選挙運動には、いろいろと決まりがある。お金で票を買ってはいけない、なんていう基本的なものから、ポスターの枚数にいたるまで、公職選挙法で細かく決められている。すべては、公正な選挙を行うためだ。

 公正を期すためなら、しょうがない。まあ、そう思う。しかし、ひとつ疑問がある。実は、あまり知られていないかもしれないが、インターネットも選挙運動では使用できないのだ。インターネットを使えば、手間やお金をかけずに、たくさんの人に自分の意見や政策を伝えられるだろうに。なぜダメなのだろう?

 公職選挙法では、選挙運動のために使用する文書図画の頒布・掲示について、選挙ポスターなど同法が定める形態以外の使用をすべて禁止している。インターネットなどパソコンのディスプレーに表示される文字は、この「文書図画」に該当すると解されているため、選挙運動に使用してはならないのだ。理由は、もちろん公正が保てなくなるから。

 選挙運動に関係しない純粋な政治活動として使用する分には、基本的に規制されないので、立候補予定者や政党などがホームページを開設するのは、OK。でも、選挙運動中は、選挙に関連する文言を載せることはできないし、更新も一切ダメ。

 アメリカでは90年代後半にすでに、インターネットを使った選挙運動が登場し、いまは当たり前のこととして受け入れられているというのに。

 しかし、ここへきてインターネット選挙解禁の機運がにわかに高まってきているのだ。

 有識者で構成された「IT時代の選挙運動に関する研究会」が、インターネットを選挙運動の手段として活用すべき、と立法化を提言。今回の総選挙でも、自民党や公明党はマニフェストをホームページで掲載している。民主党に至っては、マニフェストの中でインターネット選挙運動の解禁を宣言している。というわけで、ややなし崩し的ではありますが、日本でもインターネットを使って政党や候補者が選挙運動をする日も近そうだ。(文/verb)