フォートナイト訴訟、Epicは「なぜ何年も稼がせてもらったガイドラインを守れなくなったか」と質問される可能性
Epic Games

手数料を回避しようとしてApp Storeから削除された人気ゲーム『フォートナイト(Fortnite)』をめぐり、まず開発元のEpic Gamesが独占禁止違反としてアップルに対する訴訟を提起。それを受けてアップルがEpicの開発者アカウント停止を予告したため、Epicは連邦地裁に差止命令を求めました。

この訴訟にあたりアップル側が、過去にも同社を勝訴に導いた実績ある弁護士事務所を起用したこと、そしてEpic側に2つの厳しい質問を突きつけるとの予想が伝えられています。

ソフトウェアやモバイルデバイスの特許に詳しいブログFoss Patentによると、アップルはギブソン・ダン・クラッチャー法律事務所を訴訟担当に任命したとのこと。同社はかつてサムスンのGalaxyシリーズがアップルの知的財産権を侵害しているとの訴訟を受け持ち、約5億3900万ドルもの損害賠償を勝ちえた実績を持ちます。

また同事務所は、アップルと米大手半導体企業クアルコムとの独占禁止法訴訟においては、クアルコム側を代表して訴訟に当たっていました。そちらは和解により決着していますが、アップル側に50〜60億ドルの支払いなどを飲ませており、実質的勝訴に終わっていると言えます。

さて今回の訴訟にて、EpicはフォートナイトのApp Storeからの削除に対する差止を求めています。が、Foss Patentはそれが認められる可能性は低いとの見解を述べています。なぜならアップル側弁護士の議論により、裁判官からEpicに対して2つの厳しい質問が突きつけられると予想されるためです。

1つはEpicが何年にもわたって巨額の利益を稼いできたのと同じアプリ開発者契約を、今になって守れないという理由は何なのか、ということ。そして仮にEpicの主張が認められたとしても、恐らく金銭的な損害賠償しか得られないとの見通しが述べられています。

その根拠とされるのは、米国の裁判所が一般的に、後の段階で賠償により損害が回復できると見なされる場合は、差止命令を出さないという慣例です。

実際アップルは、Epicが開発者ガイドライン違反を招いた部分を元に戻すだけで削除を取り消す可能性を示唆しています。

つまり支払いシステム変更を撤回した旧バージョンを再公開する一方で、訴訟は訴訟として進めておき、のちのちEpicに有利な判決が下されれば、アップルには訴訟提起から判決までに取り過ぎた手数料を返還するよう命じるという展開もあり得るわけです。

もう1つのFoss Patentからの指摘は、App StoreでのFortniteの削除取消しと同様の申し立てを、同じ連邦地裁でのGoogleに対する訴訟で主張しないのは何故かということです。そちらはアプリストア独占状態の是正を求めるのみで、特にアプリ削除の差止は訴えられていません。

たしかに問題の焦点が「App Storeの手数料30%が高すぎ」ということであれば、支払いシステムを元に戻したフォートナイトをApp Storeで再公開し、それとは別に損害賠償を得るだけでも十分なはず。Epicは訴訟において苦しい立場に追い込まれるかもしれません。

Source:Foss Patent

Via:9to5Mac