今の日本語の文章や宣伝、企業のロゴブランドの中にはひらがな・カタカナ・漢字に加えて無数のアルファベットが用いられている。かたや中国では比較的最近まで「横文字」の使用には抵抗感があった。何としても外来語を漢字表記する努力を続けてきたのである。(イメージ写真提供:123RF)

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 今の日本語の文章や宣伝、企業のロゴブランドの中にはひらがな・カタカナ・漢字に加えて無数のアルファベットが用いられている。かたや中国では比較的最近まで「横文字」の使用には抵抗感があった。何としても外来語を漢字表記する努力を続けてきたのである。

 中国メディア・界面新聞は24日、「どうして日本の高級ブランドはみんな西洋の言語を用いたがるのか」とする記事を掲載した。記事は、日本国内に存在するブランド名の多くが英語やフランス語といった西洋の言語から名前を取っており、特に大手化粧品メーカー各社のブランドはその傾向が顕著であると紹介。その理由について考察している。

 まず、日本でも19世紀中ごろのペリー来航以前は「漢字至上主義」であり、会社名に漢字が用いられるのが当たり前であったとした。それが開国を経て明治維新を迎え、日本人が西洋化の道を歩み出すと状況が変化、ローマ字が開発されて日本語のアルファベット表記が容易になるとともに、大量の西洋の言葉が日本語に組み込まれるようになったと説明。「総じて、日本人の英語に対する熟知度はわが国より高く、国民による英語ブランドの受け入れも中国人より早かった」と論じた。

 また、国民の西洋化が早く、深く進んだことにより、企業も世界市場を見据え、早い段階から英字表記を用い出したと解説。例として、1872年に「資生堂薬局」として誕生した資生堂が1924年にはローマ字表記の包装を採用し始めたことを紹介した。そして、化粧品会社がフランス語のブランドを多用する背景には、各種化粧品の源流であるフランスに対する敬意とともに、高級ブランドとしてのイメージづくりに有利だという点があるとしている。

 記事は、ブランド名はその民族の文化的アイデンティティを示すものであり、文字や言語は最も直観的な表現方法であると説明。「みんな、自らをより美しいものと関連付けることを望んでいる。ブランドもその例外ではないのだ」と結んだ。

 日本の化粧品ブランド名の中でフランス語から取ったものが多いのは、日本人の「フランス好き」も多分に影響しているのかもしれない。フランスに限らず、今も昔も西洋に対する憧れや高級感といった意識が日本人の中にはあるのかもしれない。

 中国は今、各産業分野において、世界で通用するブランドの育成に国を挙げて取り組んでいる。世界的に歓迎されるブランド名や表記を研究するうえで、日本ブランドの歩んできた道は参考になるかもしれない。しかし一番大事なのは、名前よりも商品やサービスの質であることを忘れてはいけない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)