79歳、ひとりの老後を楽しむ。料理研究家・村上祥子さんのシンプルな暮らし
人生100年時代、これから先の暮らしについて考えるの人も多いのではないでしょうか?
ここでは、年齢を重ねて、ますますパワフルに、輝きを増している料理研究家の村上祥子さんにお話を聞きました。村上さんのシンプルで潔い暮らしぶりには、老後を楽しく生きるためのヒントがつまっていました。
ひとり暮らしになって7年目の村上さん。健やかで快適なシニアライフを送るためにしている工夫を、教えていただきました。
夫と2人暮らしになった65歳のときにつくったコンパクトなキッチン。セミオーダーのシステムキッチンで、コンロは1台だけ。
村上さんのパワフルな日常を支えているのは、「コンパクトでシンプルな暮らし」です。広い住まいの中で、実際に生活に使っているスペースはほんの一部。そこに厳選した少ないものだけを置いて、こざっぱりと気持ちよく暮らしています。
「よく使うものだけを見えるところに収納することで、欲しいものにすぐ手が届くし、ムダな時間も省くことができます」。
なにより大切にしているのは、どんなに忙しくても3食きちんと食べること。「シニア世代は、つくるのも食べるのも面倒になりがち。でも、人生を底支えしてくれるのが『食べ力』です」。自家製の「一食分冷凍パック」を常備するなど、忙しくてもエネルギー不足にならない工夫をしています。
「ひとり暮らしは自由だけれど、だらしない生活をしていては、自立の喜びを味わうことはできません。だれが見ていなくても部屋をきれいに保ち、3食つくって食べる。人生最後の日まで好きなことをして生きていくためには、その繰り返しこそが大切だと思います」。
小さいキッチンを置いた約6畳のLDKが、村上さんの生活の拠点です。
「部屋が広かったりものが多かったりすると、掃除や片づけに時間がかかって、それだけで疲れてしまいます。シニア世代になったら、暮らしをシンプルにするべき」
30着をオールシーズンで着まわすので、クローゼットの中はスカスカ。衣替えも不要です。
キッチンツールや調味料も最小限に。「可動式のキッチンワゴンは、手を伸ばせば届くので便利」
食器棚は置かず、食器はすべて壁に取りつけた2段のオープン棚に「見える収納」を。
「食事の時間が来たらすぐに食べられるようにできないものか」と考えて生まれたのが、冷凍庫に常備する、自家製の「1食分冷凍パック」。
「このパックがあれば、いつでも栄養バランスのとれた料理がすぐにできますよ」。
タンパク質50g+野菜100gを保存袋に入れて冷凍。調味料を加え、電子レンジでチンするだけで栄養満点の夕食に。
普段からよく歩くことを心がけているので、運動不足の心配はありませんが、さらにトランポリンで「跳ぶ」運動も加えて、足腰を鍛えています。
「毎朝、ニュースを観ながらリズムよく100回跳ぶのが日課です」。
「だらしない生活をしていると、投げやりな気持ちになってしまいます」と村上さん。朝はまず掃除から始めるのがルール。
「家をきれいにしていれば、いつ、どんなとき人が訪ねてきてくれても気持ちよく迎え入れられます」。
かたく絞ったハンドタオルを指に巻きつけて、ほこりや汚れをキュッキュとふいていく。
広いフロアの掃除は、ロボット掃除機と一緒に。「彼の手の届かないところをふき掃除します」。
幸せなシニアライフのためには、いい人間関係に囲まれていることが必須。
「家族や友人においしいものをお裾分けしたり、手づくりのお総菜を宅配便で送ったりする手間は惜しみません。食が、人と人との絆を結んでくれます」。
料理教室の生徒さんたちや、スタッフとの交流を大切に。
総菜をたくさんつくったときは、息子のお嫁さんにお裾分け。
出かけるときは、バッグに本を1冊。「読書好きなので、バスや電車で移動するときが貴重な読書タイム。最近おもしろかった本は、内田樹さんの『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』ですね」。
<5:30> 起床・ミルクティー、にんたまジャムをいただく
<6:00> 洗濯物の片づけ、部屋の掃除、外の落ち葉掃き
<7:00> 朝食(一汁一菜)、ニュースを観ながらトランポリン100回
<8:00> 入浴、身支度(メイク)
<9:00> 階下のスタジオに出勤、本日の仕事メモを作成→スタッフの机に置く、コーヒーのセット、お菓子の準備など
<9:30> 撮影、取材など(昼食はさむ)
<16:30> スタッフ退社後、あと片づけ・翌日使う食材の購入・メール、原稿執筆など
<20:00> 夕食・新聞を読んだり、テレビのニュースを観る
<23::00> 就寝
<撮影/戸高慶一郎 取材・文/ESSE編集部>
●教えてくれた人
料理研究家、管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学客員教授。電子レンジ調理の第一人者として注目を浴び、著書は500冊以上。『60歳からはラクしておいしい 頑張らない台所
』(大和書房刊)でレシピ本大賞2020エッセイ賞を受賞
ここでは、年齢を重ねて、ますますパワフルに、輝きを増している料理研究家の村上祥子さんにお話を聞きました。村上さんのシンプルで潔い暮らしぶりには、老後を楽しく生きるためのヒントがつまっていました。
村上祥子さんの“おひとりさま”の老後を楽しむ秘訣
ひとり暮らしになって7年目の村上さん。健やかで快適なシニアライフを送るためにしている工夫を、教えていただきました。
夫と2人暮らしになった65歳のときにつくったコンパクトなキッチン。セミオーダーのシステムキッチンで、コンロは1台だけ。
村上さんのパワフルな日常を支えているのは、「コンパクトでシンプルな暮らし」です。広い住まいの中で、実際に生活に使っているスペースはほんの一部。そこに厳選した少ないものだけを置いて、こざっぱりと気持ちよく暮らしています。
「よく使うものだけを見えるところに収納することで、欲しいものにすぐ手が届くし、ムダな時間も省くことができます」。
なにより大切にしているのは、どんなに忙しくても3食きちんと食べること。「シニア世代は、つくるのも食べるのも面倒になりがち。でも、人生を底支えしてくれるのが『食べ力』です」。自家製の「一食分冷凍パック」を常備するなど、忙しくてもエネルギー不足にならない工夫をしています。
「ひとり暮らしは自由だけれど、だらしない生活をしていては、自立の喜びを味わうことはできません。だれが見ていなくても部屋をきれいに保ち、3食つくって食べる。人生最後の日まで好きなことをして生きていくためには、その繰り返しこそが大切だと思います」。
●“小さいスペースで”“少ないもので”が身軽に生きるコツ
小さいキッチンを置いた約6畳のLDKが、村上さんの生活の拠点です。
「部屋が広かったりものが多かったりすると、掃除や片づけに時間がかかって、それだけで疲れてしまいます。シニア世代になったら、暮らしをシンプルにするべき」
30着をオールシーズンで着まわすので、クローゼットの中はスカスカ。衣替えも不要です。
キッチンツールや調味料も最小限に。「可動式のキッチンワゴンは、手を伸ばせば届くので便利」
食器棚は置かず、食器はすべて壁に取りつけた2段のオープン棚に「見える収納」を。
●すぐに食べれてきちんとエネルギーがとれる「1食分冷凍パック」
「食事の時間が来たらすぐに食べられるようにできないものか」と考えて生まれたのが、冷凍庫に常備する、自家製の「1食分冷凍パック」。
「このパックがあれば、いつでも栄養バランスのとれた料理がすぐにできますよ」。
タンパク質50g+野菜100gを保存袋に入れて冷凍。調味料を加え、電子レンジでチンするだけで栄養満点の夕食に。
●毎日100回のトランポリンで足腰を鍛える
普段からよく歩くことを心がけているので、運動不足の心配はありませんが、さらにトランポリンで「跳ぶ」運動も加えて、足腰を鍛えています。
「毎朝、ニュースを観ながらリズムよく100回跳ぶのが日課です」。
●だれが来ても気持ちよく迎えられるように部屋を清潔に保つ
「だらしない生活をしていると、投げやりな気持ちになってしまいます」と村上さん。朝はまず掃除から始めるのがルール。
「家をきれいにしていれば、いつ、どんなとき人が訪ねてきてくれても気持ちよく迎え入れられます」。
かたく絞ったハンドタオルを指に巻きつけて、ほこりや汚れをキュッキュとふいていく。
広いフロアの掃除は、ロボット掃除機と一緒に。「彼の手の届かないところをふき掃除します」。
●食が人と人との絆をつないでくれる
幸せなシニアライフのためには、いい人間関係に囲まれていることが必須。
「家族や友人においしいものをお裾分けしたり、手づくりのお総菜を宅配便で送ったりする手間は惜しみません。食が、人と人との絆を結んでくれます」。
料理教室の生徒さんたちや、スタッフとの交流を大切に。
総菜をたくさんつくったときは、息子のお嫁さんにお裾分け。
●移動の時間は貴重な読書タイム
出かけるときは、バッグに本を1冊。「読書好きなので、バスや電車で移動するときが貴重な読書タイム。最近おもしろかった本は、内田樹さんの『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』ですね」。
●【村上祥子さんの一日】
<5:30> 起床・ミルクティー、にんたまジャムをいただく
<6:00> 洗濯物の片づけ、部屋の掃除、外の落ち葉掃き
<7:00> 朝食(一汁一菜)、ニュースを観ながらトランポリン100回
<8:00> 入浴、身支度(メイク)
<9:00> 階下のスタジオに出勤、本日の仕事メモを作成→スタッフの机に置く、コーヒーのセット、お菓子の準備など
<9:30> 撮影、取材など(昼食はさむ)
<16:30> スタッフ退社後、あと片づけ・翌日使う食材の購入・メール、原稿執筆など
<20:00> 夕食・新聞を読んだり、テレビのニュースを観る
<23::00> 就寝
<撮影/戸高慶一郎 取材・文/ESSE編集部>
●教えてくれた人
【村上祥子さん】
料理研究家、管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学客員教授。電子レンジ調理の第一人者として注目を浴び、著書は500冊以上。『60歳からはラクしておいしい 頑張らない台所
』(大和書房刊)でレシピ本大賞2020エッセイ賞を受賞