気候変動対策として数々の研究が行われる中、畜産や米の生産時に多くの二酸化炭素が排出されていることが明らかとなっており、気候変動を抑えるために食事習慣の変革が必要であると指摘されています。新たにヘルシンキ大学の研究チームによって「食肉の代わりに植物由来の合成肉や培養肉を摂取すれば二酸化炭素排出量を80%削減できる」という研究結果が発表されました。

Incorporation of novel foods in European diets can reduce global warming potential, water use and land use by over 80% | Nature Food

https://doi.org/10.1038/s43016-022-00489-9

Lab-grown meat and insects 'good for planet and health' - BBC News

https://www.bbc.com/news/science-environment-61182294

How researchers say we can help fight climate change at mealtime

https://www.usatoday.com/story/tech/science/2022/04/25/climate-change-food-systems-finland/7389885001/

食糧の生産から消費までには農業機械の使用・肥料の散布・食糧の輸送といった二酸化炭素を排出する過程が含まれています。中でも牛肉・豚肉・鶏肉といった食肉を生産する際は多くの二酸化炭素が排出されることが知られており、二酸化炭素排出量を抑えるために新たな飼育方法の開発や、食肉の代わりとなるタンパク質源の普及が必要とされています。

食肉や米の生産は気候変動にどれだけの影響を与えているのか? - GIGAZINE



食肉の代わりとなるタンパク質源としては昆虫や植物由来の合成肉、培養肉などが話題となっており、日本でもファストフード店などで植物由来の肉を手軽に楽しめる環境が整い始めています。研究チームが行った試算では、食肉や牛乳などの動物性食品を上記のような代替食品に置き換えると二酸化炭素排出量を80%削減できることが判明しました。



また、動物製食品の80%を代替食品に置き換えた場合でも二酸化炭素排出量を75%削減することが可能とのこと。研究チームの代表であるレイチェル・マザック氏には二酸化炭素排出量を抑える1日の献立として以下のような献立を挙げています。

朝:昆虫由来のタンパク質粉末を培養細胞から抽出したミルクに溶かしたシェイク

昼:培養肉のハンバーガー

夜:真菌由来タンパク質で構成された合成肉のブリトー

なお、今回の試算では、代替食品に切り替えずとも食肉の消費量を減らすだけで二酸化炭素排出量を60%削減できることも示されています。