快勝で初戦を突破した桃田賢斗【写真:平野貴也】

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スイスでの世界選手権、1回戦は世界ランク105位に快勝

 バドミントンの世界選手権が、19日にスイス・バーゼルで開幕し、男子シングルスで2連覇を狙う世界ランク1位の桃田賢斗(NTT東日本)は、1回戦を突破した。

 初戦の相手は、世界ランク105位のカオ・クォン・ファム(ベトナム)。序盤からフットワークで上回り、ラリーを優位に展開すると、安定感のあるレシーブでチャンスを作り、攻撃に転じた。相手が先にミスをする場面も多く、淡々と得点を積み重ね、第1ゲームは21-9で圧勝。第2ゲームもペースを譲らず、11点のインターバルからは地元の子どもの「モモタ」コールが響く中でプレーし、最後は相手がネット前から押し込もうとしたショットがネットにかかって、21-10。2-0のストレートで勝利を収めた。子どもたちの声が聞こえたスタンドに向け、親指を立てるサムズアップのポーズを取った桃田は「声援は、聞こえていましたし、嬉しかったです。ホームのような雰囲気でプレーできました」と笑顔を見せた。

 会場は、昨年2月に桃田が日本代表としての個人戦の復帰戦に臨んだ場所だ。昨年は1月に代表復帰した後、負傷。2月のアジア団体選手権で復帰した後、個人戦の初戦として臨んだのが、スイスオープンだった。当時は、負傷明けで本調子ではなく、準々決勝で敗退。しかし、ほとんど覚えていない様子の桃田は「スイスで試合をしたの、去年でしたっけ? 復帰戦? ああ、たしか、あのときはねんざをした後で、あまりコンディションが良くなかったと思う。あまり、ネガティブなことは思い出さない」と苦笑いを浮かべた。

連覇へ上々の出だし「一発勝負なので、最初からスピードを上げていった」

 後ろを振り返る必要はない。2020年東京五輪の金メダルという大目標に向けて、前を見て進むのみだ。まずは、世界選手権の連覇が目標。上々の出だしを見せた桃田は「一発勝負なので、最初からスピードを上げていった。多分、強打を打っていかなくても勝つことはできたと思うけど、そうするとスピードの遅いプレーばかりになってしまう。攻めるところは攻める、つなぐところはつなぐプレーができたと思う。ネット前への踏み込みは、相手のヘアピンを高い位置で取れていたので良かったが、後ろに追いやる球が第2ゲームの後半に甘くなったので修正したい」と試合内容を振り返った。

 今大会は、前回準優勝の石宇奇(シー・ユーチ=中国)や、一昨年の王者ビクター・アクセルセン(デンマーク)が負傷で欠場。圧倒的な優勝候補と目されているが、対戦相手の標的になる戦いが続く中での連覇は容易ではない。しかし、試合会場について「天井の高さや、会場の暗さが似ている」と2連覇を飾ったダイハツヨネックスジャパンオープンを行った武蔵野の森総合スポーツプラザと似たような雰囲気を感じたと話した桃田の表情に不安は見られなかった。

 翌20日の2回戦では、世界ランク87位のルイス・エンリケ・ペニャルベール(スペイン)と対戦する。一戦一戦、連覇への階段を上り続けるだけだ。(平野 貴也 / Takaya Hirano)