W杯登録メンバーを発表するエリクソン監督
 イングランド代表のスベン・ゴラン・エリクソン監督は、5年間続いた政権の中で、最もインパクトのあるサプライズ人事をやってのけた。ドイツワールドカップに連れて行く23人のメンバーに、アーセナルの若手FWセオ・ウォルコットを加えたのである。ウォルコットは、アーセナルでデビューすらしていない若干17歳の若手ストライカーだ。

 エリクソンは、慎重な人選をすることで知られる監督だ。実際、ウォルコット視察のために、この3週間でアーセナルの練習場に2回足を運んでいる。そこで、この若手ストライカーに強烈な印象を受け、負傷中のウェイン・ルーニーやマイケル・オーウェンの代役になれると見立てたのだ。

 もしウォルコットがワールドカップでプレーすることになれば、ルーニーが2003年2月のオーストラリア戦で記録した、17歳と111日というイングランド代表の最年少出場記録を破ることになる。

 ウォルコット選出について、エリクソンは「彼が代表のプレッシャーに耐えられるか確かめる必要があったが、関係者は揃って『問題ない』と話してくれた。実際、彼は非常に落ち着いた青年だ。ウォルコットが毎試合フル出場するとは誰も考えていないだろう。1958年のワールドカップでペレが残したインパクトをウォルコットに求めるのは間違いだよ。しかし同時に、その可能性もあるのではないかと密かに期待しているのも事実だ」と語った。

 アーセナルのベンゲル監督も「とにかく才能がある」と太鼓判を押すウォルコットは、負傷者が続出しているイングランド攻撃陣の救世主になることができるだろうか。エリクソンのギャンブルに世界中のファンが注目する。