「サラリーマンたちに感謝」地震から約1ヶ月 すすきののキャバクラで聞いた被災地経済のリアル - BLOGOS編集部

写真拡大

※この記事は2018年10月09日にBLOGOSで公開されたものです

最大震度7、札幌市内でも最大6弱を記録した北海道胆振東部地震から、約3週間後の週末。日本有数の歓楽街・すすきのは多くの客でごった返していた。地震後の1週間は通りに誰もいないような状態から、現在の賑わいを取り戻すまで大きく貢献したのは出張客を中心としたサラリーマンだったという。現地の様々な業態の店舗を取材した。【取材:BLOGOS編集部 島村優】

お金を落とすサラリーマンがいない?

すすきのでは例年9月は一年で最も忙しい時期だが、地震後しばらくは通りに誰も歩いていないような状態が続いた。現在は客が戻り始めているものの、ピークには及ばない。

「少しずつ客は戻ってるけど、それでもまだまだ。毎年9月はすごく忙しく、人の数もこんなもんじゃないですよ」そう教えてくれたのは、すすきので客引きを行う男性。

「地震から一週間は、この一帯にだれも人がいませんでした。人がいないから店もほとんどやってなくて。この通りはガールズバーが一軒だけ営業してて、コンビニを探しに来た人がちょっと飲んでるくらいでした」

少しずつ客は戻っているものの、すすきのの賑わいはまだまだ地震前に及ばない。そういった感想を持っている人は少なくない。

すすきのにあるニュークラブで働く女性も「観光とか出張とか、いろんな人がいるけど本当ならもっと多いはずなんだよね」と話す。

北海道のニュークラブというのは 、いわゆる「キャバクラ」で女性が客の横に座り接客してくれるタイプの飲食店だ。

「サラリーマンは、普段は人数ももっと多いし、お金がある人は飲み方も派手。だからいないと店が少し寂しい。一番口説いてくるのが多いのもサラリーマンだよ(笑)」

じつはこの女性、今回の震災では札幌市内の自宅で被災。リビングで寝ていた時に地震が発生し、倒れてきたタンスで肋骨を骨折したという。

働いている場合じゃないのでは、という質問には「座ってるくらいは大丈夫。でも自分の部屋はもっとぐちゃぐちゃだったから、リビングで寝ていて良かった」と笑っていた。

なお、サラリーマンの口説き文句は「泊まってく?」「ホテル行こう」「可愛いね」といったものが多く、こういったフレーズは「全く何も響かない」とのことだ。

すすきのにいち早く戻ってきたのは出張マンたち

別ジャンルの店舗に行くと、客の動向も少し異なる。すすきのにあるキャバクラで勤務する女性に話を聞くことができた。

なお北海道のキャバクラは、東京では「セクキャバ」などと呼ばれる業態。女性スタッフが横に座って接客するのは同じだが、店によって女性へのタッチが可能な場合もある。

「確かに地震の後の一週間はすごくヒマだったけど(※)、今はほとんど感じないかな?出張とか接待、サラリーマンの団体客がすごく多いよ」

※この女性は週に1~2回程度勤務

こうした店の中は、女性と一対一になれるブース状になっていることが多く、 上司や取引先と来ても気を使わずに好都合だという。

「あとはお願い、みたいな感じで女の子に任せられるからね。電気も暗いし、連れに気を使う人がいても楽しめるんじゃない?そういう人もいるから、最近は忙しいよ」

同じすすきのにある風俗店の店長も「このあたりは一週間くらい本州からの観光客がほとんどいないような状況だったんです。けど、最近は出張の人も少しずつ戻ってきてますよ」と語る。

こちらの店舗は地震から3日後に営業を再開し、現在は節電対応のため室内を暗くしながら営業している。

「すすきのの風俗店が地震後にシャワーを地域の人に貸したニュース知ってますか?あれでかなり有名になったのか、今まで来ていなかったようなお客さんが来たり、タクシーの運転手が連れて来たり、そういう思わぬ理由でも客が増えました」

店長は最後にこう付け加える。「出張などのサラリーマンが中心ですが、やっぱりこういう状況になってもお店に来てくれるのは助かったし、すごくありがたかったですよね。これからもお客さんに喜んでもらえるように頑張って営業していきますよ」