インフルエンザの合併症で視力に障がいが残った女の子(画像は『The Sun 2020年1月13日付「ROBBED OF HER SIGHT Unvaccinated girl, 4, goes blind and suffers brain damage after nearly dying from the flu」』のスクリーンショット)

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「注射はしたけど感染してしまった。本当に効果があるのかしら」「副作用が心配」など、インフルエンザの予防接種に関しては毎年頭を悩ませる人も少なくないだろう。米国でのインフルエンザの予防接種は乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人、医療関係者などに推奨されているが、このほど米アイオワ州で予防接種を受けなかった4歳女児がインフルエンザB型に感染して視力を失ってしまった。女児の両親が『The Sun』『CNN』などのインタビューに応じた。

米アイオワ州に住むジェイド・デルーシアちゃん(Jade DeLucia、4)が体調不良を訴えたのは、昨年12月19日のことだった。それから4日間、ジェイドちゃんは微熱が続いたものの食欲もあり、元気に走り回って遊び、時折高くなる熱は市販の解熱剤を飲むことでおさまっていた。

しかしクリスマスイブの朝、ジェイドちゃんに異変が起こった。その日は祖父の家を訪ねる予定だったが、いつまでたっても起きてこない娘を心配した父親のスティーブンさんが寝室に様子を見に行くと、ジェイドちゃんは高熱を出し、呼びかけても何の反応も示さなくなっていた。慌てた両親は地元の医療センターに車で向かったが、救急救命室に到着したジェイドちゃんは白目をむいたまま痙攣発作を起こし、そこから約128キロ離れたアイオワ大学ステッド・ファミリー・チルドレンズ病院(University of Iowa Stead Family Children’s Hospital)の集中治療室にヘリで搬送された。スティーブンさんはジェイドちゃんが激しく身体を震わせるのを目の当たりにし「もう元気な娘には会えないのではないか。これが最期のお別れになるのではないか」と気が気でなかったことを、後のインタビューで明かしている。

そして翌日のクリスマス、両親は医師からジェイドちゃんがインフルエンザB型に感染し、脳全体が腫れあがる脳症を起こしていることを告げられ愕然とした。母親のアマンダさんは、当時の心境をこのように語った。

「ジェイドは目を覚ますことがないまま人工呼吸器に繋がれました。医師からMRIの画像を見せてもらったのですが、娘の脳はまるでライトアップされたクリスマスツリーのようだったのです。脳がかなりの損傷を受けており、意識が回復しないかもしれないこと、また助かったとしても以前と全く同じ状態ではないことを知らされ、私たちはただ祈るしかありませんでした。」

「その後数日間は呼びかけてもほとんど反応もなく、12月31日にはジェイドが急性壊死性脳症(ANE)を発症していることを知りました。娘には脳の腫れを抑えるためのステロイドが処方されていたのですが、1週間経っても一向に良くならず、最悪の事態も頭をよぎりました。」

アマンダさんはその時の揺れる気持ちをFacebookに綴っており、そこには「7日。7日も経つのにジェイドは私たちから遠く離れていくだけ。望みはない。ジェイドが私たちのもとに返ってくることはないのだ。インフルエンザに感染したばかりに…」と絶望に似た言葉が並んでいた。

一方でジェイドちゃんを担当していたテレサ・チェコ医師は「ANEは非常に稀な症例であるため、過去に発症した子供についてリサーチをしたところ、ある研究結果を発見したのです。それによると子供4人のうち3人が死亡していたことが分かりました」と語り、ジェイドちゃんの経過を注意深く観察していたそうだ。

しかしその翌日の1月1日、ジェイドちゃんに奇跡が起こった。目を開けるとアマンダさんがそばにいることに気付いたのか、その手をギュッと握って笑ったのだ。ジェイドちゃんはその後、ゆっくりとだがベッドに座ることや食事もできるようになり、人工呼吸器が外された。

「ママ、私大変なことになっちゃったのね」―そんな言葉を発するまで元気になったジェイドちゃんだったが、医師はある異変に気付いていた。ジェイドちゃんは目の前に大好きだったぬいぐるみが置かれても見向きもせず、ボールを投げても目で追うことをしなかった。ANEにより脳内の視覚を司る部分が影響を受け、視力を失ってしまったのだ。