掃除が行き届いてホコリひとつない…そんな家は確かに理想です。でも実際問題、毎日ピカピカにするのは至難の業。「ピカピカの家でなくても家族が気持ちよく暮らせればいいんです。掃除は『ほどほど』を目指しましょう」と提案するのは、「家事塾」を主宰し日夜家事について研究している辰巳渚さん。「掃除機は1日おきにかける、床のベタつきを感じたらぞうきんがけをする」など、自分なりに続けやすいルールを決めるといいそう。

この「ほどほど掃除」を回していくために欠かせないのが、パッと掃除にかかれる使い勝手のいい道具や、効果的に汚れを落とすための方法です。たとえばぞうきんなら、16面使えて狭い部分もふきやすい薄手のタオルがおすすめ。「固定観念にとらわれず便利な道具も活用しましょう。また、ハタキのかけ方、ぞうきんの絞り方にも効果的にできる『型』があります。ぜひ『型』を覚えて、汚れが落ちる手ごたえを感じて」。「ほどほど掃除」をする前に覚えておきたいこと

使いやすい道具の選び方、ぞうきんの正しい絞り方など、覚えておきたい「ほどほど掃除のための基本」とは? 辰巳さんがESSEの読者に教えてくれました。●お気に入りの掃除道具をそろえる


「道具は使い勝手のほか、素材やデザインにもこだわって。『この道具を使いたいから掃除しよう』と思えます」。写真は辰巳さん愛用の掃除道具。ハタキとホウキは部屋掃除に。細かい掃除にはミニホウキ&チリトリを。ぞうきんは、薄手のタオルを活用。柄つきスポンジは、洗いにくい浴室用の掃除に。●掃除機のヘッドや集じんパックを掃除する


掃除機のヘッドにゴミがからみついていると、吸引力がダウンするだけでなく、電気のムダにもつながるので、使う前に取り除きます。「集じんパックなどにゴミがたまっていないかも点検をしてください」。●風上と風下の窓をあけ、ホコリの逃げ道をつくる


掃除で舞い上がったホコリを逃がすため、掃除の前には必ず窓をあけます。「家には風の通り道があるもの。風上と風下にある窓をあけておくと、ホコリが出ていってくれますよ」。●ぞうきんは2回に分けてかたく絞る


ぞうきんを絞るときのポイントは、縦に持って絞ること。そうすると、力がよく入って2回できっちり絞れます。


(1)丸めたぞうきんを縦にして片手で上を持ち、もう片方の手は下に添えます。


(2)ぞうきんをしっかり持ち、両手首を内側に向け、絞ります。


(3)両手が反るまで力を入れて絞り、1〜3をもう一度繰り返して絞ります。●薄手のタオルが便利!効率的な使い方

折り方を少し工夫するだけで、表裏合わせて16面使えます。


(1)タオルを半分に折ります。


(2)さらに半分に折ります。


(3)もう一度半分に折って、手のひらサイズに! こうすると表裏合わせて16面使えます。●床の上にあるものをテーブルなどに移動する


一気に掃除ができるよう、床の上に置いたものはテーブルなどに移動させます。「掃除を終えたら、床に戻すのではなく、本来の場所に戻す習慣にすれば、部屋が片づきます」。【毎日の掃除】効率的に行うのが、ラクになるコツ

効果的な「型」をマスターして、「ほどほど掃除」を習慣化させるとラクになります。具体的に教えてもらいました。●掃除の基本は上から下へ、すみから中央へ


ホコリを上から下へと落とすには、ハタキが効果的です。「手首のスナップをきかせると、ハタキが空気を巻き上げ、すみずみのホコリまで落とします」。


床はすみのホコリをホウキで中央へ集めます。掃除機をかけるときも同様にしましょう。


小指と薬指でハタキの柄をつかみ、残りの指を添えると手首がラクに動きます。●階段の掃除は下から上へ


階段の掃除機がけは、下の段から始めるのが合理的。吸い込み口に目が届きやすいからすみずみまできっちり吸い取れ、掃除機を持って階段を下りるよりも安全です。●便利なものはどんどん使う


毎日の掃除をラクにするには、便利なものを使うのもポイント。たとえば、トイレ掃除用シートは使い捨てだからと後ろめたさを感じる人もいるかもしれませんが、ぜひ活用して。「掃除は気づいたときにすぐできることが大切。あと回しになるくらいなら、便利なものは活用するべきですよ」。【特別な掃除】定期的に見直して掃除を

洗面所や玄関などは、意外な汚れがたまりやすい場所。ときどきスペシャルケアを行って、きれいを保ちます。●油性の汚れがつきやすい洗面ボウルはクレンザーで洗う


洗面ボウルは、普段は使用後にざっとふけばOK。ただし、ファンデーションなど油性の汚れがつきやすいので、ときどきクリームクレンザーとスポンジで落とすようにします。


蛇口回りに残った水アカもスポンジの側面を使い、こすり落とせばすっきり。●床のぞうきんがけはしっかり腰を入れて


両ひざを開いてしゃがみ、中腰になってから、ぞうきんをかけていきます。「腰がしっかり入るので、全身の力でふくことができますよ」。こうすると、床がきれいになる手ごたえを実感できます。●汚れやすい玄関のドアはぞうきんでしっかりふく


土ボコリで汚れやすい玄関のドアは、定期的にぞうきんでふいてさっぱりさせます。「上から下へと手を動かし、しっかりふけば、洗剤を使わなくても十分きれいになります」。


ドアの溝やノブの周りは、ぞうきんに指を差し込んで、細かくふきましょう。●掃除が終わったら…


掃除道具は、出し入れしやすい場所を定位置にしましょう。「ホウキは立てると穂先が傷むので、必ずつるして保管。ぞうきんは、風通しのいい場所に干せば、いつも気持ちよく使えます」。

●教えてくれた人
【辰巳渚さん】
1965年生まれ。ベストセラー『「捨てる!」技術』(宝島社刊)で、ものがあふれる時代の生活哲学を提唱。2008年より「家事塾」を主宰。著書に『あなたを変える家事塾300のメソッド』(岩崎書店刊)などがある

<撮影/難波雄史 取材・文/ESSE編集部 イラスト/升ノ内朝子>