マラガへの移籍が決定した岡崎。デポルティボの柴崎との対決も注目だ(写真はマラガ港公式より)。

写真拡大 (全2枚)

 マラガにとって岡崎慎司の獲得はまさにサプライズだった。

 昨シーズン、昇格プレーオフ1回戦でデポルティボ・ラ・コルーニャに敗れ、1部復帰を逃したチームの大きな課題となったのが、前線の決定力不足だった。

 そこで、アトレティコ・マドリーでも同職を務めたことがあるホセ・ルイス・カミネロSDが新シーズンに向けて市場でストライカーを物色。そこで代理人から売り込みがあったのが岡崎だった。日本の皆さんには説明不要だろう。レスター時代にプレミアリーグ制覇(2015-16シーズン)に貢献し、日本代表の一員として3度のワールドカップ出場(10、14、18)を果たすなど、豊富な実績を誇る実力者だ。

 一方のマラガは、惜しくもベスト4進出を逃したとはいえ(準々決勝はドルトムントにトータルスコア2-3で敗北)、12-13シーズンにチャンピオンピオンズ・リーグで8強に進んだのが遠い昔のように2部に低迷し、クラブは深刻な経営難に見舞われている。

 当初は「高嶺の花」で獲得は困難と思われていたオペレーションは、しかし一度交渉が始まると、2部であってもスペインで新たな挑戦をしたいという岡崎の強い熱意が決め手となり、スムーズに話は進み合意に達した。その後、オーナーのアブドゥラ・アル=タニのゴーサインが出ずに数日を要したが、7月30日に晴れて正式に契約が成立した。
 
 その両者の橋渡し役となったのが、マラガに所属するルイス・エルナンデスだ。16年夏からわずか半年間ながらレスターで岡崎と一緒にプレーしたDFで、今回の移籍にあたり相談に乗って決断を後押しした。現在この30歳のCBにも移籍の噂があるが、残留することになれば、新たな環境に適応しなければならない岡崎にとって頼もしい存在となりそうだ。

 日本人クラックとの合意のニュースが出て以降、マラガの街は大いに盛り上がっている。もともとマラガはサッカー熱が高く、新聞やテレビでもこのニュース一色といっても過言ではない。

 地元一般紙の『マラガ・オイ』のスポーツ部編集局長のホセ・マヌエル・オリアス氏はそんな“オカザキ・フィーバーぶり”をこう語った。
 
「町全体が沸き返っている。マラガはもともと日本文化への理解が深い町でね。日本のサッカーに精通している者も少なくない。去年のワールドカップでのベルギー戦の敗北の後も、落胆ムードに包まれたほどだ。もちろんオカザキのことを知っているファンも多い。彼らはゴールを量産し、チームを1部昇格に導く使者として大きな期待を寄せている」

 現在、昨シーズン終盤、攻撃の中心選手としてチームのプレーオフ進出に大きな貢献を果たしたハビエル・オンティベロスのビジャレアルへの移籍話が進んでおり、もはや今夏の退団は避けられない見通しだ。
 
 ほかにも前述のルイス・エルナンデスをはじめコスト削減のために高給取りの主力を軒並み売却する可能性が取り沙汰されており、シーズン開幕を控えファンの間で期待感がなかなか広がりにくい状況にあった。

 そんななか、レスターで受け取っていた年俸と比べると、大幅な減額を受け入れてまで(マラガでの年俸は100万ユーロ=約1億2500万円以下)日出ずる国のサムライがやってきた。暗い話題が多かったクラブに差し込んだ一筋の光、それがマラガにとっての岡崎の加入なのだ。

文●ファン・ヒメネス(アス紙)
翻訳●下村正幸

記者プロフィール/2000年にASに入社して以来、マラガ、セビージャ、レアル・マドリー、バルセロナと各地を転々としながらクラブ関係者や選手たち、代理人と人脈を構築。その広範囲のネットワークを駆使したチームの内情や移籍関連の分野を得意とする。現在も編集局長を務めながら、バルサやセビージャの記事を日々手掛ける。