前田健太【写真:Getty Images】

近年、日本人投手に熱視線を送るメジャー球団

 ダイヤモンドバックスが広島の前田健太投手(26)の獲得に乗り出す可能性を地元紙が報じている。地元紙アリゾナ・リパブリックのウェブサイト、azcentral sportsが「ダイヤモンドバックスが先発陣の強化に日本を視野に」との見出しで伝えた。

 今季先発陣の成績がナ・リーグで下から2番目と苦しんでいるDバックスにとって、来季補強の最大のポイントは先発陣の強化だという。最低でも1人の先発投手の補強が必要不可欠な状況だが、特集ではチームの資金面などの問題からメジャーのトップクラスのFA争奪戦を制することは難しく、トレードでエース級を獲得できるほどの人材も豊富とはいえない点を指摘している。

 ここで先発補強策として挙げられているのは、ポスティング制度を利用しての日本プロ野球からの補強だ。最近はキューバ市場を物色しつつ、先発ローテーションの1、2番手のタレントは日本市場から探すというのがメジャー各球団における国際戦略の目立った傾向となっているという。

 近年ではレンジャーズのダルビッシュ有投手、マリナーズの岩隈久志投手、ヤンキースの田中将大投手ら海を渡った日本人の先発投手がリーグを代表するエース級の働きを見せている。

 記事では、次は前田の番だとし、広島のエースのプロフィールも掲載。「日本の優秀なピッチャーの1人。昨季はタナカに次ぐ2番目に優れた投手と多くの人々から認められていた。広島での7年間で通算防御率は2・40。今季は126イニングを投げ、防御率2・29、102奪三振、31四球」と紹介した上で、「今年のトップのインポート物件は右腕のケンタ マエダになりそうだ。スカウト陣はそこまで圧倒的なピッチングを見せるとは予想していないものの、メジャーの先発ローテーションで即戦力として活躍できると予想している」と分析している。

「彼はどちらかというとローテーションの真ん中ぐらい(先発3、4番手)のタイプのよう。だが、タナカに関していうと、多くのスカウトがローテーションの2番手か3番手と評価していたが、彼の活躍は見ての通りだった。実際のところは分からない」というナ・リーグの球団スカウトのコメントも伝えている。

 ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMも田中獲得時に「堅実なローテーションの3番手」と評し、開幕時の先発ローテでは4番手だった。だが、田中は右肘を負傷するまで圧巻のピッチングを続け、ヤンキースの大エースと呼ぶに相応しい存在となった。

メジャー163勝右腕と同タイプに見られている前田

 ア・リーグのあるスカウトは「マエダはタナカやダルビッシュほどの身体能力はない。気になることはロイ・オズワルトのようなタイプで少し小柄なこと。だが、素晴らしいピッチングセンスと5つの球種を兼ね備えている。最高95マイル(152キロ)だが、速球以外で打者を打ち取ることができる」と話しているという。

 オズワルトはアストロズなどで活躍し、メジャー通算163勝を挙げた右腕。2004年にリーグ最多勝、06年にリーグ最優秀防御率にも輝き、今年2月に現役引退を表明した。前田は「オズの魔法使い」の異名を取ったその右腕と比較されており、現地での評価の高さをうかがわせる。

 一方、別のア・リーグのスカウトは「ストライクをどんどん投げるタイプで威力のあるスライダーを持っている堅実な先発ローテーションの4番手。小柄だが、運動能力は高い。いい選手だが、偉大なレベルではない」と語っている。

 Dバックスも日本市場を意識しているという。記事では過去に斎藤隆投手(楽天)が在籍し、田中にも年俸総額1億2000万ドルのオファーを出したことを伝え、それが日本での知名度アップにもつながっていることを指摘。Dバックスの環太平洋担当のマック林氏は「我々のチーム名とヤンキースの名前は12月と1月の間、日本の全スポーツ紙に毎日のように掲載されていた。田中を獲得できなかったが、大きなインパクトを残せた。例えば、私が日本の球場に足を運べば、新聞紙面を飾ることになる。我々の狙っている選手を質問される。そんなバレバレな行動は慎んでいるが、新聞記者も我々を特定し、話しかけ、狙いを見極めようとしてくる」と話しているという。

 そんなダイヤモンドバックスは前田の動きを注視している。若手のタレントやドラフトの権利などを供出する必要がなく、金銭面の負担のみで獲得できる前田は他の球団もスカウティングを続けているが、田中争奪戦に敗れたDバックスが今回、前田獲得のダークホースとなりうるかもしれない。