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歴史上の重要な人物で、「ルーシー」ってご存知ですか? 苗字はありません。正確には愛称です。さらに正確にいうと、「人物」とは言えないんですよね。かと言って動物かというと、それもちょっと違うんです。

○当時は「人類最古の化石」

……すみません、引っ張ってしまって。「ルーシー」とは、1974年にエチオピアで発見された女性の猿人の化石人骨につけられた名前です。その猿人は約370万年前に出現し、約300万年前に絶滅したアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)という種とされました。アワッシュ川の下流で40人分の化石人骨の破片が発見され、当時は「人類最古の化石」とも言われました。なお、現在では440万年前のラミダス猿人が最古とされています。

その中でも奇跡的に全身の約40%にあたる骨がまとまって見つかった化石がありました。調査隊はその発見を祝して夜通し騒ぎ、そのときテープレコーダーから繰り返し流れていたのがビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」でした。その曲にちなんで「ルーシー」と名づけられたのです。とりわけ保存状態が良く、研究の側面からも貴重なものとされました。

○ルーシーの死因が判明!

そのルーシーについて、最近新たな発表がありました。頭蓋骨をCTでスキャンするなどして、なんと死因が分かったというのです。318万年前、木から転落した衝撃で全身を骨折し川の流れの中で息絶えたそうです。318年前ではなく「318万年前」ですよ。

この気の遠くなるような時間を超えて、現代の科学が答えを導いたことにひどく驚いてしまいました。ナゾが解けた! というのはなんだかすごくロマンをかき立てる、とも言えるし、あるいは科学がひとつずつロマンを消し去っていくとも言えるのかもしれません。もしかしたら近い将来、ルーシーが目にしていた景色まで分析されてしまうのかもしれないですね。

○世界遺産データ

アワッシュ川下流域。文化遺産。1980年登録。エチオピア

○地図

○筆者プロフィール:本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
○世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて

(本田陽子)