SNSから事件に 子どもの被害どう防ぐ
インターネットを通して知り合った人に直接会いに行き、中学生や高校生が犯罪に巻き込まれるケースが全国で後を絶ちません。先月、東京都内の女子高校生が山梨県で遺体で見つかった事件もきっかけはSNSでした。
多くの情報を簡単に得ることができるスマートフォンは便利な反面、使い方によっては危険と隣り合わせです。犯罪を未然に防ぐために事件の傾向やその対策について調べました。
記者:「知らない人とやりとかってしたことありますSNSで?」
女子高校生:「したことないです。相手の本当か分からないからその情報がだから恐いなって、それ簡単に信じちゃいけないなと思います。知らない人と簡単に会うとか連絡取るとかはあんまりやめた方がいいよって学校でも言われるし親にも言われたことあります」
誰もが簡単に交流のネットワークを広げられるSNS。しかし、この手軽さが重大な事件につながるケースが あります。
県内でもSNSを通して18歳未満の少年が犯罪に巻き込まれる福祉犯と呼ばれる事件が発生しています。
どのような種類の手口があるのでしょうか。
栃木県警察本部 人身安全少年課 矢田貝伸行 人身安全対策官:「SNSは相手が見えない匿名性の高いツールです。SNS上では優しい人に見えたとしても本当の顔は見ることができませんので安易に使用するのは危険です。SNSで知り合った人と直接会って誘拐や性的被害に遭う事件も発生しています。SNS上の相手に下着姿や裸の画像の送信を強要されるといった事件も発生しています」
そして近年、被害にあう年齢層の傾向が変わったといいます。
矢田貝伸行 人身安全対策官:「SNS等を通した福祉犯の被害児童生徒は令和元年まで20人台で推移していました。年齢別にみますと16歳が最も多かったのですが、令和2年から本年にかけて14歳が最も多くなっています。低年齢化の傾向がみられます。要因としてはスマートフォンのインターネットツールが中学生への低年齢層への普及やフィルタリングの未設定が要因と考えられます」
スマートフォンの利用率について去年と6年前を比べると小学生や中学生の利用が急激に上がっていますが、閲覧を制限するフィルタリングの設定率は全ての年代で低くなっています。
矢田貝伸行 人身安全対策官:「SNSは便利なツールである反面、使い方を誤ると事件の加害者にも被害者にもなり得る危険なツールでもあります。児童・生徒、保護者がSNSの危険性や安全利用について理解し、家庭におけるルールを作り、適正に使用することが事件の被害防止にとても重要です」
栃木県では改正された県青少年健全育成条例が今年7月から施行され、青少年に対して裸や下着姿などの性的な「自画撮り」の提供を求める行為が禁止されました。
悪質な方法で要求行為をした場合、30万円以下の罰金が科されます。
栃木県カウンセリング協会の理事長で臨床心理士の丸山隆さんは子どもや保護者から数多くの相談を受けた経験から体と心がアンバランスな多感な時期にまずは子どもの心理状況を把握することがネットが関係した犯罪被害防止につながると指摘します。
栃木県カウンセリング協会 丸山隆 理事長:「中高生ぐらいになると自分が周りからどう見られているか自我が発達するのでそういうことがすごく気になるようになる。現実の家族とか人間関係がすごく寂しかったり話を聞いてもらえなかったり、あるいは友達がうまく出来ないとかSNSの世界でむしろ生きがいを見いだす。この人たちだけが分かってくれるすごく魅力的に写るんですね。だから本人の話を聞いて普段からつながっておくことが大事なんだと思います」
そして、今は学校の授業でもインターネットの活用が進み、より幼い世代から利用する機会が増える中家庭内でルールを決めることが重要だと話します。
丸山隆 理事長:「本能的な脳、快楽を求める脳の方が先に発達していわゆる前頭葉といわれる理性の脳、ブレーキの脳は後から発達するわけです。低年齢で持つことになると面白い楽しい面白い楽しいそういうことにどんどんどんどん惹かれていっちゃうのできりが無くなっちゃうんですよ。中学生ぐらいに持たせるというなら夜はスマホ自体を預かるよとか契約をするときにきちんとこういうふうなフィルタリングはかけるよとか、きちんと分かるように説明してやっていくことがすごく大事。一度自由にさせてから戻すのは難しい」
インターネットを介した犯罪から子どもを守るために。正しい活用に向けたリテラシー教育といつでも対話できる関係性を構築することが大切です。
丸山隆 理事長:「スマホをどう活用するかということをきちんと話し合ってルールを作っておくことが1つ。それから普段から話し合う関係を作っておく。自分の子どもは家の中に居場所をもっているのかなって振り返ってみるのもいいんじゃないですか、こういう機会に」