高温多湿で寝苦しく、日照時間の長さで夜更かししがちで、疲れがとれにくい夏。対策を間違うと、じつは逆効果になることも。
そこでESSE読者500人が実践しているケア方法を一斉調査。プロにジャッジしてもらいました。


夏のとれない疲れ。正しいケアは?

夏のとれない疲れ。正しいケアは?



医学博士の福田千晶さん、睡眠コンサルタントの友野なおさん、管理栄養士・料理研究家の牧野直子さんにそれぞれ教えてもらいました。

●睡眠の質を高めることが疲労回復に



疲れがとれない人の多くが陥っているのが、睡眠不足。

「夏は高温多湿で寝苦しく、日照時間の長さで夜更かししがち。睡眠不足になる条件がそろってしまうんです。眠りは心身をリセットする大切な時間ですが、そこが乱れると疲れが蓄積されてしまいます」(友野さん)

家事や仕事で忙しいESSE世代が見直したいのは、睡眠の質。

「短時間でも熟睡できるように、睡眠環境や食べ物、飲み物で工夫を。小さな積み重ねが快眠に役立ちます」



<POINT>
・ぐっすり眠れないと疲れが抜けない
・睡眠時間が短いなら質を高める工夫を

<私はこうしてます!>ジュースをしっかり飲んでエネルギー補給(福井県・30歳)



汗をかいて失われた水分が補給できるし、甘味もあるのでエネルギーチャージにぴったり。

プロの回答「×」:あめなどちょっとした甘いもので十分

ジュースなどの甘い飲料はすぐにエネルギーになる糖分を含みますが、とりすぎには注意したいもの。「日常の軽いエネルギー補給なら、甘い飲み物をたくさん飲むのではなく、塩あめやキャラメル、バニラアイスなどを少量口にするといいですよ。気分的にもほっとします」(福田さん)

<私はこうしてます!>リラックスするために夜はお酒をたしなむ(北海道・32歳)



寝る前に梅酒など軽いアルコールを飲みながら、動画を見るのが一日の楽しみ。

プロの回答「△」:利尿作用が高いので脱水に注意

梅酒やカクテルなど女性が好きなお酒は、アルコール度数、糖分とも高め。「ストレートは脱水になりやすいので、水も一緒に飲んだり、炭酸水などで割ること。寝酒を習慣にすると飲酒量も増えやすく、結果、太ります。ほどほどを心がけましょう」(牧野さん)

<私はこうしてます!>休日はしっかり寝だめする(東京都・32歳)



平日は仕事と家事で睡眠時間が5時間ほど。週末8時間以上寝てしまう。

プロの回答「×」:疲れがたまるので寝だめはNG

「寝だめは体内時計を乱す原因になり、平日の睡眠不足を取り戻すことにはなりません。起床時間が遅くなると夜更かしも助長します」(友野さん)。遅く起きるのではなく、いつもより就寝時間を15分ずつ早めるなど、徐々に睡眠時間を確保することから始めて。

<私はこうしてます!>寝不足を防ぐためカフェインは1日1杯(岐阜県・34歳)



緑茶や紅茶、コーヒーなどを飲みすぎると眠れなくなりそうなので、朝だけ飲むことに。

プロの回答「△」:個人差があるので量は気にせず20時以降は控えるように。


「一般的にカフェインは4時間ほどの覚醒効果があるとされていますが、個人差があり、まったく問題ない人もいます」(友野さん)。影響が出やすいと感じる人は、量よりも飲むタイミングに注意。「就寝2時間前または夜8時以降は控えるようにしましょう」

<私はこうしてます!>疲労回復に酸っぱいものを積極的にとる(長野県・33歳)



酢の物、レモン、梅干しなどクエン酸を含んでいる食べ物を1日ひとつはとるのが日課です。

プロの回答「△」:単品ではなくてエネルギーになるものと合わせて

「酢酸の疲労回復効果は、糖質と一緒にとって初めて働きます。酸味のあるものだけでなく、主食や野菜も適量をしっかり食べましょう。野菜のなかでは、トマトやイモ類などが糖質多め」(牧野さん)。糖質制限している人も、夏はストイックになりすぎないように。

CHECK! 疲れによく効く! トマト黒酢がおすすめ


無塩トマトジュース1杯(約1カップ)に黒酢大さじ1を加えると、エネルギー代謝がアップ。
「トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用があり、紫外線の害を防ぐ働きも」(牧野さん)

<撮影/山川修一(福田さん・牧野さん)、山田耕司(美香さん) イラスト/森千章 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【福田千晶さん】



医学博士・ウーマンウェルネス研究会メンバー。健康科学アドバイザーとしてメディアに出演。著書に『ホントはコワイ夏バテ51の対策
』(日東書院本社刊)

【友野なおさん】



睡眠コンサルタント。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、講演や執筆などで活動。著書に『正しい眠り方
』(WAVE出版刊)など。

【牧野直子さん】



管理栄養士・料理研究家。ムリなく続く栄養指導をモットーに、テレビ、雑誌などメディアをはじめ、保険センターでの栄養指導など幅広く活躍。著書多数。