※この記事は2018年09月20日にBLOGOSで公開されたものです

自民党総裁選の投開票が20日、都内の自民党本部で行われた。2012年以来6年ぶりとなった選挙選は、安倍晋三首相(党総裁)が石破茂・元幹事長を破り連続3選を果たした。安倍氏は当選後、「いよいよ皆さんと共に憲法改正に取り組んでいきたい」と憲法改正に意欲を示した。

一方、地方票では安倍首相の224票に対し石破氏181票と接戦となった。石破氏は目標としていた200票を超える254票を獲得。選挙後、「自民党は一色ではない」と語った。

安倍首相「憲法改正に取り組んでいきたい」

安倍首相は当選後、促されて登壇。以下のように決意を語った。

「ごあいさつを申し上げる前に、この度の総裁選でともに議論を交わした石破候補に対しまして、堂々と論戦を展開していただいた石破さん。心から敬意を表し、健闘を称えたいと思います。

(会場拍手)

党員・党友の皆様、そして同僚議員の皆様の多数のご支持をたまわり、再び自由民主党総裁の重責を担うこととなりました。誠に浅学菲才、至らない私ではございますが、先輩たちがそうであったように、全身全霊を傾けて任務をまっとうしていく決意でございます。

選挙で、総裁選挙でお約束いたしました、まずは様々な災害によって被害を被られた皆様が一日でも早く安心して暮らせる生活を取り戻していくことができるように全力を尽くしてまいります。

そして、気象の変化に対応し、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策。3年で集中的に講じ、安心できる日本を築き上げて参ります。

そして、戦後日本外交の総決算を行いながら、平和で安定した、そして日本を確固たるものとして参ります。そして更にはいよいよ皆さんと共に憲法改正に取り組んでいきたい。そう考えております。

戦いは終わりました。自由民主党の立党の精神である、すべては国民のため、これからは皆で一協力して力を合わせて新しい日本を、みなさん作っていこうではありませんか。

(会場拍手)

来年は皇位の継承があります。そして初めてG20サミットが開催され、その翌年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。1964年のオリンピック・パラリンピックを前にして日本は皆がその体に希望と力を感じていました。

あのときのように、私たちはしっかりと前を向いて、そして日本の新しい姿を、新しい国づくりに挑戦していきたいと思います。同志の皆様と力を合わせて、子どもたちの世代に希望にあふれ、誇りある、日本を手渡していくために全力を尽くして参ります。どうぞ皆様よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました」

石破氏「自民党は一色ではない」

一方、石破氏は、国会議員票と合わせて計254票を集め善戦。目標としていた200票を上回った。選挙後、石破氏は取材に対し、以下のように答えた。

――率直にいって安倍総理大臣にどこまで迫れたと受け止めていらっしゃいますか?

自民党の中は決して、一色ではないということは示せたと思います。仮に総裁選がなければそういうことを判断する機会はなかった。自民党は決して一色ではないということです。それが示せた総裁選挙だったと思っています。

――一色ではないということですが、自民党の多様性を示した意味でこの後3期目に入る安倍総理に対しどのように向き合っていかれるお考えでしょうか?

それはこれだけ多くのご支持をいただいたわけです。国会議員の方もそうですし、党員の方にこれだけ多くのご支持をいただいたわけで、それがきちんと政権運営に示されるようにしていくのは私の責任だと思います。

――そのために党内でどういった役割を果たしていきたいとお考えでしょうか?

ですから、それはこれから先も政策の研鑽というのは継いでいかなければならない。今回まだ十分に解明できなかった点、それもあります。経済政策であれ社会保障政策であれ、そういうのをきちんと練磨する。練磨をするだけではなくて、それが党の、そして政府の政策に反映されるように、そこは全力を挙げるのは、私の責任だと思っています。

――安倍総理大臣の人気は最長でも残り3年。いよいよポスト安倍というのがまた出てくるわけですが石破さんとしてはポスト安倍を目指す考えに変わりはないでしょうか?

それは誰かがやらねばならないことです。ですから、誰かがやっていかなければならない。自分がまたそれにふさわしい者であるのかどうか、一生懸命努力をするということだと思いますね。そして今回もそうでしたが、自分としてきちんと納得ができる、それができないままに名乗りを上げるというのは、私は国民に対して失礼なことだと思っていますので、今回色んなことを教訓に、さらに自らを高めていきたいと思っています。

――どういったことを教訓に、そして今回の結果を踏まえてどのように取り組んでいくのでしょうか?

そうですね、地方のご支持というのは多くいただいたと思っています。今回北海道から九州沖縄まで票の出方を研究してみて、ご支持が減ったところ、いただけなかったところをどのようにしてこれからご理解をいただいていくかということは努めなければなりません。それは色んな組織の方々も同様です。政策については、いまひとつ理解が十分でなかったことに対して努力をしていかなければいけませんし、かなり安倍さんとの隔たりがあるところございますね。防災省とか、あるいは憲法のあり方とか。そういう点についてもっとご理解をいただくような努力をしていきたいと思っています。

総裁選の結果は午後2時過ぎに明らかにされた。810票(地方票405、国会議員票405票)のうち807票の有効票で争われ、安倍首相は553票(国会議員票329、地方票224票)。石破氏は254票(国会議員票73、地方票181票)を獲得した。