ボルシアMGとの一戦、コーフェルト監督がピッチに送り出したのは大迫だった。 (C) Getty Images

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 ボルシアMGがホームにブレーメンを迎えたブンデスリーガ第28節は、1−1の引き分けに終わった。

 直近7試合でわずか1勝だったボルシアMGだが、チャンピオンズ・リーグ出場圏内を目指しており、この日は立ち上がりから積極的な動きを見せてゲームの主導権を握った。48分、相手のミスを見逃さずにフロリアン・ノイハウスが先制ゴール。その後も勢いに乗りチャンスを作り出していく。

 一方、アウェーのブレーメンは、なかなかシュートに持ち込むこともできない。だがそんな嫌な流れを変えたのが、大迫勇也だった。

 52分、ジョナサン・エッゲシュタインと交代してフィールドに現れた大迫は、2トップの一角に入ると、すぐに味方にパスを要求していく。79分には右サイドでフリーになり、ゴール前に鋭いセンタリングを通す。これを走りこんだダフィ・クラーセンが頭で合わせ、1-1の引き分けに持ち込んだ。

 復帰戦で貴重な同点ゴールをアシストし、試合後のミックスゾーンに現れた大迫は、久しぶりの出場の喜びを噛みしめるように言葉を紡ぎだした。

「リハビリ期間が長かったので…。まだまだ100パーセントではないし、今日も予想外の展開で出ることになりましたけど、要所要所でしっかりプレーしようと考えてました」

 水曜日のDFBポカール準決勝のシャルケ戦では、負傷後初めて公式戦のメンバー入りを果たした。全体練習には復帰しているとはいえ、コンディションはまだ試合フル出場できるまでには仕上がっていないようだ。

「まだ45分(出場)できる身体じゃない。練習も全然してないですし。(出場は)10〜15分くらいのイメージでしたけど、(試合の)内容も良くなかったので、出る感じはありました」

 なかなか仲間とサッカーができない期間はもどかしいものだ。ただ、フラストレーションを溜め込むことはなかったという。

「もう自分の中で踏ん切り、覚悟はしていた。切り替えて、何ができるかということを考えていました」

 アジアカップ後にクラブに戻った後は、ひたすら自分と向き合ってきた。ポジティブに捉えていたとはいえ、2か月に及ぶリハビリが大変だったことは疑いようがない。だからこそ、グラウンドに戻ってこれた感慨は特別だったようだ。大迫は取材陣の質問に答えながら、その心境をふと明かしている。

「こうやってまたピッチに立てたのがすごく幸せだと感じました。このモチベーションを力にして、シーズン最後までプレーしていきたい」

 ブレーメンはこの引き分けで、19年の公式戦は未だ負けなしと好調を維持している。チームは公式戦27試合連続ゴールの記録を伸ばし、攻撃陣も好調だ。

 それでも、フロリアン・コーフェルト監督は大迫の復帰を心待ちにしていた。そうでなければ、このような急な起用をするはずがない。

「ありがたいことですね。もっともっと、応えないといけないと思う。僕らは、もっと上にいけるチームだと思うので、頑張ります」

 ブレーメンは、現地時間4月12日にホームでフライブルク戦と対戦し、19日にバイエルンと対戦。そして、3日後にはDFBポカール準決勝で再びバイエルンと対戦することが決まった。この一戦に勝利すれば、同クラブにとって9年ぶりの決勝進出となる。

 ブレーメン、そして大迫にとっても気を抜けない試合が続く。