Jリーグの再開が決まった。J2とJ3が6月27日から、J1が7月4日からスタートする。J3はまだ1試合も消化していないので、再開ではなく開幕だ。

 いずれのリーグも当面は無観客での開催とし、対戦カードは近隣クラブ同士に組み直すとしている。感染拡大を予防する観点から、どちらも妥当な判断だろう。

「近隣」と言っても距離感は様々だ。J1で神奈川県にホームタウンを置く横浜F・マリノス、横浜FC、湘南ベルマーレ、川崎フロンターレの4チームなら、移動距離をかなり短くして試合をすることができる。FC東京、浦和レッズ、柏レイソル、鹿島アントラーズを含めた一都四県にホームタウンを置く8チームは、第三者との接触を少なくできるバスで、お互いに移動できそうだ。移動時間は道路状況にも因るが、最長で3時間から4時間ほどだろうか。

 J1を東西ふたつのエリアに分けると、前述の8チームに加えて北海道コンサドーレ札幌とベガルタ仙台も東エリアに振り分けられるだろう。この2チームのスケジュールについては、出入りを減らすことがポイントになる。ホームゲーム、アウェイゲームともにできる限り連戦とすることで、移動距離を短くしていくのだ。

 西エリアは清水エスパルスから名古屋グランパス、ガンバ大阪、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、サンフレッチェ広島、サガン鳥栖、大分トリニータの8チームとなる。東に比べると横に長い。そのぶんだけ、移動距離が長くなる。スケジュールの組み方には工夫が必要だ。

 ホーム&アウェイのリーグ戦は、ホームとアウェイが交互にスケジューリングされるのが基本だ。同一大会でアウェイゲームは3試合連続しないことも、Jリーグの規約に定められている。
ただ、今シーズンはイレギュラーな状況だ。できる限りの公平性を追求しつつ、感染拡大に注意していきたい。

 リーグ戦を行なうにあたっては、スタジアムの消毒や殺菌なども必要になってくるだろう。だとすれば、J1からJ3までがすべて別会場で試合をするよりも、近隣の試合は会場をまとめたらどうだろう。

 別カテゴリーでも同じスタジアムでダブルヘッダーにするとか、J1は土曜日でJ2は日曜日といったようにまとめることで、安全管理の効率化が図れるはずだ。つまりは、試合の運営がスムーズになる。

 ダブルヘッダーや連戦にすると、芝生の痛みは激しくなる。特定のスタジアムの芝生が消耗してしまい、そのスタジアムをホームとするチームが不利益を被るかもしれない。

 それも含めての再開であり、開幕である。新型コロナウイルスと戦いながら社会経済活動を動かしていくと、感染拡大予防との間で矛盾が生じてくる。そして、現時点でその矛盾を完全に取り除くことはできない。

 だとすれば、安全を確保しながらリーグ戦を開催していくために、あらゆる可能性を探っていくべきだ。前例を取り払った思い切った発想が、いまこそ求められる。