火を使わない料理のすすめ。トマトやニンジンは暑い夏の救世主<暮らしっく>
作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。
今回は、いちばん暑い季節の今、大変な料理のこと。火を使わない保存食についてつづってくれました。
暑中お見舞い申し上げます。
いやー、暑いですねえ。暑いというか“熱い”という方がしっくりくるレベルです。洗濯物が30分で乾くのは嬉しいけれど。昼間は外に出られないので夕方までは家で静かに書いて過ごし、日が沈むと蚊に刺されながら植栽の水やりをし、近所を散歩する毎日。しそジュースや、梅シロップが大活躍です。みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。
何もしたくないのに、やっぱりお腹は空くのよね。氷ののった、そうめんが食べたい。でも、お湯を沸かして茹でて、冷やして、でき上がる頃にはもう汗だくだくで食欲はなくなっている。料理は好きだけど、火をなるべく使いたくない。凝った料理も秋以降でいいじゃない。これからの夏は、楽に過ごしましょう。
トマトの保存食
私はお酢に頼る。体にもいいし、夏バテしていても酢の物なら食べられる。例えば、庭でミニトマトが大量にとれたら、半分に切ってタッパーに詰めて、そこに、お酢大さじ2杯、塩ひとつまみ、砂糖少々を混ぜ合わせたものをかけ、全体にくぐらせるように混ぜると、そのまま冷蔵庫に入れて保存します。
これで約1週間はもちます。簡単なピクルスのような感じかな。保存して、これをいろいろアレンジして使うのがとっても便利。
そのまま食べても美味しいし、オクラやキュウリなどの夏野菜を足して、オリーブオイル、醤油、胡椒、足りなければ酢をちょろっとかけて、一品の完成。茹でたササミ、タコなどを足せばさらに満足感のあるおかずになる。
どっさりとニンジンのラペを作る途中
ニンジンのラペも同じように大量に作って保存しておく。ニンジン3本をスライサーで、シュッシュとスライスして、それを束ねて千切りにし、お塩一つまみで軽くもんでおきます。漬け込むドレッシングは、家にあるもので適当に。ちょうどレモンがあったので絞り、お酢をスプーン1、オリーブオイル適量、マスタード小さじ1を混ぜ、そこに私は乾燥したクコの実を入れますよ。これで全体に甘みも足されます。
お皿に取り出して食べる時にクミンシードを混ぜたり、ナンプラーかけたり、アーモンド等を砕いて入れても食感が変わっておいしい。あくまでもベーシックな形で保存しておいて、食べる時にアレンジするのがおすすめ。一週間いろんな味を楽しめて全然飽きない。
鶏の軟骨を生春巻きに入れてみた
火を使わないと言えば、生春巻き! ベトナム旅行に行ったときを思い出して、くるくると包んでみるのも楽しかった。ライスペーパーと、スイートチリソース、パクチーさえ買ってしまえばあとは、家にある野菜や冷凍のエビやチキンなど、あるものをなんでも包めばいい。キュウリが沢山あったので、それを千切りにして、パクチーやエビを入れて。卵焼きも入れたり、冷凍していたしらすや、紫蘇やモロヘイヤもおいしかったなあ。
ニンジンラぺを入れた生春巻き
保存したトマトやニンジンのラペを少し混ぜると、アクセントにもなる。手巻き寿司感覚で、いろんな種類を作って楽しかった。
夏は火をなるべく使わない食卓に
夏の台所で火を使う時はまとめて一回で終わらせることを考える。例えば豚肉の生姜焼きだと、ニンニクとショウガを下ろししょうゆを加えたところに豚肉を一晩漬け込んで、翌日、さあ焼きましょう。お肉だけじゃなくて、フライパンの空いたところに、保存トマトやオクラなどの添え野菜を入れて一緒に焼いてしまいましょう。それで一皿が完成ですよ。
今朝も、トウモロコシを茹でたのだけれど、水からトウモロコシを茹でて沸騰したらそこにオクラを入れて、モロヘイヤも入れてしまう。火の通りやすいモロヘイヤから順々に出していくと、一回で終わります。オクラとモロヘイヤは納豆と混ぜたり、保存トマトと和えてサラダに。
夏の料理が少しでも楽になるように、保存野菜は強力な助っ人になるので是非試してみてください。まだまだ長い暑さとの闘いですが、水分をしっかり取ってよく食べよく寝て元気にお過ごしください。
1982年、愛媛県生まれ。作家・作詞家。最新刊で初の小説集『ぐるり
』(筑摩書房)が発売。旅エッセイ集『旅を栖とす
』(KADOKAWA)ほか、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』
(ちいさいミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』
(マイクロマガジン社)。主な著書にエッセイ集「いっぴき」
(ちくま文庫)、など。翻訳絵本「おかあさんはね」
(マイクロマガジン社)で、ようちえん絵本大賞受賞。原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなどアーティストへの歌詞提供も多数。公式HP:んふふのふ
今回は、いちばん暑い季節の今、大変な料理のこと。火を使わない保存食についてつづってくれました。
第52回「火を使わない料理」
●暑い日こそ料理を楽にしよう
暑中お見舞い申し上げます。
いやー、暑いですねえ。暑いというか“熱い”という方がしっくりくるレベルです。洗濯物が30分で乾くのは嬉しいけれど。昼間は外に出られないので夕方までは家で静かに書いて過ごし、日が沈むと蚊に刺されながら植栽の水やりをし、近所を散歩する毎日。しそジュースや、梅シロップが大活躍です。みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。
トマトの保存食
私はお酢に頼る。体にもいいし、夏バテしていても酢の物なら食べられる。例えば、庭でミニトマトが大量にとれたら、半分に切ってタッパーに詰めて、そこに、お酢大さじ2杯、塩ひとつまみ、砂糖少々を混ぜ合わせたものをかけ、全体にくぐらせるように混ぜると、そのまま冷蔵庫に入れて保存します。
これで約1週間はもちます。簡単なピクルスのような感じかな。保存して、これをいろいろアレンジして使うのがとっても便利。
そのまま食べても美味しいし、オクラやキュウリなどの夏野菜を足して、オリーブオイル、醤油、胡椒、足りなければ酢をちょろっとかけて、一品の完成。茹でたササミ、タコなどを足せばさらに満足感のあるおかずになる。
保存食は生春巻きなどにも応用できる
どっさりとニンジンのラペを作る途中
ニンジンのラペも同じように大量に作って保存しておく。ニンジン3本をスライサーで、シュッシュとスライスして、それを束ねて千切りにし、お塩一つまみで軽くもんでおきます。漬け込むドレッシングは、家にあるもので適当に。ちょうどレモンがあったので絞り、お酢をスプーン1、オリーブオイル適量、マスタード小さじ1を混ぜ、そこに私は乾燥したクコの実を入れますよ。これで全体に甘みも足されます。
お皿に取り出して食べる時にクミンシードを混ぜたり、ナンプラーかけたり、アーモンド等を砕いて入れても食感が変わっておいしい。あくまでもベーシックな形で保存しておいて、食べる時にアレンジするのがおすすめ。一週間いろんな味を楽しめて全然飽きない。
鶏の軟骨を生春巻きに入れてみた
火を使わないと言えば、生春巻き! ベトナム旅行に行ったときを思い出して、くるくると包んでみるのも楽しかった。ライスペーパーと、スイートチリソース、パクチーさえ買ってしまえばあとは、家にある野菜や冷凍のエビやチキンなど、あるものをなんでも包めばいい。キュウリが沢山あったので、それを千切りにして、パクチーやエビを入れて。卵焼きも入れたり、冷凍していたしらすや、紫蘇やモロヘイヤもおいしかったなあ。
ニンジンラぺを入れた生春巻き
保存したトマトやニンジンのラペを少し混ぜると、アクセントにもなる。手巻き寿司感覚で、いろんな種類を作って楽しかった。
●火を使うの機会は最小限に!保存野菜は強力な助っ人に
夏は火をなるべく使わない食卓に
夏の台所で火を使う時はまとめて一回で終わらせることを考える。例えば豚肉の生姜焼きだと、ニンニクとショウガを下ろししょうゆを加えたところに豚肉を一晩漬け込んで、翌日、さあ焼きましょう。お肉だけじゃなくて、フライパンの空いたところに、保存トマトやオクラなどの添え野菜を入れて一緒に焼いてしまいましょう。それで一皿が完成ですよ。
今朝も、トウモロコシを茹でたのだけれど、水からトウモロコシを茹でて沸騰したらそこにオクラを入れて、モロヘイヤも入れてしまう。火の通りやすいモロヘイヤから順々に出していくと、一回で終わります。オクラとモロヘイヤは納豆と混ぜたり、保存トマトと和えてサラダに。
夏の料理が少しでも楽になるように、保存野菜は強力な助っ人になるので是非試してみてください。まだまだ長い暑さとの闘いですが、水分をしっかり取ってよく食べよく寝て元気にお過ごしください。
【高橋久美子さん】
1982年、愛媛県生まれ。作家・作詞家。最新刊で初の小説集『ぐるり
』(筑摩書房)が発売。旅エッセイ集『旅を栖とす
』(KADOKAWA)ほか、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』
(ちいさいミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』
(マイクロマガジン社)。主な著書にエッセイ集「いっぴき」
(ちくま文庫)、など。翻訳絵本「おかあさんはね」
(マイクロマガジン社)で、ようちえん絵本大賞受賞。原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなどアーティストへの歌詞提供も多数。公式HP:んふふのふ