埼玉西武ライオンズから帆足和幸を獲得した福岡ソフトバンクホークスが、ライオンズに提出する人的補償のプロテクト名簿を作成しいている。 
 一部報道によると、プロテクトからは、ホークス一筋15年の松中信彦、2007年に横浜ベイスターズから移籍した多村仁志が外れる可能性があるという。

 人的補償のプロテクトは、FA市場を活性化し、また選手を失った球団の戦力を補強するうえで欠かせない制度だが、そのリストから外れた選手の心情を考えると、この手の報道には眉をひそめたくなる。リストから外された選手からしたら、事実上の戦力外通告だからだ。 
 
 わが国では、少年野球時代から、選手はチームへの忠誠を叩きこまれる。三つ子の魂百までとはよく言ったもので、その忠誠心はプロに入っても変わらない。 
 
 そんな中でリストから漏れるということは、選手にとっては事実上の戦力外通告に等しい。選手は、忠誠心の対象を失う。 
 
 プロテクトから漏れても、相手球団から声をかけれられたのなら、まだマシだ。問題は、リストから除外され、さらに相手球団からも指名されなかった選手だ。彼らは、所属球団からも、相手球団からも必要とされていないということになる。 
 
 そんな選手の心情を考慮して、プロ野球ではリストの内容を公表していない。だが、あえて公にするマスコミの報道は、選手の心情を踏みにじる行為だ。 
 
 ホークスにしろ、ライオンズにしろ、ファンはいったいどの選手が移籍するのか、気になるところ。だが、選手を傷つけてまでも知りたい情報ではない。 
 
 スポーツ新聞各紙は、この手の報道を自粛自してもらえないのだろうか。