復帰に向けて最終段階に入っている内田選手。ピッチでどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 2015年の6月に膝蓋腱を手術した内田篤人が、復帰に向けて最終段階に入っている。選手生命をも脅かす大怪我を経験し、「確実に少ない」サッカー人生についてどんなビジョンを立てているのか。ブンデスリーガの再開前に本人を直撃した。

【内田篤人PHOTOギャラリー】復帰前の告白

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──復帰に向けて、恐怖心はありませんか?

「復帰してどうなるかという不安は少しあります。症例も少ないですからね。なかなか難しいです。正直、分からない部分もあります」

──分からないというと?

「リハビリしていても治りが遅い。調子の良い日と悪い日も分かれるし、はっきりしないんです」

──焦りはありますか?

「それはないです。焦ってもいいことないので。膝をちゃんと治せれば、やれると思っているし、焦らず、(治るのを)待って、待って、待って、という感じです」

──今季のシャルケは、ブンデスリーガの前半戦を終えて6位です。ここまでの戦いぶりをどう見ていますか?

「満足はできないですよね。僕はプレーしていないのであまり言える立場ではないですが、もっとチームとしてできると思います。ただ、(昨夏に)ファルファンとドラクスラーのふたりが移籍で抜けたのは大きいので、それを考えると頑張っているのかなと」

──ドラクスラーと言えば、この夏にヴォルフスブルクへ移籍しましたね。

「獲得の噂があったユベントスなら分かるけど……。ヴォルフスブルクなら、シャルケに残ってもいいんじゃないと思いました。でも、ドラクスラーの気持ちも分かる。環境の変化が、彼には必要だったので。寂しいけど、ドラクスラーはドラクスラーで頑張ってほしいです」

──ドイツでは1対1の強さが評価される一方で、カバーリングやフォローに対してはそこまで評価されていない印象を受けます。

「ドイツでは確かに1対1への意識が強い。でも、僕はどちらかと言えばフォローへの意識のほうが強いです。サポートして、危ないところを摘むイメージ。身体は大きくないので、そういう守り方になります」

──チームメイトとの信頼関係が築けているからこそ、そういう守り方ができる?

「それもありますけど、(ブンデスリーガで)もう長いことプレーしているので相手の特徴も考えながらやっています」

 
 
──昨季のチャンピオンズ・リーグでは、レアル・マドリーと戦いました。クリスティアーノ・ロナウドとのマッチアップはどうでしたか?

「ロナウドはサイドであまり受けて立たない。点を取りに行くので。マッチアップしたのは、イスコやマルセロのほうが多かったです。まあ、でも、結局はロナウドに点を取られていますからね。ロナウドは凄い」

──現役選手で嫌なFWは?

「日本人で一番嫌なのは乾(現エイバル)。ドリブルが速くて、重心をずらすのが上手いので。なにより、ボールを持って楽しそうにやるところが嫌ですね。ある意味、自分勝手なプレーをしてくるので、僕としては読みにくい」

──日本代表で縦のラインを形成するうえで、理想のタイプは?

「誰でもいいです。縦に強いファルファンでも、左利きの(中村)俊さんでも、身体的に強い本田さんでも、互いに活きる方法はあるので。僕の使い方次第だと思います」

──守るうえでは、“読み”という部分も非常に重要だと思いますが、その点についてはどう考えていますか?

「たぶんサッカーは頭でやらないと、波は小さくならないと思います。身体能力や勢いだけでは、どうしてもボロが出てきますからね」

──サッカーで頭を使う部分は、全体の何割ぐらいを締めますか?

「どうですかね。僕の場合、半分ぐらい、と言っていいかもしれません。目の前の相手に良い形でボールが入るのが一番面倒なので、そうさせないためのポジション取りを頭で考えながらやっています」
 
──パワー、テクニック、スピードのなかで、一番嫌なタイプは?

「テクニック。技術がある選手は嫌です。時間、疲労に関係なく、ミスはしないので。正直、なにを考えているか分からない(笑)。パワーもしくはスピードタイプなら、ある程度距離をおけば対策は練れますが、技術がある選手は離れたら好きにやられるし、くっついたら重心を外される。やはり、技術は嘘をつかない」

──ということは、イスコ選手への対応は相当大変だった?

「向こうが後ろを向いていても嫌でしたね。常に逆にターンされて……。素直に凄いと思いましたよ。守備もさぼらないし。よく走るうえにボールも取られないから、良い選手だなと」

──シャルケと日本代表の両立については、どう考えていますか?

「それを頑張ってきたから膝が壊れたと思う。今季、ヨーロッパリーグも戦う(香川)真司は日程がきついと言われていますが、自分はそれをここまで5年間やってきた。だから、真司が少し心配かな。でも、なぜ真司のことは心配して、僕のことは心配してくれないんだろう。5年間やってきたのに(笑)」

──みんな心配していますよ。

「遅い、遅い(笑)。2015年は膝のためにほぼ全休しましたからね。どれだけ膝をごまかしながらやってきたか。みんなに心配してもらいたかったなあ、俺の身体のことも(笑)。まあ、真司の場合は遠征とかでメンバーから外れる時もあるから、怪我はしないだろうと思います。ただ、日程がきついのは確かだから頑張ってもらいたい」

──膝の怪我する前と後で考え方は変わりましたか?

「どうですかね。ただ、サッカー選手として一番良い年齢(27歳)のシーズンを、怪我で棒に振ったのは残念。(ドイツのドクターなどに)『膝が危ないよ』と言われて、残り確実に少ないですからね、僕のサッカー人生は。引退する頃にどういう膝で終わるのか分からないですが、まずはしっかり復帰したいですね」

──そう簡単に復活はできない?

「でも、僕の性格上、医者に復帰できないよと言われたら、サクッと復活して仕事したい。だから、やってやろうと思いますけどね。『手術したら選手生命に関わる可能性もある』と言われた瞬間にこう思いましたよ。オーケー、じゃあ、手術して復活してやろうと。見とけよと」

──最後に、シューレースを持たない『ACE16+Purecontrol』について訊かせてください。

「触っただけで軽いし、靴ひもがない時点で足にフィットするしかないですからね。そこが売りだと思います。靴下の下にポイントがついている感じ。履けばフィットすると思いますし、カッコいいですよね。ついにスパイクも靴ひもがない時代になったかって」

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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