●「こんなことしていいのかな…」

昨年4月に入社した南海放送の青木美奈実アナウンサー。「ミスキャンパス同志社グランプリ」という才色兼備でありながら、新人歓迎会で見せた一発芸「ウエスPの危険なテーブルクロス引き」が、日本テレビ系特番『全国好きな嫌いなアナウンサー大賞2019』で入社早々に放送されたり、YouTube動画で“ギャルメイク”を披露したりと、1年目から体を張って奮闘しており、放送エリアの愛媛県内にとどまらず話題だ。

2年目に入るこの春からは、夕方のニュース番組でキャスターに就任することが決定。ますます活躍が期待される青木アナに、話を聞いた――。

南海放送の青木美奈実アナウンサー


○■こんな形で番宣に出るとは…

青木アナが最初に登場した動画は、ドラマ『同期のサクラ』(19年10月期)のPRで、自身の名前を冠した「同期のミナミ」。同期入社の小川貴弘アナ、営業部の星川陽光氏が、青木アナの人となりに切り込んでいく内容で、「同期は本当に仲が良いので、一緒に出演できるのは楽しみでした」(青木アナ)と話すとおり、和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる動画だ。

「このご時世なので、SNSやYouTubeなどをやることはあるのかなと思ってはいたのですが、こんなユニークな形で番宣に出るとは思っていなかったです」というが、この好評を受け、今度はドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』のPR動画が制作されることになった。

だが今度は、青木アナのみの出演で、ほぼ“すっぴん”な状態から“ギャルメイク”に初挑戦するというムチャぶり。企画書を見て、「“アナウンサー”と“メイク動画”というのに、私の中でつながりが全くなかったので、『こんなことしていいのかな…』というのが正直な感想でした(笑)」と戸惑いながらも、「『私が10年後にその動画を見返して“やらなきゃよかった…”ってならないですよね?』と確認したら、『大丈夫。アナウンサーという範囲をぶち壊すようなことはしないから』と言われたので、信頼して『じゃあ頑張ります!』となりました」と出演を快諾した。

YouTubeで“ギャルメイク”を披露


○■自分の素が出せるYouTube

やると決めたからには、YouTubeで事前にギャルメイクの勉強もしたが、練習なしのぶっつけ本番で撮影。「動画では早送りしていますが、つけまつげに相当手こずって、1時間くらいかかりました(笑)」と苦労したが、そのかいあって再生回数はあっという間に10万回を突破した。

動画の撮影・制作は、昨年3月まで、東京のIT企業でYouTube運用に従事し、こちらも青木アナと同期入社にあたる折原綾平氏が担当しており、「普段の放送だと、スタジオで大きなカメラに向かってしゃべるので、緊張して構えるのですが、YouTubeの撮影は、折原さんに話している感覚でやれるので、普段の感じが出やすく、リラックスしてできます」と、より素の自分が出せるのだそう。

また、放送エリア外からも見られるため、「大学時代の友達など、県外からも見てくれたと反響がありました」と手応えを振り返る。

●キー局受験も「地元に貢献したい」



そんな青木アナは、同志社大学時代に「ミスキャンパス同志社2016」に選ばれ、Jリーグ・京都サンガのPR大使を務めた経験などから、「人前で話す機会が増えて、それが楽しいなと思えたんです」と、アナウンサー志望に。小・中・高校時代は「消極的なほうだったので、当時の先生は私がアナウンサーになって『あんな子だったっけ!?』ってビックリしてるんじゃないかと思います(笑)」という。

愛媛出身の青木アナにとって、南海放送は故郷の放送局。東京のキー局や、大阪の準キー局も受験したそうだが、「地元に貢献したいという思いは、すごく大きかったです。ミスキャンパスのときも、地元の人が『この子は愛媛の子やけん、応援してくれ』ってSNSで呼びかけてくれて。だから、『美学生図鑑』というサイトでインタビューを受けたときには、『愛媛に帰ると、温かい人柄の方がいっぱいいるので、就職も愛媛に帰ろうか悩みます』って答えていました(笑)」。

○■生放送中に意識を失う

まもなく入社して1年になるが、「あっという間でした。1年目は大抵のことが初めてのことになるので、とても緊張するのですが、なんとか乗り越えて、また緊張して、なんとか乗り越えて…という繰り返しですね」と回想。特に印象に残っている仕事は、『愛媛マラソン』だという。

アナウンサーはもちろん、制作スタッフだけでなく、営業の社員も参加する全社を挙げた年に一度の総力戦になるイベントで、青木アナは中継車の3号車からの実況に抜てき。「センター試験の過去問を解くような感じで、何年か分の過去のVTRを見て練習して、イメージトレーニングをしました。資料もたくさん作って臨んだのですが、どれだけ準備しても、本番は去年と出てる人も違いますし、言いたいことややりたかったことの1割が出せたか、出せなかったくらいでした」と、ほろ苦い実況デビューとなった。

放送は6時間という長丁場で、「最後の残り30分くらいのところで、ボーッとしてしまい…。ディレクターさんに『ちょっと!ちょっと!』と声をかけられて、魂が戻ってきたんですが、数秒間、意識がどこかに行ってしまう時間がありました。車酔いしないタイプなんですが、資料を読むのに下を向いているからか、最後に気持ち悪くなってしまったり…」と反省は尽きない。

それでも、「みんなと一緒に準備して、6時間の生放送ができたというのは、本当に貴重な経験になりました」と、大きな糧になったようだ。

●春から夕方の顔「うれしさと不安」



こうして経験を積んだ青木アナは3月30日から、報道番組『News Ch.4』(毎週月〜金曜16:50〜)のキャスターに抜てきされた。夕方の顔という大役に、「相当驚きました。ずっと見てきた番組でもありますし、入社試験でも『“チャンネル4”に関わりたいです』と言っていたので、うれしさもあり、大丈夫かな…という不安もありという感じです」と心境を吐露。

その上で、「はじめはすごく頼りないと思うんですが、日々頑張って愛媛の皆さんに信頼されるアナウンサーになりたいなと思っています。早く顔を覚えてもらえるように、取材にもバンバン行きたいと思います」と意欲を示す。

YouTube動画でムチャぶりされても「何かに挑戦するということは意味があることなので、夕方のニュースでもその気持ちで頑張っていきたいと思います」という青木アナ。将来はどんなアナウンサーになりたいかを聞くと、「テレビを見ていて、気になったことを代弁してくれたり、逆に『あぁ、そういう考え方もあるんだ』って気づかせてくれたりするアナウンサーさんがすごいと思うんです。だから、私もそうなりたいなと思っています」と目標を語ってくれた。

『News Ch.4』のキャスターを務める青木アナ(左)と松岡宏忠アナ南海放送『News Ch.4』【公式】@RNB_houdou


ちなみに、YouTube動画への今後の登場の可能性は「キャスターとの兼ね合いがどうなるのか、というのもありますが…」と言いつつ、条件が整えば“来る者は拒まず”のようだ。

○■キャンペーンCMにも登場

同局ではこの春、『News Ch.4』に加え、『Beans』(毎週土曜11:55〜)、『もぎたてテレビ』(毎週日曜11:45〜)の自社制作3番組が同時にリニューアルすることから、有志の社員がエキストラ出演するドラマ仕立てのキャンペーンCM「なんかいCHA!CHA!CHA!」を制作。週替わりで少しずつ秘密を明かしていく構成となっており、16日から放映されている第3弾に、新キャスターの1人である青木アナも登場している。

部署横断的に結成したワーキンググループが企画したもので、こちらのCMもYouTubeでシリーズを配信していく。

キャンペーンCM「なんかいCHA!CHA!CHA!」より(右は南海放送の田中和彦社長)


●青木美奈実1997年生まれ、愛媛県出身。同志社大学卒業後、19年に南海放送入社。ラジオ番組『週刊 みきゃんラジオ』などを担当し、3月30日からテレビの夕方ニュース番組『News Ch.4』のキャスターに就任。