「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト) / 合同会社RegionWire

写真拡大 (全4枚)

大学在学中に企業などで就業体験する“インターン”に参加するのが今どきの大学生の間では当たり前になっている。

そんななかで企業での働き方を学ぶインターンではなく、“地域での生き方”を学ぶインターンも増えてきている。

例えば2014年に始まった、離島の企業で数週間就業する「島キャン−島おこしインターンシップ−」は、現在までに鹿児島県・奄美群島、北海道・礼文島、島根県・隠岐諸島の計10の離島 / 約80事業所で、累計444名の学生が都会の企業とは異なる働き方を経験するとともに、その様子を発信することで、各離島への興味・関心喚起につなげている。



また「ワールドビジネスサテライト」や「情報ライブ ミヤネ屋」をはじめ各種マスコミで“移住者が集まる町”として紹介されるなど、都会のベンチャー企業が次々とサテライトオフィスを開設することで注目されている徳島県美波町では、“地方の課題をICTの力で解決せよ”というテーマのもと、毎年8月に9日間のアプリ開発インターンが開催されている。プログラム前半では住民との対話や視察を通じて町の現況や課題を把握し、解決すべき課題の選定およびアプリ企画したうえで、中盤以降は実際にアプリ開発を進めていく。



なお2015年はアプリではなく、IoT(モノのインターネット)デバイスとして、触覚・音声・温度センサー、小型カメラを搭載したウミガメのぬいぐるみから情報を取得・送信し、インターネット経由で家族のスマートフォンの専用アプリに高齢者の安否情報を知らせる、高齢者見守りシステムを開発した。

また岩手県陸前高田市では、2016年2月から地域おこしの担い手を育成する1週間のインターンシップが開催される予定だ。美波町同様にまずプログラムの前半で住民との暮らしを軸にした体験と対話を行い、会議でアイディアをまとめて、そして後半はそのアイディアを実行に移していく。なお過去の開催ではPRムービーを制作したり、特産物を開発して東京の物産イベントで販売したりした。



企業がインターンを受け入れるのは、採用という短期的な目的はもちろんのこと、仮に入社に至らなくても、将来的にさまざまな形で企業と関わる可能性がある若者たちに、企業に対して好意的な印象を醸成する、つまり将来の“ステークホルダー(利害関係者)”を作ることにある。

その意味で地域のインターンも、学生時代に地域に触れて、地域について考えてもらうことで、定期的な訪問や産品購買、ふるさと納税などにつながったり、将来的な移住につながったりするなど、地域とのさまざまな関わりが生まれる“きっかけ”とすることが期待できるのではないだろうか。