日の丸太陽電池の“優等生” パナソニックが投資凍結へ
日の丸太陽電池に生き残りの道はあるのか──。
パナソニックは世界的に厳しさを増している太陽電池の生産について、世界トップクラスの性能を目指してきた太陽電池「次世代Hit」の商品化を見送る方針を固めた。さらに最先端のマレーシア工場(年内稼働予定)などでも、今後の拡張用に検討していた投資をすべて凍結する。
「この夏はまさに修羅場だった。数百億円で次世代の生産ラインを作っても、投資回収は難しいという判断が下された」
複数のパナソニック幹部は、津賀一宏社長の体制下で、あらゆる投資計画の見直しが急ピッチで進んでいる内情を明かす。不振のテレビや携帯電話はもちろん、成長領域とみなされてきた環境エネルギー分野もその例外ではない。
同社は、小さな屋根でも高い発電能力を誇る「Hit」シリーズを抱える。旧三洋電機(2010年買収)が育て上げ、“太陽電池のポルシェ”の異名を持つ同製品は、「国内競合メーカーより1〜2割高くても売れていた」(住宅施工業者)という優れものだ。
昨年12月には、国内2工場に加えて、新しくマレーシアに材料から一貫生産できる新工場建設を発表。約450億円を投じて第1期分(年産300メガワット)を建設中だが、敷地内に拡張用の空きスペースを抱えたまま、大型投資は宙に浮くことになりそうだ。13年の商品化を目指していた次世代Hitも、当面は開発のみに絞る。
もっとも競合メーカーを見渡せば、黒字事業のまま生産拡大にブレーキをかけられたのは幸せだ。