堀江公判 21日の被告人質問(2)
ファイナンスに関する決算説明
── (藤野検察官)では、検察官・藤野から質問する。LDでは04年9月期に四半期ごとの決算説明会をしていたか。
はい。
── 04年2月6日の04年9月期第1四半期の説明会には、発表者として出席していたか。
はい。そうだと思う。
── 宮内さんが全体的なセグメントの説明をして、あなたは今後の方向性や将来展望を説明していたのか。
具体的な記憶はないが、そのようにしていた時期はあると思う。
うーん、株主のために、ですかね。誰のために、とは考えたことがない。
── 既存の株主のために、というのもあるかもしれないが、今後株主になりうる投資家全体に事業運営状況や収益状況、これからの将来展望を説明するためでもなかったのか。
目的は考えたことがない。義務だと思っていた。
── LDの実際の事業状況の説明を、正確に説明する必要がありますね。
説明できる範囲で正確に、ですね。
── 決算内容は把握していないといけないですね。
普段、戦略会議の資料やメール、その他もろもろのデータを見ているが、決算説明資料は僕が作るわけではない。社内会議ではないので(説明会で資料を)読み上げたりするが、読んでいて分かりにくそうなところは説明するが、事前にリハーサルを行っているわけではない。
── あなたはLDでただ一人の代表取締役社長でしたね。
ただ一人…。そうでしたね。
── ファイナンス事業でも、投資家から社長としての説明を求められることがあったのでは。
あったんじゃないでしょうかね。
── その際は、誠実に対応するためにもファイナンス事業の内容を把握してないといけませんね。
でも、限界はありますからね。心の中ではファイナンス事業はそんなに大事とは思っていなかった。宮内さんに任せていたし、僕が分からないところは宮内さんに任せればいいやと思っていた。事業部とセグメントの区分けは微妙に異なる。戦略会議で事業部ごとの損益は見ていたが、セグメント別の損益は決算説明会の前々日ぐらいに手元に来た。だから、資料を検討する時間がなかった。リハーサルもしていない。ミスタイプが非常に多く、それのチェックで忙しかった。細かい事業内容については分からず、僕は将来展望を言う係みたいなものだった。
── 決算説明会の資料のイーファイナンスのところに、“プライベートエクイティ”とある。これは何のことか。
プライベートエクイティは、プライベートエクイティでしょう。
── 未公開株のことではないのか。
狭義ではそうかもしれないが、広義では株式に関わる業務としてとらえていた。
── (資料を示す)これは04年2月6日の決算説明会の録音を書き出したものだ。あなたは「全体的に相場がよくなってきたので、プライベートエクイティの業務も好調でございます」と言っている。
たぶんこの前に、宮内さんがプライベートエクイティが収益に貢献したと言っていたし、資料にもそう書いてあった。この頃、市場も活況を呈していた。市場が好調だからプライベートエクイティも好調なんだと思って、そう言ったのだと思う。
── LDFのプライベートエクイティ業務の内容を知っていたのか。
僕はどちらかというとおしゃべりなので、知っていたら全部言っちゃうと思う。決算説明会にしても「社長ばかりが話すと聞いている人が飽きてしまうので、なるべくしゃべらないでください」と言われていたくらいだ。細かく知っていたら、それを話すと思う。
── 中身も知らないで説明していたのか。
(あきれたように)あのね、社長ってそんな細かいところまで知らないことが多いんですよ。よく分からないことを説明する方が、不誠実な態度じゃないですか。
── 無責任では。
無責任じゃないですって。どう考えても詳しく説明していますよ。これ以上詳しい説明会はないと思います。(強い口調で)
── その程度の説明でいい、と。
その程度って言われると雑な説明をしていたと思われますが、その程度ってイーファイナンス事業だけじゃないですか。さっきも言いましたけど、イーファイナンスは大事だとは思っていませんでしたから。(検察側の尋問には)ファイナンス部門しか出していませんよね。全体の説明を出してもらいたいんですけど。イーファイナンスだけを取り出して、揚げ足を取る、いや、揚げ足じゃないな、いいかげんにしてほしい。ここだけ取り出して、投資家にいいかげんな情報を出しているというなら、揚げ足取り以外の何物でもない。(大きな声で怒りをあらわにする)
── 03年12月に事業セグメントの変更を、熊谷(史人)さんと検討していないか。
あります。というか、僕がそうしろと命じた。
── (堀江被告と熊谷被告がやり取りしたメールを一部読み上げようとする)
あの、メール見せていただきたいんですけど。メールって、全部出していただかないと、誤解を与えるおそれがある。
── 証拠請求されていないが。
(高井弁護士が立ち上がって)見せないなら、答えない。
── (高橋検察官)我々は記憶喚起のために、内容を説明している。弁護側も公判前整理手続きに反して、証拠を開示せずに尋問を続けていた。我々もそうした弁護側と同じスタンスで尋問しているだけだ。(強い口調)
(高井弁護士)引っ掛けや不意打ち尋問をやめようというのが、公判前整理手続きの趣旨だ。藤野検事が“勧進帳”をやらないという保証はどこにもない。(言い返すように)
── (藤野検事に戻る)答えないなら、答えないでいいです。
(高井弁護士)この点については、黙秘権行使。(キッパリとした口調)
── 質問はしますが…
(高井弁護士)黙秘権を行使すると言っているのに、質問をするというのは違法だという高裁判決があることは知っているのか。
(小坂裁判長)その判決があることは、裁判所も知っている。
── 03年12月25日16時29分に熊谷さんからセグメントの変更についてメールがあり、それに対してあなたが12月25日23時25分に「堀江です。駄目です。…」
(政木道夫弁護士)読み上げは趣旨と違う。(強い口調で)
(小坂裁判長)検察官は、どの程度の趣旨か、はっきりさせてください。
── (質問者が高橋検察官に交代する)では、読み上げはやめます。03年の年末に、セグメントの変更についてあなたは熊谷さんとメールのやり取りをしている記憶はあるか。
メールをやりとりした記憶はない。わたしがこうやろうと言った。
── では、記憶喚起のために。熊谷さんの提案にあなたが「この内容では、株価が上がらない」と返信した記憶は。
ないっすね。そこの部分だけをあげつらって言うのはどうかと思う。その続きも読んでくださいよ。
── ここは私が質問しているのであって、ここはあなたの要求を入れる場じゃない。(強い口調で)
ないないって、読み上げているじゃないですか。「そうじゃないと説明できないじゃん」って書いてあるでしょ。
── 覚えているんですね。
昨日、証拠開示を受けているんだから、覚えているに決まっているでしょう。論理が矛盾している。もういいや。この際だからはっきり言いますけど、無駄なやり取りをしていても仕方がない。
(小坂裁判長)じゃ、ここで休廷に。(昼休みに入る)
(つづく)
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