中国の新しい旅券(パスポート)に係争地域の地図や観光地が中国領として記載されているとして周辺国が抗議している問題で、フィリピンとベトナムに続き、インドも中国政府に抗議を発表した。11月26日付の環球時報(電子版)によれば、上海国際問題研究院南アジア研究中心主任の趙干城氏は取材に対し、「電子旅券を作るにあたって電子地図を作成するが、事前に主権争議が起きることは予見できていた」と語った。(写真は「CNSPHOTO」提供)

写真拡大

 中国の新しい旅券(パスポート)に係争地域の地図や観光地が中国領として記載されているとして周辺国が抗議している問題で、フィリピンとベトナムに続き、インドも中国政府に抗議を発表した。11月26日付の環球時報(電子版)によれば、上海国際問題研究院南アジア研究中心主任の趙干城氏は取材に対し、「電子旅券を作るにあたって電子地図を作成するが、事前に主権争議が起きることは予見できていた」と語った。(写真は「CNSPHOTO」提供)

■「中国の政治」 写真特集

 インド政府はこのほど、中国の新旅券にアルナーチャル・プラデーシュ州(中国名:藏南地区)およびアクサイチン地域が中国領として記載されていることは「受け入れられない」と抗議した。

 さらに、対抗措置として、インドへ入国しようとする中国人にはインド側が主張する領土範囲が記載された査証(ビザ)を発給する。報道によれば、新旅券を持つ中国人はインド入国にあたって一定時間にわたって待機させられるなど、一部で影響が出ているという。

 中国の新旅券をめぐる問題は、すでに世界的な注目を集めており、米国のニューヨーク・タイムズ紙は、「中国の旅券がアジアで極めて大きな外交トラブルを引き起こした」と報じたほか、フランスの国営メディアのラジオ・フランス・アンテルナショナルは「中国周辺国からの抗議が拡大している」と報じた。

 26日付の環球時報(電子版)によれば、上海国際問題研究院南アジア研究中心主任の趙干城氏は取材に対し、「電子旅券を作るにあたって電子地図を作成するため、事前に主権争議が起きることは予見できていた」と語るなど、中国は係争地域を故意に自国領として記載した可能性も否定できない。(編集担当:及川源十郎)