12歳少年が持っていた偽の20ドル札(画像は『WSB-TV 2019年1月17日付「Boy suspended for unintentionally using counterfeit money in lunch line」』のスクリーンショット)

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偽札と知った上でそれを使用する犯罪者はいるが、12歳の子供が故意にそのような犯行をするとは非常に考えにくい。このほど米ジョージア州で、知らずに偽札を渡した12歳少年が学校から休学処分を言い渡されてしまった。『WSB-TV』『Inside Edition』などが伝えている。

ジョージア州ストックブリッジに住むクリスチャン・フィロン君(12歳)は1月10日、通っている「オースティンロード・ミドルスクール」でランチを食べようとカフェテリアに行き、給仕係の女性スタッフに20ドル札を渡したところ、とんでもない事態となった。

女性スタッフがこの20ドル札に偽札識別ペンでマークしたところ、偽札であることが判明したのだ。クリスチャン君はその後、校長室へと呼ばれた。しかし自分が偽札を持っていたとは知る由もなく、クリスチャン君は困惑しながらも知らなかったことを説明した。だが学校側は「(偽札を)所持していたのはあなたなのだから、責任は取らなければいけない」と返してきたという。

クリスチャン君はその20ドル札を父親のアーヴィンさんからもらった。アーヴィンさんによると、ファストフード店のおつりでもらった20ドル札だったそうだ。「私自身、偽札なんて取り扱ったこともないですから、どんな見た目なのかわかりません。知らずにいたのはもちろんですが、もし知っていたら息子にそのまま手渡すはずがありませんよ」と話す。母親のグウェンさんも同様に「(偽札だとは)本当に知らなかった」とショックを隠せない様子だ。

両親は偽札のことを警察に通報し、これで学校側のクリスチャン君への偽札所持の疑惑も晴れるだろうと思っていた。ところが1月16日、この件で懲戒審問を行った学校側は、状況に関わらずクリスチャン君が偽造通貨の所持を禁ずる行動規範に違反したとして10日間の休学処分を言い渡した。

その後、両親はメディアの取材で不満と怒りを露わにした。「学校側の主張としてはあくまでも息子が(偽札を)所持していたことに問題があると言うのです」とグウェンさんが話す一方で、クリスチャン君は「(知らなかったのだから)この処分は不公平だと思う」と訴えていた。両親によると、クリスチャン君は成績優秀でトロフィーを授与されるなど優等生だという。そんな息子が疑いをかけられ納得いかない処分が下されたことで、両親は早速学校側に抗議した。

学校側はこの件についてメディアにコメントを発表することはなかったが、これを知ったジョージア州教育長は1月18日に「偽札と知らずにいた12歳少年を罰するべきではない」と述べ、ヘンリー郡学区も「保安官事務所が一件について捜査し、12歳少年は偽札を所持しているという認識もなく、意図的に偽札の使用を試みたのではないことを断定した」と声明文を発表。現在、クリスチャン君は休学処分を取り消され、無事に学校に戻っているとのことだ。

画像は『WSB-TV 2019年1月17日付「Boy suspended for unintentionally using counterfeit money in lunch line」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)