張本智和【写真:Getty Images】

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チェコ・オープン決勝…6月の中国オープンで敗れた元世界ランク1位ボルに逆転勝利

 卓球のチェコ・オープン(オロモウツ)は27日、男子シングルス決勝で世界ランキング20位・張本智和(エリートアカデミー)が元世界ランク1位のティモ・ボル(ドイツ)を4-2で破り、ワールドツアー初優勝を飾った。14歳61日での優勝は史上最年少。日本が誇る神童の快挙に、国際卓球連盟(ITTF)公式サイトは「センセーションだ」と伝えた。

「トモカズ・ハリモト」の名が、卓球界の歴史に刻まれた。

 自身2度目のワールドツアー・シングルス決勝に駒を進めた張本は、ワールドカップ優勝2回(2002、05年)、五輪にも00年のシドニーから5大会連続で出場している36歳の名手ボルと対戦。今年6月の中国オープン準決勝で敗れた相手に、第1ゲームを11-3と先取したものの、続く第2、第3ゲームを4-11、8-11と落とし、瞬く間に逆転されてしまう。

 それでも、今大会の張本は一味違った。1回戦でキリル・ゲラシメンコ(カザフスタン)、準々決勝でクリスティアン・カールソン(スウェーデン)、準決勝でウーゴ・カルデラノ(ブラジル)と、4試合中3試合で最終ゲームまでもつれる熱戦の末に勝利。粘り強さと勝負強さを武器に反撃を試みる。

 第4ゲームを11-9でモノにすると一気に加速。第5、第6ゲームも11-6、11-9で取り、怒涛の3ゲーム連取で難敵ボルを退けた。

男女通じて最年少だった伊藤美誠の14歳152日を更新し、ツアー最年少Vを達成

 ITTF公式サイトによれば、14歳61日でのワールドツアー優勝は史上最年少。于子洋(中国)が持っていた16歳30日の男子最年少V記録だけでなく、男女を通じて最年少だった伊藤美誠(スターツSC)の14歳152日を大きく更新した。

 張本はワールドツアーU-21、世界ジュニア選手権の最年少V記録を保持し、今年6月の世界選手権では大会史上最年少で8強入り。6月の世界ランキングでも史上最年少の13歳でトップ50入りを果たしたが、新たに「ツアー最年少V記録」が勲章に加わった。

 ITTF公式サイトも張本の快挙を特集。「記録破りの男、トモカズ・ハリモトが最年少」と見出しを立て、「第4シードが優勝することは“事件”ではないが、それがわずか14歳61日の選手によるものとなれば、それはセンセーションだ。321回目のワールドツアートーナメントで、歴史は塗り替えられた」と報じている。

「どんな相手とも戦わなければいけないので、年齢は関係ありません。これが僕にとって2度目のワールドツアー決勝でした。前回(インド・オープン)はチャンスをモノにできませんでしたが、今回は勝つことができました」

 張本は試合後、こう語ったという。

「2020年の東京五輪では、シングルスと団体で金メダルを獲得したい」

 さらに、記事では張本の今後のビジョンに関するコメントも紹介している。

「2020年の東京オリンピックでは、シングルスと団体で金メダルを獲得したいと思っています。でも、そのためにはもっとハードに練習して、栄光を手にするために戦わなければいけないと理解しています」

 ワールドツアー初タイトルを手にし、東京五輪での二冠という次なる“野望”を口にした張本。底知れぬスケールの大きさを見せる14歳は、いかなる夢もきっと現実にしてくれるだろう。