日本の夏は、高温多湿。汗が蒸発しにくいので熱が体にこもりやすく、つい冷たいものとりすぎて、胃腸の調子が傾いてしまうことも…。

「そんなときに、アプローチしたいのが、胃腸の働きを助けるツボです。指圧やマッサージ、お灸などで刺激して、夏を元気に乗りきりましょう」と話すのは、メイ治療室・女性のための鍼灸院の代表で、鍼灸師の吉田明代さん。

早速、効果的なツボや、冷えやむくみに効くマッサージ&ストレッチを教えてもらいました。


ツボ押し&ふくらはぎ刺激でに夏を乗りきりましょう(※写真はイメージです)

深部体温に注目!上手に体の熱を逃がして



気温だけでなく湿度も高い日本の夏は、汗が乾きにくく、深部体温(内臓など、体の深いところの体温)が下がりにくくなるといわれています。暑くなると、自然に冷たい飲み物や食べ物がほしくなるのは、深部体温が上昇しすぎて熱中症にならないように体の機能が正しく働いているから。ただ、悩ましいのは、冷たいものをとりすぎて、胃腸の調子が傾いてしまうこと。

「東洋医学では、とりすぎた水分はその重みで足元に下がり、脚をむくませる一因になると考えます。水は冷える性質があるので、足元も冷えてしまうのです」と吉田さん。

そこで、今回ご紹介するのが「大都(だいと)」のツボです。

●夏を元気に乗りきるためのツボ「大都」




「大都は、足の水分のめぐりをよくして、胃腸の働きも整えてくれるツボです。胃腸がしっかり働くことで、体にたまった余分な水分が排出され、むくみや冷えの解消につながります。腸は免疫を司るといわれていますので、免疫力アップも期待できます」

夕方になると足がむくんだり、冷たく感じたりする人にもおすすめ。今回ご紹介するマッサージやお灸で、大都のツボを刺激してみましょう。

●「大都」を起点に、ひざまでマッサージを



(1) 大都のツボを指圧する


「大都」は、両足の親指の側面、そのつけ根にあるツボです。足の指を曲げたときに、シワができるところにあります。手の親指を使って、大都のツボを気持ちいい程度に指圧してみましょう。

(2) 大都のツボからスタートしてふくらはぎ全体をマッサージする


手の親指を使って、大都のツボ→土踏まず→内くるぶしの後ろ→三陰交のツボ(ふくらはぎの内側)を気持ちいい程度に指圧しながら、そのままひざ近くまでマッサージしてきましょう。片方の足が終わったら、もう片方も。

<三陰交のツボの探し方>


「三陰交(さんいんこう)」は、女性の不調全般に有効なツボで、自律神経のバランスを整える働きも期待できます。足の内くるぶしから、自分の手指を4本そろえた高さの上にあります。内くるぶしのいちばん高いところに手の小指を当てたときの、人差し指の上にくるのが三陰交のツボです」

●3方向に伸ばすふくらはぎのストレッチ



ふくらはぎは第二の心臓といわれています。その理由は、ふくらはぎの筋肉がポンプのように動いて、脚にたまった血液や水分を心臓に向けて、押し戻してくれるからです。

「加齢や運動不足の影響で、筋肉や関節は硬くなりがちです。ふくらはぎの中央、外側、内側をそれぞれ伸ばしてあげると、ふくらはぎの筋肉をまんべんなく伸ばすことができ、しなやかな状態をキープできます」



<3方向ふくらはぎストレッチの方法>
(1) 左足を前に、右足を後ろにして、足を開き、右脚のふくらはぎを伸ばす。

(2) 次に、左足と右足のつま先の位置はそのままに、右足のかかとを少しだけ外側に移動して、ふくらはぎを気持ちよく伸ばす。

(3) 今度は、左足と右足のつま先の位置はそのままに、右足のかかとを少しだけ内側に移動して、ふくらはぎを気持ちよく伸ばす。
※反対側も同様に行う。右足を前に、左足を後ろにして、足を開き、(1)〜(3)の要領で、左脚のふくらはぎを伸ばす。

●大都や三陰交へのお灸もおすすめです



今回ご紹介した大都や三陰交のツボに、お灸をすえるのもおすすめです。お灸の温熱の力でツボが刺激されて、胃腸の働きや自律神経のバランスが整いやすくなります。

自分でできるマッサージ&ストレッチ、そしてお灸のセルフケア。ぜひお試しください。

<イラスト/hoho 取材・文/満留礼子>

●教えてくれた人
【吉田明代さん】



鍼灸師、鍼灸学校非常勤講師。「メイ治療室 女性のための鍼灸院
」代表。妊娠育児による体調変化、PMS、更年期症状などの改善に実績がある。著書に『自分でできるやさしいお灸
』(ナツメ出版)がある。