橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会は、次期衆院選で全300小選挙区に350人ほどの公認候補を擁立すると宣言している。石原新党との連携も噂されているが、支持率が回復しないなか、どのように巻き返しを図るつもりなのか。

「現在、維新担当の記者の間でささやかれているのが以下のふたつのシナリオ。それは、橋下市長の衆院選出馬と小沢一郎氏率いる『国民の生活が第一』との協力です」(全国紙政治部記者)

まず橋下市長の衆院選出馬だが、とても維新の再浮上にはつながらないという。政治評論家の浅川博忠氏が断言する。

「府知事も途中で辞め、市長まで途中で投げ出したら、大阪府民からの批判は必至です。国会議員になるため、首相になるため、大阪を踏み台にしたと猛烈な反発を食らう。とてもできっこありません。とはいえ、橋下さんが出馬するくらいのインパクトがないと維新の沈没は止まらない。進むも地獄、退くも地獄です」

政治評論家の有馬晴海氏によると、小沢グループとの連携シナリオも非現実的だという。

「小沢さんは劇薬です。どんな政党でも組んだ途端、自分たちが壊れてしまう。ましてや、国政経験の乏しい維新に小沢グループと組める力はありません。それにTPPや農業に対する政策も水と油。小沢さんは農家への戸別所得補償に前向きで、TPPには反対。維新はその逆です。そんな小沢グループと連携すれば数合わせに走ったと、維新の支持率がさらにダウンするだけでしょう」(有馬氏)

まさに八方ふさがりとはこのことだ。この窮状に、静岡県に在住する30代の維新塾生が悲鳴を上げる。

「維新人気がここまで急落するとは予想もしませんでした。夏までの維新と今の維新はまったく別モノです。実は次の衆院選に出馬しようと、今年3月に会社を辞めてしまったんです。しかも貯金と退職金で作った700万円の一部はすでに選挙資金として使ってしまった。もうここで引き返すわけにはいかないんです。ところがこの不人気。維新ブームなしに選挙に出馬しても、無名の僕が当選できるはずもない。いったい、どうしたらいいんでしょうか?」

悲鳴を上げているのは維新の次期衆院選候補の公募に応じたとされる10名の現職国会議員も同じだ。今さら古巣の党に戻るわけにもいかず、にっちもさっちもいかずにいる。

「気の毒ですが、どうしようもない。もはや小手先の巻き返し策は通じません。石原新党との連携話も、ダメな勢力がふたつひっついてもさらにダメになるだけです。維新は今、存続ギリギリのふちにある。へたをしたら、このまま消滅ということもあり得ます。次の衆院選で3桁の当選者も見込めそうなんて話は、もはや夢のまた夢と自覚すべきです」(前出・有馬氏)

維新が国に“打って出る”のは時期尚早だったのかもしれない。