2021年8月1日、次のような文面のツイートが投稿され、話題となった。

「2021/8/1午前10時25分ころ、花輪字沢小路(沢小路)の桜山公園の遊具付近で体長70メートル程のクマが目撃されております。
付近の住民の方は十分に注意してください。安全が確認できるまで公園には立ち入らないようにしてください」

「体長70メートル程のクマ」にツイッターユーザーの目が釘付けとなり、拡散したわけだ。

もちろんこんな巨大なクマが現実にいるわけがなく......、翌日、次のようなツイートが投稿された。

(お詫びと訂正) 昨日10:41のツィートのクマの体長に誤りがありました。正しくは70cmです。お詫びして訂正します。

一時はザワついたツイッターユーザーも、これで落ち着きを取り戻したのだ。

だが、このツイートの投稿主・「鹿角市役所農地林務課熊出没情報」(@kazuno_kumajoho)とは何だろう。

過去のツイートを遡ると、数年前からクマの目撃情報を発信し続けている。

Jタウンネット記者は鹿角市役所に取材を申し込んでみた。

枝豆、かぼちゃ、トマトまで、被害が広がっている

鹿角市は、秋田県の北東端部に位置する市で、青森県・岩手県と接している。Jタウンネット記者の取材に応じたのは、鹿角市役所の農地林務課だった。熊出没情報の公式アカウント担当者からは、次のような回答が返ってきた。

――「熊出没情報」アカウントの目的は?

「鹿角市内の方にクマの出没情報をなるべく早くお知らせして、被害や遭遇防止に役立てていただくための情報を発信するアカウントです」(鹿角市役所農地林務担当者)

――「熊出没情報」アカウントを始めたきっかけは?

「クマの出没情報をタイムラグがないように発信する方法を模索しており、手段の一つとして試験的に運用しています」(鹿角市役所農地林務担当者)

このアカウントの記録によると、16年頃から運用されているようだ。かなり実績を積み重ねている。

――「熊出没情報」アカウントの方針は?

「今目撃した、近くに出没している、など、危険防止のために有用な緊急性のある情報を発信することにしています」(鹿角市役所農地林務担当者)

――熊出没エリア、熊の頭数、被害など、現在の状況はいかがですか?

「鹿角市でクマが出没しないところはないと思っています。目撃の件数も多く人が暮らしているエリアにも相当な数のクマが出入りしているような気がします。
農業被害は、大規模に作付けされた販売用の作物からわずかな家庭菜園の作物まで多岐にわたっています。食べられる作物にも地域性があり、最近では枝豆、かぼちゃが流行ってきています。今まで報告がなかったトマトまで食害され、とてもがっかりしています。
生活環境の被害については、怖くて散歩もできない、家の外に出れない、などの声も聞きますので影響は大きいと思います」(鹿角市役所農地林務担当者)

――「熊出没情報」アカウントで、「体長70メートル」と投稿され、後日、「体長70センチ」と訂正された件、経緯を教えていただけますか?

「クマが出没した直後の現場におりましたので、余裕がなく文面の確認で見落としてしまいました。誤りがありましたので、次のツイートのときに訂正いたしました」(鹿角市役所農地林務担当者)

――ツイッターなどで話題になっていることに対して、コメントをいただけますか?

「今回の件では、以前からご利用くださっていた方にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。クマの事故防止に向けて今後ともご理解をいただければ幸いと存じます」(鹿角市役所農地林務担当者)