いろ・クマクマ

09.What ‘bout my star? @Formo

10.ライオン

11.MC

12.タブレット

13.アイモ

14.Songbird

15.妖精

16.[VENTILATION TIME]

17.ノーザンクロス

18.ダイアモンド クレバス

19.放課後オーバーフロウ

20.娘々FINAL ATTACK フロンティア グレイテスト☆ヒッツ!

ノーザンクロス〜虹いろ・クマクマ〜ライオン(愛・おぼえていますか)〜ユニバーサル・バニー〜オベリスク

21.サヨナラノツバサ 〜the end of triangle

22.ホシキラ

23.dシュディスタb

-ENCORE-

24.MC

25.時の迷宮

26.ENDING -SMS小隊の歌-

27. ENDROLL

<特典DISC>

・11月9日(火)幕張イベントホール公演・日替わり曲

[収録楽曲]

蒼のエーテル・リーベ〜幻の光・オベリスク

・11月23日(火・祝)神戸ワールド記念ホール公演・日替わり曲

[収録楽曲]

禁断のエリクシア・CMランカメドレー(ニンジーン Loves you yeah!〜ダイナム超合金〜だるまゼミナール〜スターライト納豆〜ファミリーマート・コスモス)・そうだよ。・天使になっちゃった・永遠

・バックステージスペシャルメイキング映像

・インタビュー映像(May’n・中島 愛・佐々木 史朗)

ほか

<特典CD>

「娘ドラ◎2022+LIVE SELECTION」CD「娘ドラ◎2022+LIVE SELECTION」CD

01.ドラマ1

02.トライアングラー(fight on stage)

03.射手座☆午後九時Don’t be late

04.星間飛行

05.ライオン

06.Songbird

07.天使になっちゃった

08.サヨナラノツバサ 〜the end of triangle

09.dシュディスタb

10.ドラマ2

11.時の迷宮

12.ドラマ3

[ドラマパート出演]

中村悠一(早乙女アルト)

遠藤 綾(シェリル・ノーム)

中島 愛(ランカ・リー)

井上喜久子(グレイス・オコナー)

桑島法子(松浦ナナセ)

山田親之條(ライブスタッフ)

©2007 BIGWEST/MACROSS F PROJECT・MBS

関連リンク



「マクロス」ポータルサイト

https://macross.jp/

「デカルチャー!!ミクスチャー!!!!!」スペシャルサイト

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