婚活が成功するマインド」とは?(写真:East&West/PIXTA)

もう何年も婚活をしているのに、いっこうに結婚できる相手に出会えないと、大抵の人が婚活疲れを起こす。登録だけしているものの活動をしなくなったり、勧められたお見合いはするものの交際に入っても放置して連絡を入れなかったり、退会してしまったり、結婚には程遠い行動を取るようになる。

仲人として、婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、3年半の婚活期間を経て成婚した40歳の男性の婚活歴をたどりながら、「婚活が成功するマインド」について考えてみたい。

結婚できないのは、自分が悪いのではなく周りのせい

婚活初心者は、婚活を始めたらすぐに結婚できると、最初は思っている。


この連載の一覧はこちら

しかし、実際に始めてみると、そう簡単にはいかない。もちろん婚活を始めてすぐに結婚相手に出会える人もいるのだが、そうした人たちは一握りで、大抵の人たちが、出会っても出会っても、「結婚したい」と思える相手には出会えずに、婚活市場をさまようことになる。

婚活がうまくいかないことが続くと、当然のことながら婚活疲れを起こす。そして、多くの人たちが愚痴をこぼし出す。「相談所のサイトにはロクな人がいない」「今日の方は、これまで独身だったのがうなずけるくらいの失礼な人でした」さらに、仲人への不満にもつながっていく。「仲人が親身になって世話をしてくれない」「仲人が連絡ミスを繰り返しているので、こんなところで活動していても結婚できるはずがない」などなど。

結婚できないのは自分が悪いのではなく、すべてが相手のせい、周りのせいにしている人たちが多い。そのマインドが、良縁を遠ざけているのだというのを、わかっていない。

そんな中で、このたび成婚した義孝(仮名、40歳)は、3年半の婚活の間、私に、一度も愚痴をこぼしたことがなかった。彼は、私のところだけでなく、大手の結婚情報センターにも登録をしていた。活動の場を広げることで、より多くのお相手に出会って、チャンスを近づけたかったからだ。

義孝は、スラリとしたスリム体型で、10歳は若く見える童顔のハンサム。年収も700万円あったので、入会面談をしたときには、そんなに苦労することなく結婚していくのではないかと、私は思っていた。

ところが意外と、苦戦を強いられた。この3年半のうちで、大手結婚情報センターと私の相談所でお見合いした数の合計は、彼に聞いたら170回近くあったようだ。

お見合いは、できる。しかし、成婚に至る相手には出会えない。それが続いていた。

婚活を難航させる6つの要因とは

仲人の経験則で、男性の婚活を阻む要因は、下記のことが多い。

1. 恋愛経験がなく、女性とどう会話をしていいのか、実際にお付き合いに入っても、2人の距離をどう縮めていったらいいのかわからない。

→女性も男性のことをいいと思っていても、相手が動かないので、「私には、興味がない」と解釈したり、動けない男性に男としての魅力を感じなくなったり、付き合っていくモチベーションが下がってしまったりする。

2. 一度も一人暮らしを経験したことがなく、ずっと実家暮らしをしている。

→身の周りのことを母親にやってもらっているから、結婚したとしても、家事や料理はいっさいできず、それらをすべて女性側に押し付けてくるような印象を与える。また、いい年した息子をいつまでも手放さない母親は、そもそも過干渉な親なので、そんな姑のいる男性の元には嫁ぎたくないと思う。

3. ペットを飼っている。

→飼っている側にしてみたら、ペットは家族で、結婚するときは当然一緒に連れていきたいと思っている。しかし、ペットの毛でアレルギーを引き起こしたり、単純に動物が苦手で触れることができない人もいる。ペットと一緒の生活に抵抗を感じる人は、意外に多い。

4. 戸建て、もしくはマンションをすでに購入している。

→“一国一城の主”という言葉があるが、男性は、自分で買った家には愛着を持っているので、結婚後もそこに住みたいと思っている。住む場所が動かせないと、「そこに住んでもいい」という相手に限定される。結婚後も現在の仕事を続けたいと思っている女性も多いので、候補者の幅が狭まる。

5. 喫煙者である。

→今の時代は、ほとんどの女性が、喫煙者との結婚を敬遠している。

6. 特定の宗教を信仰している。

→信仰をしていない人たちにとって、理屈抜きでこれは避けたい条件に入ってしまう。

スムーズにいくと思っていた義孝の婚活がうまくいかなかったときに、うまくいかない要因を私なりに考えてみた。彼は、当時は実家暮らしであったが、一人暮らしをしていたこともあり、家事は一通りできる。ただ、家族がとても仲がよかった。

ある見合いで言われた「お断りの理由」

あるお見合いで、彼はとても女性を気に入ったのだが、お相手からはお断りがきた。お相手仲人に言われた理由が、こうだった。

「お姉さまが2人いらっしゃるそうで、『小さな頃から姉たちから家来のように扱われて、パシリにされていた』と話されて、そこがどうも気になったようです」

彼を頼りなく感じたのだろう。また、そうした男性と結婚したら、うるさい小姑2人が何かにつけ彼をいいようにこき使い、結婚生活にも口を出してくるのではないかと思ったのかもしれない。

さらに婚活がうまく行かない理由を掘り下げたときに、やはりいちばんの理由は、彼の恋愛経験のなさにあると私は思った。

ほとんど恋愛をしないままに30代半ばになったという。35歳のときに1年ほどお付き合いした人はいたが、結局破局した。そんなときに、この連載の【『47歳恋愛経験ゼロ』男が最後に射止めた相手】という記事を読み、共通項をたくさん見出し、自分でも結婚できるのではないかと、私を訪ねてきたというのだ。

その都度アドバイスをしながら進めていった義孝の婚活だったが、この3年半のうちに、私のところでの活動では、結婚にたどり着きそうになった女性が2人いた。

1人は、昨年1月の頭にお見合いした由果(仮名、当時35歳)だ。2人は、交際に入ってから毎日連絡を取り合い、週に1回はデートを重ねて、順調に関係を育んでいた。

ところが、コロナの感染拡大を報じるニュースが日に日に大きく報道されるようになった。2月にダイヤモンドプリンセスの船内感染がわかって以降は、驚くほどの速さで国内感染が広がっていき、4月には緊急事態宣言が出された。

由果はコロナにとても敏感だった。コロナの感染拡大が日に日に深刻化していく中で、LINEのレスは来るのだが、まったく義孝に会おうとはしなくなった。そして、会えないままに約4カ月が過ぎた。LINEでのやりとりはできている。せっかく築いた関係をダメにしてしまうのが惜しい気持ちと、このまま関係を続けていても結婚にはたどり着かないのではないかという思いが交錯した。

あるとき、義孝から連絡がきた。

「コロナはいつ終息するかわからない。この様子だと結婚までたどり着くのにそうとうな時間がかかる。会えていないから、彼女の気持ちが離れているのも感じています。ここで交際終了にしようと思います」

由果と付き合っていた半年以上の月日は無駄になったのだが、おそらくあのまま彼女と付き合っていたとしても、コロナが終息していない今の状況を見ると、今も結婚できていないだろう。

結婚は、“決断”であり、どんな状況下においても結婚が決断できない人は、たとえその状況が解決されても、結婚を決断することはない。

相談所を休会にして、あなたと付き合いたい

昨年秋に見合いした蒼子(仮名、37歳)は、大手の結婚相談所に入っていた。お見合い後交際に入り、交際は順調だった。ところが年が明けて2月に入ると、蒼子からこんな申し出があった。

「カウンセラーさんが、親身になって相談に乗ってくれないし、もう義孝さん以外の人とお見合いをする気もないんです。月会費を払っているのもバカバカしいし、相談所は一旦休会しようと思います。休会するけれど、義孝さんとは、このままお付き合いをしていたい」

これは、明らかに規約違反だ。私は義孝に言った。

「義孝さんが彼女を大切に思っているのなら、2人のことは応援したいけれど、結婚相談所において、休会する会員とお付き合いを続けるのは、ルール違反だし、彼女もそれは知っているはずですよね」

休会中は会費を払わなくていいし、義孝と「交際中」になっているサイトの表示は「交際終了」となる。それでも義孝と会い続け、成婚になったとしたら、そのまま相談所を辞めてしまえれば、成婚料を支払わなくて済む。蒼子は、そう考えたのかもしれない。

義孝は、私に言った。

「今の僕は、蒼子さんへの気持ちが育っているし、ここで交際を辞めたくはないです。“決められた規則を破って成婚しても、幸せにはなれない”というのは僕も思っていますし、もしも彼女と結婚することになったときには、僕が彼女の成婚料を彼女の相談室に払います」

そして、彼女は休会したようだった。そこからも2人は会っていたようだったが、ほどなくして義孝に、33歳の女性から、お申し込みがあった。それが、今回成婚が決まった亜由美(仮名)だった。

亜由美の申し込みを受けて見合いしたのだが、その後、交際に入ってからは、どんどん亜由美に引かれていき、蒼子との付き合いは、自然消滅的に終わった。

婚活では、女性もどんどん動いていくことが大事

亜由美は、これまで義孝がしてきたどの見合い相手よりも、交際に積極的だった。婚活市場にいる女性は、男性の動きに自分を合わせようとしている人が多い。連絡が来なければ連絡を入れない。誘われれば出ていくが、自分からは誘おうとしない。待ちに徹している。実際にそのほうが婚活は楽だ。

亜由美は、LINEのレスも早かったし、デートの別れ際には、「今度はいつ会えますか?」と必ず聞いてきた。そして、3回目のデートの帰り道に、義孝に聞いてきた。

「手をつないでも、いいですか」

3回目のデートを終えて、私に連絡を入れてきた彼が言った。

「亜由美さん、見た目もすごい可愛いじゃないですか。これまでの僕の婚活の足取りを検証すると、こんなに可愛い女性が僕に積極的になってくれたことがない。スムーズにいきすぎていて、このまま進んでいいのか半信半疑なんです」

「こちらが彼女に夢中になった途端、バッサリと振られる」そんなことも考えたようだ。恋愛経験がないと、急速に前に進んていくことが怖くなり、進もうとする気持ちにブレーキをかけてしまう。

私は、義孝に言った。

「進めるときは、迷わず進みましょう。振られることを怖がっていたら、何も始まらないし、結婚にもたどり着きませんよ」

さらに、亜由美はポイント、ポイントで自分の気持ちをきちんと伝えてきた。

「私は、結婚するなら義孝さんだと思っています。もしも私を選んでくださるなら、真剣交際に入りませんか?」

彼は、この言葉を聞いて、心のそこからこの関係に安心感を得たようだった。

そして、そこから1カ月後のこと。

「私の気持ちはもう決まっているので、義孝さんの気持ちが決まったら、プロポーズをしてください」

この言葉に自信をもらった義孝は、5月に入り、すぐにプロポーズをした。

ご縁を引き寄せる法則は、まずは淡々と前に進むこと

結婚の報告にやってきた義孝に、私は言った。

「このたびは、おめでとうございます。義孝さんの素晴らしかったところは、私に一度も愚痴をこぼさなかったことですよ。交際がダメになっても、『わかりました。次に行きます』と、前に進んでいた。だから、今回のご縁に巡り合えたのですよね」

私の言葉に、義孝は照れながら言った。

「いや、でも、本当に婚活がつらいと思ったことがなかったからです。僕はこの年にして、恋愛初心者だし、たくさんの失敗を重ねたことで学んだことも多かった。そういう自分に、亜由美さんのように積極的に道筋を作ってくれる女性が現れて、結婚まで至った。これがご縁なんですね」

ご縁を引き寄せる法則は、まずは淡々と前に進むこと。愚痴の多い人間は、婚活がうまくいかないことを周りのせいにする。そして、ネガティブ思考をループさせて、良縁をどんどん遠ざけていく。

また、“待ち”に徹している女性たちに言いたい。婚活市場にいる男性たちは、恋愛経験の少ないシャイな人たちが多いのだ。お見合い後、交際に入ったら、自分からLINEをしたり、自分からデートに誘ったり、どんどん動いてほしい。

どんな人が結婚できるのか。それは、動ける人。お相手に自分の気持ちをちゃんと伝えられる人。そして、いつも笑顔で感謝と尊敬の念を持ってお相手と対峙できる人だ。

“笑う門には福来る”というが、いつも前向きで笑顔で婚活をしている人が、良縁を引き寄せられる。