終わったばかりのセリエA、連覇で29度目の優勝に輝いたユーベ(ユベントス)だが祝賀ムードに浸る選手・スタッフは誰一人いない。昨季のドーピング隠蔽、粉飾決算疑惑から始まった当局の調査は前GMルチャーノ・モッジによる「審判操作」にまで発展、近年稀に見るカルチョ・スキャンダルに陥っている。携帯電話盗聴の結果あらゆる試合での審判操作や脅し、GEAワールド(息子アレッサンドロ・モッジ率いる代理人マネージメント会社)選手の優遇など様々な事実が浮上、現在ユーベはセリエBどころかセリエC降格の窮地に立たされている。

ユーベ降格が現実味を帯びるにつれ選手の動向も注目を浴び始めた。今季チーム最多の23得点を挙げたFWトレゼゲはインテル会長とマンチーニ監督のお気に入り。代表DFザンブロッタは左サイドの手薄なインテルには理想の選手。ACミラン監督アンチェロッティはユーベと代表の象徴デル・ピエロを常に賞賛している。今季のユーベを陰で支えた代表MFカモラネージはバラックの抜けたバイエルン・ミュンヘン移籍が濃厚と見られている。また賭博容疑のGKブッフォンはスペイン、イギリスからも注目されている。

毎年のように浮上するスキャンダルも時間と共に忘れ去られる悪習から一変、今回の調査は徹底している。04−05シーズン圧倒的な強さでA昇格を決めたジェノアが「八百長発覚」によりC1に降格した判例を考慮するとユーベ降格の可能性は高い。イタリア中の関心事となった今回のスキャンダル、ユーベ選手をはじめイタリア代表にも暗い影を落としている。