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 ホンダは5月8日、2019年度の新車販売台数の目標を前年度比16万台減の516万台にした。今年度の新車販売台数の目標を下げたのは、「背水の陣」と見てよいのだろう。世界の自動車産業は、「電動化と自動運転、モビリティサービス化」の流れの中にある。

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 フォードは減収減益を続けているが、モビリティサービス部門の売上高は好調に推移している。数年前に「大型車種にはさらに希望が持てる」としていたが、それは危うい経営判断であると見えていた。それでもモビリティサービス事業を拡大しているのは、現在の市場を捉えられていると見える。

 しかしホンダは、反撃の主流を「SUV」と見ているようだ。5年ほど前の判断であればあり得ることだが、現在ではモビリティサービスに視野を広げ、「プラットフォーマーとなる新車開発を進める」と見るべき時代に入っている。

 自動運転は間違いなく進められる。しかしホンダは、自社開発を諦めている。サプライヤーの開発を待つことに徹するようだが、すでに開発資金を出せない状態なのだろうか?

 ホンダイズムが去ってしまった証のように聞こえる。電動化については、HVでトヨタに次いで熱心であったが、トヨタ方式を凌ぐことが出来なかった。BEVではこれからの勝負であるはずだが、成功したとしても、メーカーも市場も縮小せざるを得ない。後の自動車産業のあるべき姿は、モビリティサービスであるはずだ。

 直近の自動車市場はますますSUVに移行しているようで、SUVの新車を開発投入していくしかない。確かに、2020年からホンダが市場に投入予定のBセグメントSUVには期待がかかる。しかしこれも在来の手法であり、人気のある車種を開発販売することを狙っているだけだろう。モビリティサービスの拡大につては、大きな動きは伝えられていない。

 そして世界の新車の「開発・生産・販売」手法に、サプライチェーンを含めた変革が、ホンダには見られない。これは利益体質を大きく左右するものだ。マツダは先進的に取り組んできた。メディア側が生産方式には疎く捉えられないのかもしれないが、トヨタTNGAのような動きはホンダにおいては伝えられていない。自動車メーカーは、近い将来モビリティサービスのプラットフォーマーと化す恐れが非常に高くなっている。

 ホンダはF1での成績ももう一つ上がらず、精彩を欠いている。本田宗一郎を知るユーザーも少なくなっているのだろう。一度撤退してでも陣容を立て直し、再び戻ってくるほどの決意を信じて待ちたい。