福岡県警察本部(写真/Miyuki Meinaka)

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 福岡県警は16日までに、組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)容疑で9人の工藤會系組員を逮捕した。

 容疑は昨年5月に北九州市で歯科医師が刺され重傷を負った事件。編集部の取材に対して工藤會関係者は「詳細は話せないが、警察による不当逮捕と考えている」とコメントしている。

 昨年9月のトップ逮捕から、福岡県警は警察庁の指導の下、工藤會関係者の逮捕を続けている。工藤會壊滅作戦はいつまで続くのか。

ヤクザを殲滅するのは無理

 アウトローに詳しい作家の宮崎学さんは、「工藤會だけではなく、ヤクザを殲滅するのは無理」と指摘する。

「警察庁の調査では、2010年から13年の間で『暴力団員』が2万人減ったと手柄的に報じているが、これは潜在化しているだけ。今回逮捕された組員らもいずれは社会に戻るが、彼らが一般人と生きるには、世間的なハードルが高すぎる。これからもヤクザとして生きていくしかない。戦後にGHQがヤクザを強引に取り締まったことで愚連隊が台頭したように、最近では半グレの増加が目立つ。つまりヤクザを取り締まったところで『より悪いもの』しか出てこない」

 また、宮崎氏は工藤會関係者の大量逮捕の中で「処分保留による保釈」や無罪判決が多いことにも着目する。

「たとえば、今年の2月には乗用車放火事件で逮捕されていた組員2名が処分保留となったことが報じられている。逮捕の時は大々的に報じるが、実際には逮捕者全員が起訴されて有罪判決を受けているわけではない。メディアはそうしたことをわかっていてもほとんど報じない。また、工藤會の事務所使用制限がたびたび報じられているが、組事務所とは他組織に対する『表札』のようなものであり、警察も把握している。そんな場所に凶器や違法薬物などを置くわけがないのに、家宅捜索を繰り返す茶番を批判するメディアも皆無である。警察の思惑と、それに迎合するメディアという図式で、社会はますます悪い方向へ行く」

 幹部の大量逮捕で工藤會の苦戦も伝えられ、今後の展開もますます注目だ。

(取材・文/DMMニュース編集部)