後半途中からピッチに立った内田。そのパフォーマンスは今後に大きな期待を持たせるものだった。 (C) Getty Images

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 現地時間9月10日、ブンデスリーガ2部の第5節が行なわれ、首位のデュッセルドルフが、ウニオン・ベルリンを3-2で下した。
 
 この試合を沸かせたのは、ともに新天地デビューを飾った宇佐美貴史(デュッセルドルフ)、内田篤人(ウニオン・ベルリン)というふたりの日本人だ。両者は74分と75分からそれぞれピッチに立つと、ともに得点に絡む活躍を披露する。
 
 まず魅せたのは、普段の右SBとは異なる2列目の右サイドで起用された内田だった。1-1のタイスコアで迎えた77分、ペナルティーエリア内右で華麗なターンをして相手DFを翻弄すると、そのまま敵陣深くへ切り込んで鋭いクロスを供給。これが相手MFのカーン・アイハンの足に当たってゴールへと吸い込まれた。
 
 一方の宇佐美も負けていない。84分、左サイドからのロングスローが敵ペナルティーボックス内ファーサイドへ流れると、これに反応した宇佐美は右足アウトサイドでゴールへと冷静に流し込んだのだ。
 
 試合は、この宇佐美の値千金の同点弾で勢いを増し、90分にフロリアン・ノイハウスが勝ち越しゴールを決めてたデュッセルドルフが勝利。首位の座をキープしている。
 
 同点ゴールを決めた宇佐美に、「なんら違和感なく試合に溶け込み、大仕事をやってのけた。華々しいデビューだ」と絶賛の声が上がるなか、一時は逆転となるオウンゴールを誘発させた内田にも現地メディアが賛辞を送っている。
 
 ドイツ紙『ビルト』は、「ウチダは2部デビュー戦を自ら祝った。鋭いクロスからアイハンのオウンゴールを誘い、自身にとっても、ウニオンにとっても重要な得点を呼んだ」と内田のウニオンでの公式戦デビューを総括した。
 
 さらにドイツ・メディア『バベル』は、「29歳の日本人はターンからの低く、鋭いクロスでデュッセルドルフの守備をこじ開けた」と得点シーンについて綴ったうえで、「今夏にウニオンと契約したウチダは、2部でキャリアを再生させたフェリックス・クロース(トニ・クロースの弟で、現ウニオン)などの他選手と似ている。この日本人サイドバックもベルリン第2のクラブで復活するだろう」と内田の完全復活を予見している。
 
 そんな内田の活躍もあり、首位を相手に勝機が見えたにも関わらず敗戦を喫したウニオン。指揮官のイェンス・ケラーは、「この敗北は我々を傷つけるものだ。個人のミスがあまりに多すぎた。後半だけを見れば、勝点を得るのが妥当だが、我々は手ぶらで帰ることになった」と敗戦を悔いている。
 
 実際、内田も自陣での不用意な持ち出しからボールを失って、それがきっかけとなり決勝点が生まれるなど反省点がないわけではない。
 
 首位との打ち合いで見えた修正点を直し、再び上位争いへ食い込めるのか? 6位に後退したウニオンは次節(9月15日)、ホームで8位のブラウンシュバイクと対戦する。