ジェネリック医薬品って本当に体への害はないの? 詳しく教えて!

写真拡大 (全4枚)

ジェネリック医薬品」は、テレビCMでも宣伝されるようになったので、耳にしたことがある人も多いでしょう。ジェネリック医薬品に変更することで、薬代が安くなるというメリットがありますが、体に入れるものなので不安に感じる人も多いようです。今回はジェネリック医薬品について、「りら薬局」で薬剤師として勤めている廣瀬さんに解説していただきました。

監修薬剤師:
廣瀬 安國(りら薬局 薬剤師)

広島国際大学薬学部薬学科卒業。大学卒業後、福岡の調剤薬局に就職。広島に帰郷後、管理薬剤師を経験した後、2018年から現在の「りら薬局」で薬剤師として従事。「わからないことを少しでもわかるように」をモットーに、少しでも安心して薬を使ってもらえるよう、薬剤師として啓蒙活動中。研修認定薬剤師。

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分

編集部

そもそも、ジェネリック医薬品って安全なのですか?

廣瀬さん

ジェリック医薬品は、先発医薬品と同等の安全性があると考えて問題はありません。ジェネリック医薬品は品質、有効性、安全性が先発医薬品と同じであると証明するために国が定める3つの試験がおこなわれています。その試験を通過して、先発医薬品と同等と認められたものだけが市場に流通しています。

編集部

ジェネリック医薬品と先発医薬品に、違いはありますか?

廣瀬さん

ジェネリック医薬品と先発医薬品では、添加物が異なる場合があります。例えば、湿布では外用剤に使われる粘着剤の材料が異なることで使用感が違いますし、内服薬だと味付けの有無の違いがあります。

編集部

添加物が違うことで何か問題はありますか?

廣瀬さん

添加物と聞くと悪いイメージを持つ方もいらっしゃいますが、例えば薬の原料を錠剤の形に固める際には、デンプンなどの安全性の高い添加物が使われています。ただし、添加物の中にはトウモロコシデンプンのように、アレルギーのリスクがあるものも含まれます。そのため、食物アレルギーをお持ちの方は、ジェネリック医薬品へ変更前に、医師や薬剤師に相談してください。

ジェネリック医薬品は薬代の削減ができる

編集部

なぜジェネリック医薬品は安いのでしょうか?

廣瀬さん

ジェネリック医薬品は薬の開発費がほとんどかからないため、安く提供することができるのです。通常、医薬品の開発には莫大な費用と時間がかかります。そのため、製薬会社はその医薬品の開発費を回収するために、あらかじめ値段を高く設定しています。ただし、先発医薬品には特許期限があり、特許が切れることでほかの製薬会社がジェネリック医薬品として作ることができます。なので、開発費を抑えて安い価格設定が可能となっているのです。

編集部

先発医薬品をジェネリック医薬品に変更できないことはありますか?

廣瀬さん

先発医薬品の特許が有効の場合には、ジェネリック医薬品は販売されていません。また、処方箋を発行した医師の判断でジェネリック医薬品の変更不可にチェックがついている場合は、ジェネリック医薬品に変更することができません。

編集部

コストパフォーマンス以外に、ジェネリック医薬品のメリットはありますか?

廣瀬さん

例えば、小児科で使われているジェネリック医薬品では、子どもが飲みやすいように味を改善していたり、先発医薬品にはない規格を販売して服用する錠数を減らしていたりと、服用しやすく工夫された医薬品があるといったメリットもあります。

厚生労働省ジェネリック医薬品を推進している

編集部

なぜ、薬局ではジェネリック医薬品を勧めているのでしょうか?

廣瀬さん

厚生労働省の意向を理由として、ジェネリック医薬品を勧めている薬局が多いようです。近年、医療費などの社会保障費が増加しており、国の財政負担はかなり大きいものとなっています。そこで政府としては、国民皆保険を維持するためにも医療費の削減が大きな課題となっており、その解決に大きな効果が期待できるとしてジェネリック医薬品の普及を進めているのです。

編集部

ジェネリック医薬品の変更は強制ですか?

廣瀬さん

ジェネリック医薬品の変更は原則的には強制ではありません。しかし、医療費が公費負担されている場合には、ジェネリック医薬品の変更が必要なこともあります。

編集部

今後、ジェネリック医薬品は普及すると思いますか?

廣瀬さん

これからもジェネリック医薬品の普及は進むと考えています。日本のジェネリック医薬品普及率は、2019年に75%を超えました。すでにアメリカでは、ジェネリックの普及率が90%を超えているという実績があるため、日本は今後の普及率を80%に目標設定しています。

編集部まとめ

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分で同等の効果を発揮し、薬代も削減できるメリットもありますが、添加物の違いによって使用感が異なることもあります。アレルギー症状や副作用歴がある場合には薬剤師に相談してみましょう。