Appleが障害のある人々も製品を最大限活用できる新しいソフトウェア機能を公開
iPhoneでドアを検知する機能やオーディオコンテンツへのライブキャプション(字幕)導入など、障害のあるユーザーがApple製品を最大限活用するためのソフトウェア機能をAppleが公開しました。すべての機能は2022年後半のアップデートで利用可能になるとのことです。
Apple previews innovative accessibility features - Apple
◆目が不自由な人、あるいは弱視の人向けのドア検出機能
LiDAR、カメラ、デバイス上の機械学習機能を組み合わせて、ユーザーが新しい目的地に到達したときに「ドア」を見つけ、ドアからどれだけ離れているのか、ドアは開いているのか閉じているのか、ノブはレバー式なのか握り玉式なのかといった情報を検出する機能です。また、ドア周辺の記号や標識、部屋番号などの情報も検出可能。
ドア検出はiPhone 12 Pro等LiDARスキャナーを備えたiPhoneおよびiPadで、iOS 15でアプリとして登場した「Magnifier(拡大鏡)」の新しい検出モードで利用できるようになります。
◆Apple Watch Mirroring
Apple Watchに直接触れずとも、音声コントロールやスイッチコントロールと呼ばれるiPhoneの支援機能でApple Watchを操作できる機能です。これにより音声入力や単純な身体のジェスチャーで血中酸素濃度センサーや心拍数モニター、メディアの再生や通話への応答といった機能を利用できるようになります。
◆聴覚障害者や難聴者向けのライブキャプション
聴覚障害者や難聴者向けに、電話やビデオ会議、ソーシャルメディアアプリ、隣の人の会話など、あらゆるオーディオコンテンツで字幕を利用できるようになります。FaceTimeの場合は自動翻訳された字幕を表示でき、Macの場合は入力した返事をリアルタイムで音声に変換し、他のユーザーに伝えることができます。以下の動画で、女性が発した言葉が瞬時に字幕に変換されているのを確認できます。
Live Captions in FaceTime
ライブキャプションはiPhone 11以降、A12 Bionic以降を搭載したiPadモデル、およびAppleシリコンを搭載したMacで、2022年後半に英語(アメリカ、カナダ)でベータ版が利用できるようになります。
◆VoiceOverの強化
文字読み上げ機能のVoiceOverユーザー向けに、Apple Maps(マップ)で音と触覚によるフィードバックが提供される予定。加えてベンガル語やブルガリア語など、20種類を超える新しい言語が追加されます。なお、日本語はすでに対応済みです。このほか、MacのVoiceOverユーザーは新しい校正ツールを使用して、スペースの重複や大文字の置き忘れなどの一般的な書式設定の問題を検出できます。これによりドキュメントや電子メールの校正がさらに簡単になるとのことです。
◆その他の機能
・Buddy Controller
友だちなどにゲームのプレイを手伝ってもらうことができる機能です。
・Siri Pause Time
Siriがリクエストに応えるまでの待機時間を調整できる機能です。
・音声制御スペルモード
音声でスペルをカスタムできるオプションです。英語(アメリカ)のみで利用可能になるとのこと。
・音認識
自宅のドアベルや家電製品など、その人に応じた音を認識するようにカスタマイズできる機能です。
・Apple Books
テキストを太字にしたり、文字や単語間の間隔を調整したりするなどのオプションで、読書体験を向上させるとのことです。
Appleのアクセシビリティポリシーおよびイニシアチブのシニアディレクターであるサラ・ヘリンジャー氏は「私たちは仕事のあらゆる側面にアクセシビリティを組み込んでおり、すべての人に最高の製品とサービスを設計することに取り組んでいます。アップル全チームの革新性と創造性を組み合わせて、ユーザーのニーズと生活に最適なこれらの新機能を導入できることを嬉しく思います」と話しました。