U-23日本代表

最後まで何が起こるかわからないのがサッカーだが、これでほぼロンドン五輪の出場権は確保できたと見て良さそうだ。

だが反面、今回の予選はチーム作りの面で、いくつかの課題が浮き彫りになった。前回予選に比べると、この年代でも一気に欧州組が増えた。そしてどこのクラブと交渉しても、招集には応じてもらえないことがわかった。当然である。さすがに欧州のクラブも、シーズン途中で抜けても構わないような選手を、わざわざ日本から獲らない。

日本では五輪がワールドカップに次ぐ重要なイベントだと認識されているかもしれない。しかし欧州や南米では、アンダーカテゴリーの大陸大会の延長戦上に五輪切符がついている。予選と本大会で大幅にメンバーが変わる可能性があることは想定済みだ。初めから五輪を目指してチームを強化するというより、せっかく出場権を得られたなら頑張ってみようか、というスタンスだ。

ただし前回北京大会を見れば、日本にとっては五輪が非常に貴重な経験になることもわかった。北京五輪は3戦全敗に終わったが、当時の主力メンバーは次々に海外へ飛び出し、大きくステップアップしてフル代表メンバーの中核を成している。北京五輪で世界の強豪と戦ったことが、彼らの向上心を強く刺激したことは間違いない。そしてそう考えれば、適切な強化方針も見えてくるはずだ。

少なくとも予選は、A代表を除外した国内組で戦うべきだろう。A代表組や欧州組は、既に五輪予選以上の経験をしている。強い日本代表を作るのが最終目標なら、アジアの真剣勝負という刺激が必要なのは、どちらにも属していない国内組になる。

もちろん今回の大津祐樹のように、所属クラブで出番がないが、日本に戻ればエース格というケースも稀に考えられるが、むしろ欧州組は所属クラブでのレギュラー確保に専念させ、最初から国内組には雑音を入れずに、責任と自覚を持たせて戦わせることも必要だろう。その方が空洞化が危惧されるJリーグの活性化にも役立つ。

さらに個人的には、本大会も同じ方針で臨ませても良いのではないかと思う。もちろん出るからには勝つことも大切だ。だが前回は惨敗したが、その後の急成長に繋がった。だから負けることが良いとは言わないが、負けて学ぶことや受ける刺激もある。一方で欧州組が五輪を戦えば、疲労を引きずり、所属クラブでのレギュラー争いに影響する。

日本のステイタスは、優秀な選手を輸出し続けることで保たれる。本当にオールスターを集めるのは、フル代表のビッグトーナメントだけで良いと思う。