知れば知るほど世界が広がる!スパイスの雑学&豆知識【前編】
奥深い…!プロに教わるスパイスの雑学&豆知識
macaroniの7月のテーマは『夏の暮らしにスパイスを』ということで、今月はスパイスレシピがたくさん登場します。そのまま作るだけでなく、使うスパイスの知識を深めたうえで料理をすると、よりおいしく、楽しく作れるはず。
そこで本記事では、朝岡スパイスのスパイスコンシェルジュ 伊藤綾子さんにスパイスの特徴やおすすめの使い方などをお聞きしました。ご紹介する種類は、macaroniで実施したアンケート『おうちでよく使うスパイスは?』でTOP10にランクインしたもの。
「スパイス自体の名前を知っていても、詳しく特徴や用途を知らないという方も多いのではないでしょうか。スパイスの個性を知ることで用途の幅も広がりますよ」
そう話してくれた伊藤さんは、スパイスへの愛に溢れるスパイスマニア。日々の料理にも欠かせないんだとか。マニアックなお話をたくさんしてくれましたよ。
気になるスパイス紹介ですが、そのまえにアンケート結果から見てみましょう!
『おうちでよく使うスパイス』10~6位!万能スパイスもここでランクイン
アンケートでは、スーパーで購入できる身近なスパイス20種類のなかから、よく使う5種類をmacaroniユーザーに選んでもらいました。その結果、10~6位まではあまり大差のない票数に。オールスパイスやジンジャーなど、万能スパイスがランクインしています。
「面白い結果ですね。とくにオールスパイスがここでランクインするとは意外でした!もっと下位なのかなぁと。ジンジャーはお肉料理や炒め物、ドリンクでも使いやすいので妥当な気がします。個人的にもよく使用しているスパイスがランキングに入っているのでなんだか嬉しいです」
それではさっそく、10~6位にランクインしたスパイスについてお聞きしていきます。伊藤さんおすすめの使い方も必見ですよ。
【10位】オールスパイス
フトモモ科の実。コロンブスによってジャマイカからヨーロッパに持ち込まれたと言われているスパイスです。
「オールスパイスは、ブレンドされているわけではなく、単体のスパイスなんです。シナモン、クローブ、ナツメグの3つの香りがすることから、オールスパイスという名前がつけられました。相性が良いのもその3種類。
ただ基本的にどのスパイスとも合わせやすく、料理にちょっと使うだけで奥深い味になるので常備しておくととても便利だと思います」
【相性の良いスパイス】シナモン、クローブ、ナツメグ
おすすめの使い方
「ミートソースやひき肉を調理する際に、ナツメグ+オールスパイスをちょっと加えてあげるだけで香り高くなり、ワンランク上の仕上がりになります。オールスパイスを下味に使ったジャークチキンもおすすめです。
グレープフルーツやオレンジなど、柑橘系の果物に直接オールスパイスをかけて、スパイシーなデザートとして食べるのもいいですよ」
【9位】クミンシード
セリ科の一年草。もっとも古くから栽培されているスパイスで、クミンの原形です。カレーには欠かせないスパイスですね。
「クミンの粉末と原形(シード)で用途が異なります。シードはタネなので、油に香りを移すという用途で使用してください。クミンから精油成分が出てきた油で炒めるだけで、本格的な味になります。
火を通したクミンシードはプチプチ食感に。そのまま食べてもいいですし、香りが強すぎるのが苦手な方は油に香りが移ったタイミングで取り除きましょう」
【相性が良いスパイス】コリアンダー、ターメリック
おすすめの使い方
「やっぱり香りを油に移す方法でいうと、野菜炒めですかね。クミンの香りがついているので、少し塩味を加えてあげるだけで十分。エキゾチックな炒め物になります!
あとはカレー。野菜を炒める際にクミンシードを使うだけでも、いつものカレーがさらにおいしくなりますよ」
【8位】コリアンダー
セリ科の一年草。3,000年以上前からあるコリアンダーは、独特な香りが特徴です。料理だけでなく、薬草に使われることもあります。
「コリアンダーは、エスニック料理でもよく使われているパクチーの種子の部分。パクチーほど強烈な香りはしません。カレー粉の中にも必ず入っています。
どんな料理に合わせても風味が豊かになるので、実はとても万能です。合わないものはないんじゃないかってくらい。私はスパイスのなかでコリアンダーが一番好きなんです!」
【相性の良いスパイス】クミン
おすすめの使い方
「コリアンダーは、和の調味料にも合うんです。味噌に粉末状のコリアンダーを混ぜ、みりんと合わせて焼きおにぎりにしてみてください。簡単に変わり種の焼きおにぎりが完成しますよ。
柑橘系や桃などのフレッシュフルーツにも合いますね。甘さのある桃のコンポートにかけても相性が良いです」
【7位】ジンジャー
乾燥させた生姜、パウダーは粉末状にしたもの。日本には2~3世紀ごろに中国から伝わり、奈良時代には栽培が始まっていたと言われています。
「生姜焼きやジンジャーエールなど、身近に感じるスパイスですよね。ビリっとした生姜の風味が特徴なので、いろいろなものに使えますよ。
ブレンドを楽しむスパイスとも言えます。味のアクセントになる、あの刺激的な味はジンジャーにしか出せない良さです」
【相性の良いスパイス】シナモン、クミン、コリアンダー
おすすめの使い方
「いろいろな料理になじみやすいので、変わった使い方はあまりないんです(笑)。肉の下味に使えば、ほんのりジンジャーを感じる仕上がりになりますし、乳製品とも相性が良いためスムージーや、豆乳のドリンクに混ぜるのもおすすめです。
ジンジャークッキーとか、甘いものと組み合わせるのも最高。炒め物とも相性が良いし、本当万能としか言えません!」
【6位】ターメリック
原産地はインド。紀元前より栽培されていると言われるほど長い歴史を持ち、黄金色の着色料としても使われています。別名はウコン。
「昔から沢庵の色付けにも使われていますし、色付けには欠かせないスパイスです。きれいなツヤ感と鮮やかな色味をプラスしてくれます。
味はほんのり漢方のような苦味がありますが、色付けがメインなので、ほかの食材の邪魔をしませんよ」
【相性の良いスパイス】クミン、コリアンダー、カルダモン、トウガラシ
おすすめの使い方
「普通のカレーライスでも、ライスがターメリックライスになっただけでご馳走感がでます。お米2合にターメリックを小さじ1杯弱を入れるのが目安です。
ターメリックは油に溶けるので、炊飯器で炊くときは、バターやオリーブオイルを少し加みてください。ツヤ感が出てきれいな黄色に発色しますよ」
【すべてのスパイス共通】使用・保管上の注意
「スパイスは湿気が弱点。湿気にふれると香りが飛びやすくなります。なので、湯気が立っているところに容器から直接振りかけるのはNG。使用するときは小皿や手にとって使ってくださいね。
また、保管場所は冷暗所がベスト。紫外線にも弱いため、直射日光もNGです。香りは徐々に飛んでいってしまうので、開栓後はなるべく早く使用しましょう」
「何とかけあわせよう?」スパイスはブレンドを楽しむもの
「スパイスの組み合わせに正解はなく、ブレンドレシピは無限大です」と話す伊藤さん。クミンパウダーとクミンシードのように、粉末と原形で用途が違ってくるのがスパイスの面白さでもあります。
特徴やスパイス同士の相性がわかると、用途が広がるのではないでしょうか。基本のレシピを参考に、これ入れたらもっと深み出るかな?なんて自分なりのアレンジもできるようになりますよ。おすすめの使い方もぜひ試してみてくださいね。
取材・文/猪狩明日奈
撮影/有竹亜季(macaroni ライター)