“長友専属シェフ”の加藤氏、モード界との初コラボで「食でコンディションを整える」を発信
パリコレ常連の日本の人気ブランド「アンリアレイジ」とのコラボが実現
日本代表DF長友佑都の“専属シェフ”として知られる加藤超也氏は、「食でコンディションを整える」ことを使命に、アスリートの食事サポートを専門に行っている。
その第一人者が、現在パリで開催中のファッションウィークでもその腕をふるった。
アスリートのコンディション管理とモードの世界は、一見かけ離れているようにも見える。しかし、洋服は体に着けるもの。ショーの裏側は過酷で、スタッフもモデルも、睡眠や食事を十分に摂れないなかで最大限のパフォーマンスを求められる。パリコレ常連の日本の人気ブランド「アンリアレイジ」の森永邦彦デザイナーは、「当日のパフォーマンスを最大限に出すために、食事は大きく影響する」という発想に至り、加藤シェフとのコラボが実現した。
ショーのバックステージで振舞われたのは、温かいポタージュスープだ。加藤シェフが長友との面接で提供したのも3種類のスープだったというが、ここで提供したスープもほんの少しの水と塩、オリーブオイルしか加えられておらず、余計なものは体に入れずに、ビタミンやカリウムなど野菜の持つ体に良い栄養素だけを吸収できる理想的なメニューだ。
昨年10月、長友が試合中のアクシデントにより肺気胸で入院した際も、本人からのリクエストでスープを病院に差し入れていたという。医師とも連携した綿密な食事療法の甲斐もあって、長友は驚異的なスピードで回復。「アジアカップ出場は絶望的」との診断を覆して、11月下旬に実戦復帰を果たしている。
1日に23kmも歩く過酷なモデルの世界 一番美しい体を見せるべく、食で一石を投じる
スタッフは徹夜続き。モデルたちも連日キャスティングやショーに駆け回り、一人のモデルは「昨日なんて23キロも歩いた!」と嘆いていた。「そうなると料理する時間も気力もなくて、ただ寝るだけ」だという。一番美しい体を見せる必要があるショーの最中に、彼女たちはしっかり体のメンテナンスをすることが難しい状態にあるのだ。
「アスリートを支えるところから食事の大切さを伝えたい」
その使命感から、長友をはじめ、レスターFW岡崎慎司やバスケットボールの日本代表メンバー富樫勇樹ら、さまざまなジャンルのアスリートに食事を提供している加藤シェフ。今回は初のファッションブランドとのコラボレーションだったが、体を綺麗に見せることや表情を豊かにするといった点に食事の重要さが絡むという共通点を見出した。
「食でコンディションを整える」という加藤シェフの取り組みは、スポーツ界の枠を超えて、今後世の中にどんどん広がっていきそうな予感がする。(小川由紀子/Yukiko Ogawa)