番長・清原和博がブチ切れた…!? 交流戦で起こった「珍プレー&珍事集」
◆ 「打球はどこや?」
いよいよ本日、5月25日から始まる『日本生命セ・パ交流戦』。しばらくパ・リーグの優勢が続いているが、今年こそセ・リーグの巻き返しはあるのか…。2年ぶりの開催に注目が集まる。
そこで今回は、2005年から2019年までの15年間の熱戦の中から、ファンの記憶に残る交流戦の“珍プレー&珍事”を振り返ってみたい。
交流戦出場は2005年・2006年のわずか2度ながら、“お祭り男”ならではの強烈なインパクトを残したのが清原和博だ。まずは巨人時代の2005年5月7日・楽天戦。ここでは“野球人生で一番恥ずかしいホームラン”が飛び出した。
1点リードの3回、先頭の清原は一場靖弘の128キロカーブを左翼席にリーグトップのシーズン10号。同時に入団から20年連続2ケタ本塁打の快挙も達成する。
ところが、「まさかホームランになるとは思わなかった」と二塁目指して全力疾走したことが、思わぬアクシデントを招く。
一塁ベースを回った直後、足を滑らせた清原は、ズデーンと背中から派手に転倒してしまう。
慌てて起き上がると、「打球はどこや?」と目を白黒させたが、自軍ベンチや一塁手のロペス、審判がジェスチャーで「本塁打だ」と教えると、「入ったの?本当?」と苦笑いしながらダイヤモンドを一周。
「これまで(502本)の中で一番恥ずかしいホームランでした。名演技?オレがビックリしたよ」と試合後も照れまくっていた。
◆ 「謝れ!こっちに来て謝れ!」
それから4日後、5月11日のオリックス戦のこと。
1点差の延長11回、山口和男の147キロ速球がヘルメットを直撃するアクシデントに見舞われ、鬼の形相で「謝れ!こっちに来て謝れ!」と咆哮。
“番長”のイメージどおりの大立ち回りがナインの闘志に火をつけたのか、巨人は一死一塁から阿部慎之助と堀田一郎の安打で同点に追いつき、4−4で引き分けた。
また、オリックス移籍後の2006年6月14日の巨人戦では、7回に「代打・清原」がコールされると、スタンドの巨人ファンが総立ちで「キーヨーハーラ!キーヨーハーラ!」の大合唱。遊ゴロに倒れた清原だったが、右翼席に向かって高々とヘルメットを掲げると、巨人ファンもスタンディングオベーションで応えた。
「もうビックリした。敵やのにあんなに声援もらって本当にうれしかった」と目頭を熱くした清原にとって、これが東京ドームで最後の晴れ姿となった。
◆ まさかのベースの“踏み忘れ”
「交流戦版珍プレー大賞」の名に値するまさかの“事件”が起きたのが、2006年6月11日のロッテ−巨人だ。
1−1の3回、巨人は二死一塁で李承菀が右中間席に勝ち越し2ランを放つ。
これで3−1と思われた直後、次打者・斉藤宜之に相対していた渡辺俊介が、三塁手・今江敏晃のアピールを受け、三塁に送球した。
「アウト!」
西本欣司塁審の声が響く。一体何が起きたのか…?誰もがきつねにつままれたような表情になった。
実は、一塁走者・小関竜也が三塁ベースを踏んでいないと判断されたのだ。
一部始終を見ていた今江は「自分の中で確信があった。ベースをまたいでいた感じで」と証言。西本塁審も「踏んでいない。それしか言えない」とキッパリ。
この結果、この回の巨人の攻撃は小関でスリーアウトチェンジとなり、まさかの無得点。李の本塁打は記録上シングルヒットとなった。
ちなみに、本塁打を打った以外の走者が原因で本塁打が取り消しになるのは、プロ野球史上初の珍事だった。
なお、小関は西武時代にも1999年6月25日のダイエー戦で三塁ベースを踏み忘れてアウトになっており、今回も三塁が“鬼門”という皮肉なめぐりあわせ。
この日、2−3で惜敗した巨人にとっては、悔やんでも悔やみきれない“幻の2点”だった。
◆ 広島・新井貴浩のチョンボが一転…?
今度は同じ踏み忘れでも、守備側がベースをまたぎ越すチョンボで走者を生かしてしまったはずなのに、リプレイ検証でアウトに覆った“スーパー珍プレー”である。
2018年6月1日のロッテ−広島の一戦。2点を追うロッテは8回二死から代打・福浦和也が一塁線に強いゴロを放った。
一塁ベースに当たってポーンと跳ねる難しい打球となったが、やや深めの位置で守っていた一塁手・新井貴浩は慌てず騒がず、拝み取りするような姿勢でボールをガッチリ掴むと、そのまま前進して一塁ベースに駆け込んだ。タイミング的には、余裕でアウトだった。
だが、判定はなぜか「セーフ!」。新井はもとより、ベースカバーに入ろうとしたジャクソンも激しく抗議。緒方孝市監督もリクエストを要求した。
そして、場内にリプレイ映像が流れると、新井の足は一塁ベースをまたぎ越しており、明らかに踏み忘れだ。スタンドのファンも選手たちも大爆笑。これではセーフになるのも無理はない…と思われた。
ところが、検証を終えた審判団の判定はなぜか「アウト!」。映像をよく見ると、新井の捻った左足首の部分が偶然ベースに接触していたのだ。形はどうあれアウトである。
踏み忘れをさんざん笑い物にしたチームメイトも態度を一変させ、ベンチに引き揚げてくる“新井さん”を「ナイスプレー!」と大拍手で出迎えたのは言うまでもない。
ちなみに新井は阪神時代の2014年6月11日のロッテ戦でも、三塁側へのファウルフライをスライディングキャッチしようと、自軍ベンチに足から突っ込むハッスルプレーを見せたが、折からの降雨で濡れたグラウンドに滑って加速がついた結果、落下点を通り越して捕球に失敗するチョンボも演じている。
“珍プレーの帝王”は、交流戦でも異彩を放っていた。
文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
いよいよ本日、5月25日から始まる『日本生命セ・パ交流戦』。しばらくパ・リーグの優勢が続いているが、今年こそセ・リーグの巻き返しはあるのか…。2年ぶりの開催に注目が集まる。
そこで今回は、2005年から2019年までの15年間の熱戦の中から、ファンの記憶に残る交流戦の“珍プレー&珍事”を振り返ってみたい。
交流戦出場は2005年・2006年のわずか2度ながら、“お祭り男”ならではの強烈なインパクトを残したのが清原和博だ。まずは巨人時代の2005年5月7日・楽天戦。ここでは“野球人生で一番恥ずかしいホームラン”が飛び出した。
ところが、「まさかホームランになるとは思わなかった」と二塁目指して全力疾走したことが、思わぬアクシデントを招く。
一塁ベースを回った直後、足を滑らせた清原は、ズデーンと背中から派手に転倒してしまう。
慌てて起き上がると、「打球はどこや?」と目を白黒させたが、自軍ベンチや一塁手のロペス、審判がジェスチャーで「本塁打だ」と教えると、「入ったの?本当?」と苦笑いしながらダイヤモンドを一周。
「これまで(502本)の中で一番恥ずかしいホームランでした。名演技?オレがビックリしたよ」と試合後も照れまくっていた。
◆ 「謝れ!こっちに来て謝れ!」
それから4日後、5月11日のオリックス戦のこと。
1点差の延長11回、山口和男の147キロ速球がヘルメットを直撃するアクシデントに見舞われ、鬼の形相で「謝れ!こっちに来て謝れ!」と咆哮。
“番長”のイメージどおりの大立ち回りがナインの闘志に火をつけたのか、巨人は一死一塁から阿部慎之助と堀田一郎の安打で同点に追いつき、4−4で引き分けた。
また、オリックス移籍後の2006年6月14日の巨人戦では、7回に「代打・清原」がコールされると、スタンドの巨人ファンが総立ちで「キーヨーハーラ!キーヨーハーラ!」の大合唱。遊ゴロに倒れた清原だったが、右翼席に向かって高々とヘルメットを掲げると、巨人ファンもスタンディングオベーションで応えた。
「もうビックリした。敵やのにあんなに声援もらって本当にうれしかった」と目頭を熱くした清原にとって、これが東京ドームで最後の晴れ姿となった。
◆ まさかのベースの“踏み忘れ”
「交流戦版珍プレー大賞」の名に値するまさかの“事件”が起きたのが、2006年6月11日のロッテ−巨人だ。
1−1の3回、巨人は二死一塁で李承菀が右中間席に勝ち越し2ランを放つ。
これで3−1と思われた直後、次打者・斉藤宜之に相対していた渡辺俊介が、三塁手・今江敏晃のアピールを受け、三塁に送球した。
「アウト!」
西本欣司塁審の声が響く。一体何が起きたのか…?誰もがきつねにつままれたような表情になった。
実は、一塁走者・小関竜也が三塁ベースを踏んでいないと判断されたのだ。
一部始終を見ていた今江は「自分の中で確信があった。ベースをまたいでいた感じで」と証言。西本塁審も「踏んでいない。それしか言えない」とキッパリ。
この結果、この回の巨人の攻撃は小関でスリーアウトチェンジとなり、まさかの無得点。李の本塁打は記録上シングルヒットとなった。
ちなみに、本塁打を打った以外の走者が原因で本塁打が取り消しになるのは、プロ野球史上初の珍事だった。
なお、小関は西武時代にも1999年6月25日のダイエー戦で三塁ベースを踏み忘れてアウトになっており、今回も三塁が“鬼門”という皮肉なめぐりあわせ。
この日、2−3で惜敗した巨人にとっては、悔やんでも悔やみきれない“幻の2点”だった。
◆ 広島・新井貴浩のチョンボが一転…?
今度は同じ踏み忘れでも、守備側がベースをまたぎ越すチョンボで走者を生かしてしまったはずなのに、リプレイ検証でアウトに覆った“スーパー珍プレー”である。
2018年6月1日のロッテ−広島の一戦。2点を追うロッテは8回二死から代打・福浦和也が一塁線に強いゴロを放った。
一塁ベースに当たってポーンと跳ねる難しい打球となったが、やや深めの位置で守っていた一塁手・新井貴浩は慌てず騒がず、拝み取りするような姿勢でボールをガッチリ掴むと、そのまま前進して一塁ベースに駆け込んだ。タイミング的には、余裕でアウトだった。
だが、判定はなぜか「セーフ!」。新井はもとより、ベースカバーに入ろうとしたジャクソンも激しく抗議。緒方孝市監督もリクエストを要求した。
そして、場内にリプレイ映像が流れると、新井の足は一塁ベースをまたぎ越しており、明らかに踏み忘れだ。スタンドのファンも選手たちも大爆笑。これではセーフになるのも無理はない…と思われた。
ところが、検証を終えた審判団の判定はなぜか「アウト!」。映像をよく見ると、新井の捻った左足首の部分が偶然ベースに接触していたのだ。形はどうあれアウトである。
踏み忘れをさんざん笑い物にしたチームメイトも態度を一変させ、ベンチに引き揚げてくる“新井さん”を「ナイスプレー!」と大拍手で出迎えたのは言うまでもない。
ちなみに新井は阪神時代の2014年6月11日のロッテ戦でも、三塁側へのファウルフライをスライディングキャッチしようと、自軍ベンチに足から突っ込むハッスルプレーを見せたが、折からの降雨で濡れたグラウンドに滑って加速がついた結果、落下点を通り越して捕球に失敗するチョンボも演じている。
“珍プレーの帝王”は、交流戦でも異彩を放っていた。
文=久保田龍雄(くぼた・たつお)