「四国新幹線」の実現へ向けた地元の動きが活発化しているようです。4島のなかで唯一、新幹線の整備計画が具体化していない四国。地元の政財界は危機感を抱いています。

国が示した四国の新幹線計画2つ 動かず

「四国新幹線」の実現へ向けた地元の動きが活発化しているようです。2022年6月1日(水)、四国の政財界からなる四国新幹線整備促進期成会は、地銀のシンクタンクが調査した「新幹線が都市を変える〜新幹線と四国のまちづくり調査〜」を公表、四国内に整備する10の新幹線駅候補案と、その経済効果などを発表しました。


瀬戸大橋。本州と四国を結ぶ唯一の鉄道ルート(画像:写真AC)。

「10の駅候補は、あくまで案ですが、これをきっかけに議論を進めてほしい思いがあります」。四国経済連合会は報告書の意図をこう話します。

 背景には、北海道から九州までの4島で、四国だけ新幹線の整備計画が具体化しておらず、取り残されてしまうのではないか、という思いがあります。

 1973年(昭和48)年に国が示した新幹線の基本計画の中で、四国新幹線(新大阪〜徳島〜高松〜松山〜大分)と四国横断新幹線(岡山〜高知)の2つが明記されました。しかし現時点でいずれも具体化はしておらず、ほぼ放置されている状態。報告書では、「北陸新幹線、北海道新幹線、西九州新幹線など整備新幹線の完成が見え始めた今、四国の新幹線を具体化できなければ、四国に新幹線が走ることはない。それは、未来永劫、四国が高速鉄道網から切り離された地域であり続けることであり、地域の未来が閉ざされることに他ならない」との強い危機感をにじませています。

 四国に新幹線は必要か、地元でも懐疑的な声があることは期成会も認識しているようです。しかし、JR四国は経営難に陥り、在来線の高速化も望めず、このままでは既存の鉄道の維持すら困難になる−−そのような悪循環を断ち切る抜本的な解決策として、新幹線が必要だといいます。

 このため、期成会は2つの基本計画を整備計画へ格上げすべく、国の調査を実現させることが第一歩だとしています。

「3方向枝分かれルート」実現なるか?

 基本計画に示された2路線の新幹線のうち、四国新幹線整備促進期成会がイメージしているのは次のルートです。岡山を起点とした四国横断新幹線を基本としつつ、瀬戸大橋から高松・徳島方面、高知方面、松山方面の3方向へ枝分かれします。このルートが、費用対効果が最も高い試算とのこと。

 このルートにて、リニア中央新幹線との連絡が図られた場合、四国4県都から東京までの所要時間はそれぞれ3時間以内まで短縮されるといいます。沿線人口は338万人、1kmあたりの人口は1万1200人であり、北陸新幹線や北海道・東北新幹線のそれを大きく上回り、期成会は「人口集積からみて、当然実現されるプロジェクト」と訴えています。

 加えて、在来線(本四備讃線)が通っている瀬戸大橋は新幹線規格であり、今あるインフラが有効活用できるとしています。


期成会が試算する四国新幹線による時短効果(画像:四国新幹線整備促進期成会)。

 四国経済連合会によると、リニア中央新幹線の大阪開通に合わせて、四国新幹線も開業することを目標にしているとのこと。それは、後ろ倒しになる可能性もありますが、早くて2037年です。

 期成会は6月7日(火)にも、国土交通省へ四国新幹線の導入に向けた要望活動を行います。