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レストランの格付け本『ミシュランガイド東京2020』の掲載店が先日発表されたが、お隣の韓国では、トラブルが発生しているようだ。

朝鮮日報・日本語版によると、ソウル市のイタリア料理店のシェフが、『ミシュランガイド』に低い評価をされたとして、発行元を侮辱罪で告訴したという。

このシェフは、審査の公正性に異議を唱えており、評価から除外するよう求めていたが、『ミシュランガイド』に低い評価で掲載されたと主張しているそうだ。

ミシュランガイド』に掲載されることは、ある意味で「評判」につながることもある。もし日本で同じようなことがあった場合、侮辱罪は成立するのだろうか。近藤公人弁護士に聞いた。

●「掲載されたことで一定の評価を得ている」

「日本の刑法では、『事実を摘示しないで、公然と人を侮辱する』と、侮辱罪が成立します。

今回のようなケースで問題となるのは、低評価の掲載が『侮辱』にあたるかどうかです。

そして『侮辱』とは、他人の人格を蔑視する(見下げる、馬鹿にする)価値判断を表示することをいい、その態様(表示の方法)を問わないとされています。

レストランのシェフは、低評価であったことで、蔑視されたと思ったのでしょう。

しかし、そもそも、『ミシュランガイド』に掲載されている店は、一般に『おいしい』と認識されることから、掲載されたことで一定の評価を得ていると考えられます。

すなわち、掲載されている他の店とくらべると低評価だっただけで、掲載されていない店よりは評価されていると考えると、軽蔑したことにあたらないでしょう」

●「馬鹿にするような文言」があると侮辱罪にあたる可能性も

「ただし、ガイドブックの記事中に、見下げるような文言、馬鹿にするような文言があると、侮辱罪にあたる可能性があります。その場合でも、掲載者に故意がないと侮辱罪は成立しません。

今回のシェフは、審査の公正性に異議を唱えて、評価から除外するよう求めていたのですから、シェフはガイドブックの掲載を拒否したと考えられます。

もし日本で、レストランが拒否したにもかかわらず、掲載するようなことがあった場合は、民事上、不法行為の認定がされる可能性もあります」

【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/