計算してみたら衝撃の金額でぶっ飛んだ! 伊藤かずえさんの「シーマレストア」を普通にやったらいくらかかるのか
この記事をまとめると
■伊藤かずえさんがシーマをレストアして注目を集めた
■費用については公表されていない
■一般の人が同じことを実施したらいくらかかるのかを推測する
メーカーいわく「新車当時の価格は軽く越えている」
女優の伊藤かずえさんが新車から所有する1990年式のシーマが、日産によるレストアを実施したことが大きな話題になった。30年以上乗り、そして26万kmを突破しているだけに、まさにレストアを受ける資格あり、といったところ。当初はそれなりにヤレていたのが、パリッと新車のように蘇ったのには大いに驚いた人も多いだろう。
真のフルレストアとはこういうもの、というのを見せつけられた形だが、ネットを中心にあげられたが「費用はいくらかかったのか?」という疑問の声。下世話な話だとわかってはいても、気になるのもまた事実。また旧車を所有している人から、レストアを考えているので知りたいという声も聞かれたりした。ちなみに日産からはノーコメントで、新車当時の価格は軽く越えているとだけ教えてもらっている。
とはいえ、やはり気になるので可能な限り計算してみたい。
まず期間としてはひとりの専任スタッフが8カ月かかりっきりで作業したという。ただし、このプロジェクトは日産社内の有志が手を上げてスタートしたので、実際のレストア作業以外の部分で、たとえば部品の手配に調整などに何人かのスタッフが関わってはいる。しかしながら、そこはなかなか作業時間には置き換えられないので考慮せず、直接の作業時間で計算すると、1カ月22日作業したとして、176日。1日あたり8時間作業したとして1408時間。時間工賃1万円として、すでに1408万円だ。ちなみに時間工賃1万円というのは、市中の修理工場に比べると高いものの、新車ディーラーでは標準的な値段だし、専門知識が必要となる作業だけに高くはないだろう。
1500万円を超えることが推測できる!
さらにここに部品代がかかる。細かい部分だけでなく、エンジンやミッションもオーバーホールしているし、塗料などの材料代や油脂類代も入れるとので200万円ぐらいか。300万円でも不思議ではないほどだ。シートベルトなど、絶版部品はパーツメーカーの協力のもとで新品にしたとのことだが、これは一般的ではないので計算しない。ただ、一般のレストアで絶版部品の壁にぶち当たると、中古良品を探さねばならず、昨今は程度がそこそこでも高額だったりするので、そうなるとレストア代を圧迫する。
合計すると1500万円を超え、2000万円はいかないにしても高額なのは確かだ。これは有名人のクルマだからとか、日産が手掛けたからというのはまったく関係ない、単純計算の結果。要はレストアをまじめにやると、これだけかかるということ。シーマについてはベース車としての程度は悪くないということだったので、これで収まったとも言える。レストアはとにかく手間がかかる作業で、それゆえ、手抜きやゴマカシが横行することになる。いつも言っているが、費用はもらうにしても他人のクルマを真剣にやる業者はマレと言っていい。
ただ、悪徳業者と言ってしまうのは簡単だが、8カ月で1400万円の売り上げにしかならないとも言える。1年で2000万円にしかならないわけで、それでは工場の経営は成り立たない。実際、レストア作業をしたとしても高くなりすぎて全部を請求はできないという嘆きも聞こえる。だからレストアお断りという整備工場や板金塗装工場はけっこう多い。よくフルレストア済みで300万円といったクルマを見かけるが(旧車高騰で減ってしまったが)、よくよく計算してみれば成り立たないことはすぐにわかる。買ってだまされたという声も聞くが、計算すればすぐにわかることではある。